共感で輪を広げる「ニコニコ超会議2015」
日本を代表する動画共有サイト「ニコニコ動画」。この祭典「ニコニコ超会議2015」が先日4月25日、26日に幕張メッセで開催されました。この「ニコニコ超会議」は2012年にスタートし、4年連続で来場者数もネット来場者数(ネットでのイベント参加者)も順調に伸びています。日ごろからネット上で繋がる人々が一同に会するイベントが盛り上がる要素は「共感」でしょう。今回はこの「共感」について見てみたいと思います。
ニコニコ動画の学園祭
今回「ニコニコ超会議2015」に参加して感じたことは、全体の一体感や盛り上がりが、まるで学園祭のようだという事です。集まった人々はリアルで出会ったのはお互い初めての人が多いはずなのに、いつも同じ目的や場所で生活している仲間のように交流している。一般的な学園祭が、日常活動による成果の発表などの目的で行なわれる学校行事だとすれば、ニコニコ超会議は、集まった人々が日常的に楽しんでいる「ニコニコ動画」の成果を発表し合い企画/共有している場ではないかと思います。
ブースは「超アニメエリア」、「超踊ってみた」、「超コスプレエリア」など複数のカテゴリーに分かれています。自分の関心のあるテーマのカテゴリーエリアに行けば必ず仲間と盛り上がれる。そんな仲間意識が芽生えているように感じました。
共感がプロモーションの最大要素
ネットで同じ趣味関心を共有し、その輪が広がる世界では、共感こそが最大のプロモーションとなりえます。この「ニコニコ超会議2015」は深夜や朝のテレビCMで情報が流れていましたが、そもそも関心がない人に何かを訴えかけるような内容ではありませんでした。CMを流す時間も「ニコニコ動画」を見る層がTVを見る確率が高そうな深夜ですのでターゲット層が明確だったのでしょう。
マスメディアではこれだけターゲット層を絞った広告のみであったにも関わらず、この会議の総動員数は15万1,115人、ネット来場者数は794万495人と発表されています。この人数は2012年のスタートから順調に伸び続けているとのこと。普段から「ニコニコ動画」を利用している人々が、お互いに共感しあって仲間がじわじわと増えているのでしょう。
ネットとリアルの融合がポイント
ネットで人と人が簡単にコミュニケーションを取れる時代といえど、多くの人はリアルの場での交流を求めています。気が合わない人と接するのは疲れてしまうけれど、気が合う人となら交流したいという傾向が良いか悪いかは置いておくとして、「ニコニコ超会議」の特定のブースに行けば、既に自分と同じ関心を持ち、自分を認めてくれる人々が集まっているのですから、まじわることのおっくうさも少ないでしょう。また、一緒に歌ったり踊ったりして盛り上がれるだけでなく、自分が参加する事で、自分が主人公になったように振る舞える空間としても価値があるようです。
共感で広がる「ニコニコ動画」の輪
ブースの企画で一つ印象的だったのは「ニコニコ歴史博物館」の中の「俺歴史コーナー」です。
ニコニコ動画の歴史年表に重ねるように、来場者が年表に自分の歴史を付箋で書き込めるというもの。ニコニコ動画がなければ同じ場に集まったり交流する機会がない人々が、同じ年表に人生を重ね合っていくという点に「ニコニコ動画」らしさを感じました。共感があれば取り分け目立ったプロモーションをしなくても大きくなる輪の今後の動向にも注目したいと思います。
(執筆・丸山夏名美)