筑波大学発ベンチャー支援プロジェクトチーム結成! TFFとリーディング企業6社の共同記者会見レポート
日本初の大学系クラウドファンディング「一般社団法人 筑波フューチャーファンディングが、会社設立や運営のための支援提供を行う6社と提携し、学生発のベンチャー支援チームを結成。2016年2月17日に開催された共同記者会見当日の様子をレポートします。
記者会見では、TFFと提携企業5社(6社のうち1社はメッセージを代読のみ)が、提携に至った経緯や今後の展望についてコメントしただけでなく、TFF内で予定している「50万円で打ち上げられる人工衛星」の開発者である筑波大学准教授の亀田 敏弘氏がデモンストレーションを披露。参加メディアの質疑応答を含めて約1時間半の会見となりました。
Q【参加メンバー】
・筑波フューチャーファンディング(TFF)
・株式会社ライトアップ
・株式会社DMM.com(DMM.make.AKIBA)
・株式会社バリュープレス
・株式会社イトーキ
・アリベルタ共同会計事務所
・筑波大学
※TFF以外は当日の発表順に記載。
Q【プログラム概要】
1. TFFの業務提携と筑波大学・つくば研究所発イノベーションエコシステム3.0リリースについて
2. 提携企業からのコメント
※ランサーズは秋好社長のコメントを代読
3. イノベーションエコシステム3.0を利用した案件例紹介
4. 写真撮影
5. 質疑応答
6. 亀田准教授によるデモンストレーション
TFFの業務提携と筑波大学・つくば研究所発イノベーションエコシステム3.0リリースについて
TFFは筑波大学のOBが「もっと学校や地域を支援したい」という思いから始まった。起業支援の仕組みは他にもあるが、例えばVCでは「成長して欲しい」、「上場して欲しい」と大きくスケールする事を求められる。TFFでは、小さく始められる、起業のハードルを下げる、失敗してもまたやり直せる事を大切にするため、クラウドファンディングという形を取った。
当初より元LINE株式会社の森川氏も関わっていただき、スタートアップウィークエンド、筑波クリエイティブ・キャンプ(TCC)、つくばアクションプロジェクト(T-ACT)で学生のアイディアを引き出す事から始まった。その後TFFの結成、今回の各業界の6社との提携を経て、今後はシリコンバレーとの接点を持つ事を予定している。
このような取り組みを経ることによって、グーグルやFacebookに負けない事業が出てくる可能性がある。
(TFF 代表理事 佐々木 敦也氏)
提携企業からのコメント
Q・株式会社ライトアップ
学生は真面目でアイディアがある。更に、行動力もあるのに起業のノウハウがない事がボトルネック。ライトアップは中小企業向け経営支援を行ってきた経緯もあるので、起業面での支援はぜひとも力を入れたい。資金面でサポートできる例として、約3,000種類もある補助金・助成金の制度を活用してもらうサービスがある。
(株式会社ライトアップ 代表取締役社長 白石 崇氏)
Q・株式会社DMM.com(DMM.make AKIBA)
DMM.make AKIBAはビジネスのシェアスペースでプロトタイピング(※)に特化した設備を用意している。既に学生向けのスカラーシップ制度を導入しており、筑波大学の学生もいる。場所や設備の提供だけでなく技術面のサポートにより学生さんのアイディアを形にしていきたい。
※プロトタイピング:試作品(プロトタイプ)をユーザーに利用してもらい、ユーザー側の要望をより反映させたシステムやサービスを開発する技法。
(DMM.make AKIBA 総支配人 橋場 光央氏)
Q・株式会社バリュープレス
「ValuePress!」は4万社に利用されているプレスリリース配信サービス。昨年(2015年)からは特にスタートアップ等「新しい事を生み出す人」の支援に力を入れており、新規事業を応援するサービスと連携した「Value Apps(バリューアップス)」を提供している。PRは最初どのようにリソースを割いて、何をすれば良いか分からない人が多い分野なので、そのPR面で学生さん達をサポートしたい。
