シンガポールをアジア統括拠点にする動向ニュースが頻発

2014年5月の日系企業の東南アジアへの進出動向を集計したレポートをまとめました。タイやベトナムでの政情不安や日系企業シンガポール拠点に関するニュースが目立つひと月となりました。

 コンサルティングと調査の(株)プログレス・アンド・パートナーズ(本社東京)は、提供商品である日系企業の動向情報をデータファイルで提供する経済レポート『経済Release Watch@東南アジア版』http://www.progressap.com/economy/)を運営する際に収集した日次データーの集計をもとに、2014年5月度の日系企業の東南アジア諸国への設立・進出・提携活動状況に関するサマリーをリリースしました(※1。

調査項目
 2014年5月期(2014/05/03~2014/05/30間の集計)の東南アジア各国への日系企業動向(ASEAN企業動向として収集した案件719件)より、「法人の設立(※2」、「現地への進出(※3」、「現地企業との提携(※4」に関する件数を独自に集計しました。

該当国
 東南アジア9ヶ国(ブルネイは除く)。

集計結果
 先月5月度の1ヶ月間を対象とした、弊社の独自調査による集計の結果、日系企業の「法人設立」「進出」「提携」と判断できる活動の合計が、ASEAN9ヶ国合計で108件と前月4月との比較で20%減と平日の少なさも影響して企業活動は低調でした。
 国別の集計では、シンガポールが23件でトップ(以下、インドネシア22件、タイ21件、ベトナム14件、マレーシア9件、ミャンマー8件、フィリピン7件、ラオスとカンボジアが各2件と続く)となりました。
 1位となったシンガポールは、「法人設立」が3位でしたが、東南アジア進出各社がシンガポール拠点を地域のハブ拠点として事業再構築を進めるニュースが多数あり、「進出」「提携」などの指標としては出てこない、拠点の増員に関するニュースが目立っていました。
 タイやベトナムでは、政情不安の中、一部業種を除き事業活動に対しては大きな影響はないとの報道が目に付きますが、新規事業の立ち上げや拠点の設立に関しては動向件数から鑑みると多少なりとも影響があると言わざるを得ない状況です。
 特筆すべきニュースとしては、ヤマト運輸とANAとの国際物流に関する提携により、日本発シンガポール向け「国際クール宅急便」の翌日配送が可能になる取り組みが挙げられます。国内の地方自治体が農水産物の輸出促進活動を展開している中、物流面からバックアップする形となっています。場合によっては、収穫の翌日に配送を完了することも可能となり従来の制約を越えたビジネスの展開に期待が持てます。
 自動車業界では、タイの政情不安も考慮して域内での2極化の動きが引き続き進んでいます。インドネシアでは日産自が第二工場を開設し、タイではホンダが販売目標の下方修正となっています。トヨタ自の豪州の自社工場閉鎖に伴う技術者の東南アジアへの派遣を事業化するなどのニュースもあり、自動車各社のタイとインドネシアでの動向は、引き続き域内でビジネスをする企業にとっての注目事案となりそうです。また、中古車シェアが域内隣国と比べて高いミャンマーではアフターマーケット市場への各社の取組みが進んでおり、自動車メーカー各社の現地代理店による自動車部品販売センターの開設・拡大のニュースが多く報道されていました。


※1:弊社の提供商品「経済ReleaseWatch」を月次で集計・再構成した内容。
※2:対象国に対し、新規に法人・駐在員事務所等を開設した件数。
※3:『設立』以外の、対象国に対し販売・開発・製造等の新たな活動をおこなった件数。
※4:現地企業と業務提携等をおこなった件数。


当レポートは弊社Webサイト
http://www.progressap.com/files/user/papRnewJ201405.pdf
に掲載しています。

企業情報

企業名 株式会社プログレス アンド パートナーズ
代表者名 桑野尚司
業種 その他サービス

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