女子大生が出したプレスリリースがメディアに取り上げられた3つの理由
プレスリリースは企業でなくては出せないと思われている方も多いと思います。けれども面白いことやニュース性のあるものなら、企業に限らず、個人・団体も発信することができるのです。ValuePress!からは、個人の方や団体の方のプレスリリースも多く配信されています。その中からプレスリリースとして優れているもの、面白いものを成功事例として紹介していきます。
一人の女子大生が立ち上げた企画が
メディアに引っ張りだこに
2015年5月5日に開催された「メロンパンフェスティバル」をご存知でしょうか? 数々のメディアに取り上げられたこのイベントは、実は一人の女子大生が立ち上げた企画でした。
立ち上げたのは、専修大学に通う平井萌さん。先日のメロンパンフェスティバルは第2回目なのですが、平井さん(正確に言うと、平井さんとその想いに集まってきた皆様が作ったメロンパンフェスティバル運営委員会)は、第1回目が開催される2014年に、ValuePress!からこんなタイトルのプレスリリースを配信しています。
Qメロンパンでコンゴを救うことに決めた女子大生が、世界初のメロンパンフェスティバル2014を開催!
そして2015年は、こんなタイトルのプレスリリースを配信しています。
Q日本最大級のメロンパンイベント5月5日(コンゴの日)に開催!
プレスリリースは企業しか出せないと思っている方も多いようですが、団体・個人でもニュース性があり面白い企画であれば、プレスリリースを配信することができることをご存知でしょうか? ValuePress!からも団体や個人の方からたくさんの面白いニュースが配信されています。
しかしながら、まったくメディアに取り上げられないケースも多々あります。
今回はなぜ、平井さんが出したプレスリリースがメディアに取り上げられたのかを、プレスリリースを見ながら考えていきたいと思います。
【1】プレスリリースの書き方の基本をおさえている
平井さんのプレスリリースは、書き方のルールがしっかりと守られています。
タイトルはキャッチーで、リード文では「いつ」「どこで」「誰が」「何をする」のかが一目でわかり、企画の概要、企画の背景、出展されるメロンパンの詳細、今後の展開、問合せ先までしっかりと書かれています。記者が求める基本情報がきちんと網羅されているのです。
個人が出すプレスリリースでも、甘えは許されません。企業が出すプレスリリース以上のものを書くつもりで書きましょう。
プレスリリースの書き方の基礎をおさえるのに、ドラゴンボールで学ぶプレスリリース基本の型の記事も参考になるかと思います。
【2】企画自体がキャッチー
肉フェスや東京ラーメンショーなど、何かの食べ物が一同に集結するイベントは話題性があります。
昨年、メロンパンの皮やメロンパンアイスなどでも注目されていたメロンパンが一同に集まるイベントは、それだけで話題性がありますし、パッと面白い絵が浮かびます。
企画が思い浮かんだら、その企画が絵になるか(雑誌の見開きに取り上げられてもおかしくないくらいのインパクトがあるか、テレビに出たら15秒飽きさせない映像が撮れるか)を客観的に考えてみると良いでしょう。
また、プラスアルファの話題性を創出できないか考えてみるのもお勧めです。平井さんは開催日をパクパクの日(8月9日)やコンゴの日(5月5日)に合わせていますが、これも話題性の1つになっています。
【3】主催者にストーリーがある
主催の平井さんを表すのに、まず、「女子大生」という単語はキャッチーです。しかしながらそれだけでは足りません。「女子大生」だけなら世に溢れています。
平井さんについた形容詞は、「メロンパンでコンゴを救うことに決めた女子大生」。
この形容詞がついたことで、読んだ人に「どういうことだろう?」「面白そう」という感情を起こさせました。忙しい記者は、タイトルを読んで興味を惹かれないプレスリリースは読みません。タイトルにいかにキャッチーなことが書かれているかで掲載率も変わってきます。
同じ人物を表すのでも、たとえば「漢検1級の黒ギャル」と「身長170センチ、飲食店勤務の女子高生」いうのでは、注目のされ具合がちがってきますよね。個人でプレスリリースを出すときは、いかに自分に面白い形容詞をつけられるかも勝負かもしれません。
しかしながら、キャッチーな形容詞で注目を浴びても、中身が伴っていなければがっかりさせてしまいます。
平井さんの場合は、キャッチーなタイトルに惹かれて中身を読むと、本文に平井さん自身の想いやストーリーが書いてあるのです。
国際協力や社会貢献に元々関心のなかった平井さんですが、ある日「だいすきなもの」×「何とかしたいこと」で社会をよくすることはできないかと思い立ちます。その「だいすきなもの」がメロンパンで、「何とかしたいこと」がコンゴ民主共和国の現状でした。
そのため、誰にでも馴染みのあるメロンパンを通して「世界最悪の紛争地」と呼ばれるコンゴ民主共和国の現状をより身近に感じてもらうことを目的としたメロンパンフェスティバルを企画。収益の経費を除いた全額は、コンゴ民主共和国で30年以上医療活動をする日本人女性、石田勝子さんに「英治出版みらい基金」を通じて寄付するという、誠実なストーリーがわかるのです。
発信し続けることで
一人の想いがみんなのものに
今回筆者は、2015年に出されたメロンパンフェスティバルのプレスリリースを見て、少し感動したのです。
2014年に配信した時のタイトルは、「メロンパンでコンゴを救うことに決めた女子大生」という、平井さんのストーリーを全面に押し出したものでした。2015年に配信されたタイトルからは、「日本最大級のメロンパンイベント5月5日(コンゴの日)に開催!」と、平井さん個人のストーリーが消えていました。
これは、平井さん個人が生み出した企画が、平井さんだけのものではなくなったことを意味します。「メロンパンイベント」「メロンパンフェスティバル」という言葉だけで、認知され、注目されるイベントになってきたのです。昨年に比べて全国から集まるメロンパンの数も動員人数も倍になりました。
メロンパンフェスティバルは、個人の枠を越え、みんなのものになったのです。実際、5月5日に行われたメロンパンフェスティバルにて、イベントをサポートしてきた平井さんの友人はスピーチで、「彼女の夢は、私の夢にもなりました」と言ったそうです。それを聞いた平井さんは号泣したとか。
何かを始めたら続けることが大切。そして続けるだけでなく、PRもしっかり行うことで、活動や想いをより広げていくことができるのではないかなと思います。
個人や団体ではプレスリリースが出せないと思っている方の参考になれば幸いです。