(株式会社バリュープレス 代表取締役社長 土屋 明子)
Q・株式会社イトーキ
イノベーションセンター「SYNQA」という施設を運営している。「SYNQA」は、ビジネステーマを共有し、企業の枠を超えたオープンイノベーションを実現するプロジェクトの場。東京に活動拠点がない人も無料で場所を使う事ができる。地方にいる人は場所というリソースがなくて苦労する事もあるので、協業のきっかけ作りや東京の拠点として利用して欲しい。
(株式会社イトーキ 経営企画部 戸田 裕昭氏)
Q・アリベルタ共同会計事務所
TFFがスタートした時に協力して欲しいと声をかけてもらった。現在はTFFの事務局として専用電話を設置するほど関係が深い。多くのベンチャーは夢と熱意があるが、他には何もない状態でスタートする。お金、名前、人脈、人材…。そして何より、自分自身が素晴らしい経営者でなくてはならない。そんな中で起業しようとする若い人たちの力になっていきたい。
(アリベルタ共同会計事務所 代表 吉田 光一郎氏)
Q・ランサーズ株式会社(メッセージを代読)
私(秋好社長)自身、大学生の頃に「学生ベンチャー」としてビジネスを行っており、スタートアップの大変さを実感した。今回の提携で声をかけていただき、学生起業家にとって、もっとも重要で難しいプロセスを解決する取り組みに参画できる事を非常に嬉しく思う。
(ランサーズ株式会社 秋好 陽介氏)
イノベーションエコシステム3.0を利用した案件例紹介
「50万円で打ち上げられる人工衛星」
人工衛星のプロジェクトは2010年から2011年にかけて始まり、当初から私(亀田准教授)が実質的責任者として活動している。人工衛星の研究には多大な資金がかかるため、実践的な講義をすると研究費だけではすぐにお金が尽きてしまう。そんな中、学生たちがTFFでお金を集めてみたいと案を出してくれた。
多大な資金を使わずとも研究が進められるように、安いモジュールの開発ができないかと模索していた時に、JAXAから宇宙試験装置、振動試験装置を提供していただいた。更に、筑波大学の放射線装置も2015年度から稼働。研究とご縁や運が重なり、50万円足らずで打ち上げられる人工衛星が開発できた。
今後は人工衛星を実際に打ちあげたという実績を重ね、衛星モジュールを販売する会社を学生主体で運営したいと考えている。学生時代から事業運営やJAXAへの報告資料作成など実務に関わってもらう事で、将来の世界を担う人材を輩出していきたい。
(筑波大学 准教授 亀田 敏弘氏)
写真撮影
今後の活動に共同で取り組んでいくため、円陣を組んで写真撮影を行いました。
質疑応答
記者会見に参加したメディアの方より、幾つかご質問をいただきましたので、抜粋してご紹介します。
Q:年間どのくらいの数のプロジェクトを支援していきたいか。
A:現在は月1件程度と考えている。数をそのレベルに抑える理由は、一つひとつのプロジェクトに密に接していきたいため。泥臭いぐらい、しっかりと付き合っていこうと思うとそのくらいとなる。更に言うと、事業開発をしたプロジェクトのうち年間3社ぐらいを登記に持っていくなど形にする支援をしていく予定。
Q:他のクラウドファンディングプラットフォームと異なる点は何か。
A:先述した通り、密なコミュニケーションを取りながらプロジェクトに関わっていく点に加えて、地域色がある点が異なる。門戸は広げているものの、やはり「つくば」や「筑波大学」の色がある。
Q:提携先は、今回の取り組みにより収益を見越しているのか。
A:(各社ともに)短期的な収益は期待していない。今回の提携は、若者たちの起業に際して不足してしまう部分を支援したいという共感から参画に至った。
亀田准教授によるデモンストレーション
50万円で打ち上げられる人工衛星を使って、無線を飛ばすデモンストレーションを行っていただきました。
今回のチーム結成は、各業界のリーディングカンパニーが集結した「産学連携」の第一歩です。株式会社バリュープレスはメンバーの一員として、学生のアイディアを日本市場だけではなく、世界市場に向けて早い段階でリリースし、事業モデルを構築できるようサポートしていきます。