【ワークスタイル・レポート連載】IBM「ワークスタイルの改革に関するレポート」 第2回「デスクじゃなくても仕事はできる~会社のデスクに縛られずに仕事をする」

真のモバイル活用がもたらす影響とは何か

■何をするかより、何を使うか-現代的な仕事環境に対応する「働き方の改革」
業務のモバイル化が進んでいる。仕事のメールやスケジュールを、オフィスのPCと共にスマートフォンで管理することは、今や珍しいことではなくなった。
「ワークスタイルの改革に関するレポート」 第1回「働き方の一歩先をのぞく」では、多様化する業務内容と仕事に求められるスピード、正確性が求められる現代的な業務に対応するには、「力技」ではない仕事環境を実現する「働き方の改革の必要性」について解説した。
しかし、働き方の改革と言っても、何をどうすれば良いのだろう。その結果、どのような成果をあげれば成功なのだろうか。

■スマートフォンの活用に、世代間のギャップ-業務利用、どう考えていく?
ここ数年における仕事環境で、最も変わったと感じるのはモバイル、つまりスマートフォンやタブレットPCもしくは端末の業務利用である。こうしたモバイル端末を業務でもっと上手に使うことができれば、仕事にいい影響を及ぼしそうだと考えるのは自然な流れだ。スマートフォンを業務で使うと、何が良いのか。それは「必ずしも会社のデスクにいる必要がない」ことである。
中には「自社の社員にはモバイルを業務で利用することは難しい」と感じる方もいるだろう。1980年代以降生まれの社員たちが、企業において主戦力となりつつある。彼らは、学生時代からモバイルに触れ、モバイルを使って何かをすることが自然とできている世代だ。仕事においても積極的にスマートフォンを活用している。ベテラン社員から見ると、スマートフォンを操作している若手社員は遊んでいるように見えるかもしれないが、若手社員なりに効率性を考えているのだ。
決して「若手の自由な働き方」や「ノマドワーカー」を推奨するわけではない。もっと基本的な、当たり前のことをもっと良くできないかという話である。「ワークスタイルの改革に関するレポート」 第2回では、最も身近なビジネスツールになりつつあるスマートフォンをどのように使えば、企業に良い影響をもたらすことができるのか。若者的に言うと「自由な働き方」、ビジネス的には「効率的な働き方」をテーマに、具体例を交えて解説していく。

■時間をムダなくスマートに使う-スマートフォン活用による「働き方の改革」 ビフォア/アフター
まずはイメージしやすいように、日常的な業務において、モバイルを業務に導入している具体例を紹介しよう。スマートフォンの業務利用の前と後を「ビフォア」「アフター」で紹介するので、業務においてどのような改善がされたのか確認して欲しい。

【シーン1】
外出中、お客様からのご要望について、関連部門の担当者に確認を取る必要が生じた。

ビフォア:
帰社後、社内データベースにPCでアクセスをして、関連部署の担当者を検索。
該当の担当者と連絡を取り、緊急の打合せをセットした。

アフター:
商談終了後、帰社途中にスマートフォンから社内データベースへアクセス。関連部署の担当者を検索して、その場で連絡を取る。帰社後すぐの緊急打合せをセット。

どのような業界でもよく起こりうるシーンである。「ビフォア」の業務形態では、会社へ戻り、自分のPCから社内のデータベースを検索して、担当者名と連絡先を確認する流れが一般的ではないだろうか。これでは緊急の打合せをセットするまでに時間がかかってしまうだけでなく、帰社後に各担当者のスケジュールを確認しなくてはならず、自身だけではなく、同僚も巻き込んで残業させてしまう可能性まで出てきてしまう。
しかし、「アフター」のように担当者を検索するデータベースがスマートフォンで検索できればどうだろうか。会社に戻る時間を待たず、その場で帰社後すぐの打合せをセットすることが可能になるため、得意先の要望にクイックに対応できると同時に、同僚に「緊急対応」という負担をかけることなく、スマートに仕事に巻き込むことができる。

【シーン2】
電車の遅延により、社内会議に遅れそうになった。

ビフォア:
会議に遅れる旨を連絡。会議へ遅れて参加。参加できなかった前半は後日議事録を確認。

アフター:
近くの喫茶店に入り、スマートフォンからWEB会議にアクセスし、リアルタイムで会議に参加。

外出時に電車の遅延など交通トラブルに巻き込まれることは、よくある話である。「ビフォア」であるように、会議に遅れる場合も延期をする場合も、自分だけではなく参加者全員のスケジュールに影響を及ぼしてしまう。仮に遅れて会議に出席した場合も、後で他の参加者にヒアリングをしたり、議事録をじっくり確認するなど、予定していなかった時間を取られてしまうことになる。
しかし、「アフター」の例のように外出先や移動中でも会議に参加することができれば、そうした予定外の時間的なトラブルに悩まされることはない。

