広報担当者がまず考えるべき5W4H
広報に関わる方に多く接していると、「広報として何をしていいか分らない」「社内で価値を共感してもらえない」という課題を多く耳にします。特に国内ではまだ「広報・PR」の仕事が確立されておらず、「広報」部隊がある企業でさえ、その意味や価値を理解できていない事も少なくありません。 今回は、そんな時に広報担当者がまず考えたい「5W4H」をご紹介します。
「5W4H」をおさえて広報の仕事を効率的に
広報の仕事に関わる皆様は、「広報」の意味や役割、価値について改めて考えた事があるでしょうか。まだ広報業務が確立されていない組織では、一からそれを考えることは大変ですよね。一方で、広報業務が成熟している組織の場合、当たり前すぎて考える機会がないかもしれません。
しかしながら、そもそもの広報の仕事の意味や役割を考えなくては、目的に合った「広報・PR」活動はできません。また、5W4Hをおさえれば、仕事が効率的に回るのです。
そこで、「広報・PR」の意味・役割を整理する「5W4H」についてお話したいと思います。
広報における5W4Hとはつまり、
■Why :なぜ広報を行うのか。ビジョンのようなもの
■What :どのような活動ができるのか
■Who :だれが協力してくれるか
■When :いつ「How」を実行するか
■Where :具体的に使う手段はどうするか(プレスリリースの配信方法、公式HPの更新箇所と手段、社内報の編集・配布方法など)
■How :どうやって発信するか
■How much:予算は幾らか/予算の増減が可能か
■How many:プレスリリース年○回、プロモーションイベント年○回など
■How long:各手段をどの期間で実施するか/全体振り返り・見直し期間
です。以下から"5W4H"の考え方について詳しく説明していきます。
まずは「Why」「What」を考えよう!
企業(組織)にたとえて言うと「Why」はビジョン、「What」はミッションに近いでしょうか。
まずは「Why」。どんな仕事でも同じですが、まずは何故それをやるのかの「目的」を見直しましょう。組織の中で広報に期待されていることは何なのか。多くの場合、組織のブランディングに通じる役割があります。自分で考えるだけではなく、広報担当を設置した人(組織)に聞くのも良いでしょう。
「What」については、組織の中でどのような活動ができるのか、どのような存在価値が生み出せるかを考えましょう。大きな事でなくても良いですが、立ち位置を決める事で、組織内での行動も取りやすくなります。
「Who」と「How」があって初めて現実味が出てくる
「Who」というのは単純に広報担当者のことを指すわけではありません。「誰が協力してくれるか」が非常に重要です。小さい組織の場合は、広報担当者が他の仕事を兼任していたり、担当者が一人だけという事が多いですよね。一人で出来る事が限られているからこそ、「協力者」の存在が重要です。上司が組織の代表者であるなど、組織での影響力が大きい場合、その人に協力者の拡大をお願いする事も可能になります。
「How」は「Who」が決まって初めて決まるとも言えます。広報の仕事は対メディアへの情報発信だけではありません。公式HPをどうするか、オウンドメディア(ブログ等の自社運営メディア)をどう運営するか、社内報を作るか、社内の情報共有をどう工夫するかなど。まずは大きく、広報としてやる事、出来る事を考えましょう。
他の「2W3H」で具体的な施策を
根幹が整理できたら、残りの2W3H(When、Where、How much、How many、How long)で具体施策を立ててみましょう。
最後の「How long」に記述した「全体振り返り・見直し期間」はとても重要です。計画通りに進めようとしても、全てその通りという事はほとんどないからこそ、改善の余地があります。全体の振り返りは「半年」が一般的。「出来た事」「出来なかった事」「これから挑戦したい事」を振り返り、次の期間の計画に活かしてください。
最後に
今回の「5W4H」はあくまで広報の仕事の最初のまとめ方の一例に過ぎませんが、広報業務をブレークダウンした事で仕事がしやすくなったり、気持ちが楽になったなら幸いです。
「うちはメディアに取り上げられないから、何も仕事ができてない」と悩むなかれ。公式HPで取引先から信頼感を感じさせる事も、社内メンバーが社内報を見て少しでもモチベーションを高める事も、大切な広報の役割だと思います。「その組織の」広報としてやるべき事、出来る事から実践していってください。
(執筆・丸山夏名美)