新入社員でも「伝わる文章」が書ける4つのメソッド(後編)
メールや議事録、提案書など社会人は文章力を求められる機会が数多くあります。今回は4月から社会人として活躍する新入社員の方向けに、阿部紘久氏の著作『文章力の基本 簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック』から、伝わる文章を書くための4つのメソッドを、ValuePress!の新米ライターYossyが紹介します。前編から引き続き、ご覧ください。
(前編と同じく、長いのでご注意ください。)
メソッド2 文の前半と後半をかみ合わせる。
突然ですが皆さまは、文章を書く際、主語と述語を意識しているでしょうか?
おそらく中学生のときに現代文の文法を教わるかと思います。
しかし、僕もそうでしたが、内容を忘れてしまった方がほとんどだと思います。
文法の授業で習ったことを忘れても、もちろん、文章は書けます。
しかし。
皆さまはおそらく、ととのった読みやすい文章を書きたいと思っている、あるいは書かなくてはならない状況にいますよね?
ものすごく癪なことですが、整った読みやすい文章の、ほとんどは文法法則が守られています。
主語と述語を合わせようと意識するだけで、驚くほどに文が整います。
阿部紘久氏は本で、以下のように言いました。
“文の前半と後半がミスマッチに陥ることのないようにしましょう。間を抜かして、最初と最後だけを続けて読んでみて、「誰が何をしたのか」「何がどうしたのか」という関係を確認してください。”
主語と述語のつながりを意識して、文章を書くことが大切です。
これを踏まえるだけで、僕の前編に載せた、あの壊滅的な作文も、だいぶ整った文になります。
お母さんが言うには、ぜっ対にポケモンのゲームがほしかったです!
(主語が『お母さん』)
↓ 改善
お母さんはそう言ったけれど、僕はぜったいにポケモンゲームがほしかったのです!
(主語を『僕』に替えてみました。)
ちなみに、主語・述語のつながりがない文を書くのは、昔の僕だけではありません。
大人も意外と、気づかない間に主語と述語がかみ合っていない文を書いてしまいます。
下記に例を挙げました。
社長の言い分は、パートの人が勝手にやったと責任逃れをして、自分たちを守ろうとしていた。
↓ 改善
社長は、パートの人が勝手にやったと責任逃れをして、自分たちを守ろうとしていた。
この報道は明らかに、加害者だと疑われた人の人権が損なわれている。
↓ 改善
この報道は明らかに、加害者だと疑われた人の人権を損なっている。
文章をわかりやすくするためには、基本的な文法に沿って書くことが大切です。
品詞をそろえたり、主語と述語をつなげたり。
簡単な作業を覚えておくだけで、文章は革命的に整います。
メソッド3 修飾語は直前に置く
“書いている人は、すべての関係を分かっています。だからつい、思いついた順に書いてしまいがちです。しかし、読む人は何も知らないので、書かれた順に言葉を受け止め、理解するしかないのです。
この点で特に注意を要するのは、修飾語の位置です。修飾語は、なるべく被修飾語の直前に置くようにしましょう。”
つまり、下記のようになります。
山田は5オーバーでかろうじて優勝の翌週に予選落ちという不名誉を免れた。
↓ 改善
先週優勝した山田は5オーバーで、予選落ちという不名誉をかろうじて免れた。
プロゴルフの2日間の予選が終わったときの記事です。
この「かろうじて」は、「免れた」にかかっています。密接させるべきなのです。
原文では一瞬、「かろうじて優勝」したのかと誤解させてしまいます。
他にも、下記の文をご覧ください。
他の日曜日に練習する必要がある部に呼びかけて、日曜日の練習を許可してほしいと一緒に大学に申請した。
↓
日曜日に練習する必要がある他の部に呼びかけて、日曜日の練習を許可してほしいと一緒に大学に申請した。
読みやすくなりましたね。
先ほどの作文も、これを意識すると下のようになります。
とても僕は新しいやつが手に入ったので嬉しかったです。
↓
最近はつ売された新しいものだったので、とても嬉しかったです。
するりと読めるようになりましたね。
想像力が決め手
最後に、「相手の立場を想像して書く」ことについてお話します。
この章で最後ですが、ここからが長くなります。
しかしこれから書くことは、文章を書く上で一番大切なことです。
最後までお付き合いください。
まず、『文章力の基本』の、コラムに書いてあった文を抜き出しました。下記に書きましたのでご覧ください。
“文章を書くときには、自分の考えをはっきりさせると同時に、「相手の立場に立って感じたり考えたりすることのできる想像力」を持つことがとても大切です。
つまり、自分の言いたいことを精一杯表現したら、その後、一旦自分のことは全部忘れて、何も事情を知らない第三者になりきって、初めて読むつもりでその文章を読んでみます。そして、よりわかりやすくするために、あるいはより共感してもらえるように、必要な修正を加えます。“
ここで、僕は本を閉じて、皆さまに話させていただきます。