【シーン3】
遠方での打合せが長引き、気が付けばもうこんな時間。でも本日中に業務報告書を提出しなくてはならない。

ビフォア:
定時以降に外出先から帰社。社内のデータベースにPCでアクセスをして業務報告書を作成し、上司に提出。

アフター:
外出先から自宅への移動中、スマートフォンからデータベースにアクセスし、メールを打つ要領で業務報告書を作成し、上司へ提出。

このケースにおいても帰社することなく、移動時間や帰宅中の時間を有効活用してスマートフォンで作業できることが利点として感じていただけるだろう。
こうしたモバイルの活用によって、外出先での空き時間や移動時間を利用して、業務効率が上がることだけが利点ではない。今まで個人の「力技」で切り抜けていた急な対応や、トラブルによる想定外の業務を時間や移動距離に煩わされることなく、効率的かつスピーディーに切り抜けられている点である。

■見た目をスマートフォン仕様にカスタマイズするだけ-スマートフォンでの作業、逆に面倒ではないのか?
多くの方が、「長年PCで作業していた業務を本当にスマートフォンでできるのか?逆に面倒なのではないか?」という、疑問をお持ちだろう。
実際に大きな画面を見ながら、マウスとキーボードを使って作業をするPCとは勝手が異なり、スマートフォンは小さな画面で内容を確認し、画面に表示されるキーパッドで文字を入力しなくてはならない。スマートフォンで普段の業務を「いつも通りに」こなすレベルにするためには、スマートフォンでも「作業がしやすい」環境をつくる必要がある。
スマートフォンで作業をしやすい環境をつくれば、PCでの作業と変わらずに、もしくはそれ以上に作業がしやすくなる。だが、長年使っている業務アプリケーションを、スマートフォン用としてイチから作るというのは非常にコストがかかる上、システム的なハードルも高いのが現実だろう。
そこで着目したいのは、長年使っていた母体となる業務アプリケーションである。最近では、この母体(PC版)となる業務アプリケーションに影響を与えることなく、スマートフォン用の「見た目」に最適化された使いやすさを簡単に追加することができる技術が登場している。こうした技術を利用すれば、比較的大きな投資をせずともスマートフォン用の「使える業務アプリケーション」をつくることが可能になるのだ。これは、第1回で解説をした進化したグループウェア「コラボレーション・ソフトウェア」の最新技術のひとつでもある。こうした技術の進歩により、長年便利に使用してきた業務アプリケーションのモバイル化のハードルが下がり、モバイルの業務利用を実現している企業が増えてきているのだ。

■気が付けば、ムダな時間が多すぎた-「会社のデスクに縛られずに仕事をする」ことが生み出す影響とは?
先の事例で、今まで個々の「力技」で切り抜けていた場面を、モバイルの活用により時間や場所に縛られることなく効率的かつスピーディーに切り抜けている点が大きな改革ポイントであると解説した。
会社のデスクに縛られずに仕事をするということは、会社にいなくとも仕事ができる環境を持つことができるということだ。こうしたことが生み出す影響は、自身の業務効率化はもちろん、例で示したとおり一緒に業務を進める同僚も効率的に対応ができるようになり、結果としてお客様をお待たせすることや残業といったコストを減らせる点である。この状態が、全社員の間で行われたらどうだろう。一個人や部署レベルではなく、会社にとって良い影響が期待できるのではないだろうか。
モバイルの業務利用、導入へのハードルがぐんと下がった今、社員のモバイル活用をメールチェックやスケジュール管理だけに留めるのは、もったいない話である。先ずは「会社のデスクに縛られずに仕事をする」ことが生み出す価値を今一度考えていただき、モバイル活用がもたらすスマートなワークスタイルを皆さんに実現して頂きたい。

次回のIBM「ワークスタイルの改革に関するレポート」では、企業内ソーシャル活用が生み出す価値とその可能性について解説をしていく。


<関連リンク>
第1回再認識される日本企業の強み ─働き方の一歩先をのぞく─
http://bit.ly/Zjo5Os
IBM Collaboration Software
http://ibm.co/14BqBqR
XPagesでLotus Notes/Dominoアプリ開発入門
http://bit.ly/11MdwbG
XPagesでスマホWebアプリ開発入門(1)
Dojo Mobileベースでアプリが作れるXPagesの基礎知識
http://bit.ly/Z4P2cG
IBM Notes/Domino 9.0 Social Edition 公式リリース
http://ibm.co/10g1yml

企業情報

企業名 日本アイ・ビー・エム株式会社
代表者名 ----
業種 コンピュータ・通信機器

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