今まで僕は、新米ライターYossyは、文章を書いてもうまくいかず、こんなふうに悩んでいました。
「自分の頭の中にある『伝えたいこと』を、なかなか読者に伝えることができない。
どうやったら伝えることができるのかわからない。
頭をひねって考えたり、言葉を選んでみたり、文の構成を考えてみたりしても、どうしても伝えることができない。
『相手の立場に立って文章を書いてみてください。』と言われても、読者の立場に立つって、そんなのできないよ! だっておれ、読者じゃないもん!」と。
しかし僕は、次の考え方をすることで、「読者の立場を想像するって、こういうことかな?」と、わかったような気がしました。
『読者の頭の中を想像する。』
たとえば、こうです。
想像してみてください。
今あなたは、Facebookのニュースフィードを見ています。
ページを次々と読んでみると、あなたの「最近ほとんど会っていない」知り合いが、以下のように投稿していました。
「今日、木下と手児奈霊堂へ行きました。」
あなたは木下のことは一切知りません。
投稿に写真はありませんでした。
おそらくあなたは、何がなんだか全然わからないと思います。
何も理解できないと思いますし、何も感じることができないと思います。
(ちなみに手児奈霊堂とは、千葉県市川市にある寺院で、「手児奈」は万葉集に名の残る伝説上の絶世の美女の名前です。手児奈は多数の男の求婚を受けた末に入水自殺してしまうのですが、その魂が、手児奈霊堂では祀られています。)
おそらく、読むのが退屈になったでしょう。
手児奈霊堂のことなんて、市川市民か、よっぽど日本民俗に精通した方でない限り、知りません。知名度はそこまで高くない。
だからこそ、わからない。
上の解説文を読むまで、あなたの頭の中には、「手児奈霊堂」という情報が、周辺情報含めて全く入っていなかったと思います。
ゆえに、ただ「手児奈霊堂に行った」と書いてある文を読んでも、あなたはその知り合いの「手児奈霊堂へ行った」という経験に関して、何も感じることができないし、興味もわかなかったのでしょう。
しかし、このように書いてあったらどうでしょう。
今日、大学時代に所属していた歴史散策サークルのOBである木下と、千葉県市川市にある万葉時代の絶世の美女を祀った、手児奈霊堂へお参りにいきました。
手児奈霊堂とは、千葉県市川市にある寺院で、「手児奈」は万葉集に名の残る伝説上の絶世の美女の名前です。手児奈は多数の男の求婚を受けた末に入水自殺してしまうのですが、その魂が、手児奈霊堂では祀られています。
僕の筆力不足がゆえに、読んでいて面白い文章ではないかもしれませんが、内容はわかると思います。
このように書けば、少なくとも「木下と手児奈霊堂へ行った」体験について、あなたは理解できると思います。
手児奈霊堂を知らなかったときのあなたも、理解はできると思います。
生活をしていると、どこかで必ず、「世間の誰も知らないことを伝えなくてはならない」機会に遭遇します。世界中であなたを含めた数十人ほどしか知らない情報を、世間に向けて説明しなくてはならないときが来ます。
そのとき、どうやって書けばよいのでしょうか。
相手の脳には、あなたがこれから説明したいことの情報が、何一つないのです。
商品などの「モノ」や、考えなどの「概念」を一から説明することは、途方もないことにも思われます。
結論から言います。
一から情報を書くしかないでしょう。
とても手間がかかりますが、最初から1つずつ説明すれば、いずれは「伝わる」でしょう。
たとえば、あなたの友達を、全く知らない人に文章で説明したいときは、先ほどの木下を説明したときのように、
駒沢大学時代の歴史散策サークルのOBである木下
と、枕詞を付けて説明すれば伝わるかと思います。
あなたが説明したいと思っている商品やサービスや場所を、全く知らない人に文章で説明するときは、先ほどの手児奈霊堂の例のように、始めに概要の説明をします。
そうすることで、あなたの脳に「手児奈霊堂」がインプットされたように、説明相手の脳に「あなたが説明したいこと」がインプットされます。
その後は、その商品・サービス・場所が「周知のこと」になるので、話が進めやすくなると思われます。
「伝わる文章」を書くことは、実はとても難しいです。
しかし、ビジネスをしていると、報告や企画書の作成など、文章作成で苦労するときが来ると思います。
そんなとき、この記事がお役に立てたら幸いです。
これで記事を終わりたいと思います。
・・・すいません最後に!
教科書に使ったこの本、『簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本』はとても参考になるので、オススメです。
この記事では、本に記載されている77のテクニックのうち、たった4つしか取り上げていません。
“『という』を削る”、“同じ話はまとめて書く”など、本に書いてあるテクニックを守るだけで、あなたの文章がどんどん整理されることでしょう。
とてもすっきりした気持ちで、書いた文章を提出できると思いますよ!