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社員がスターになれる広報戦略

大手化粧品メーカーの広報として活躍した後、出産、育児休暇を経て株式会社ブラケットのPR担当に。復帰後は、「まだ名の知れていないスタートアップ企業で広報をやりたかった」と語る千田絵美さんに、独自の広報戦略についてお話を伺いました。

他社がやっていない広報活動を


Q千田さんがブラケットの広報になったきっかけは?


以前は大手スキンケアメーカーで広報をしていました。育児休暇を一年取ったあと、またPRをやりたいと考えたときに、次はまだ誰にも知られていないような、これから大きくなっていくサービスのPRをしたいなと。

そんなとき、人づてに紹介されたのがブラケットでした。ブラケットのメインサービスは、「オシャレなオンラインストアを最短2分で誰でも簡単に無料作成できる『STORE.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー)』」なのですが、そのサービスが立ち上がって1年くらいでした。もっと拡大させていこうというフェーズで、PR担当を探していたのです。

実はブラケットのサービスが何か知らなかったのですが(笑)、取締役が知人でして。あの子が働いているならいいかなと。スタートアップでやりがいのある広報ができそうなのと、働いている方たちを見て、2013年7月に入社しました。

 

Q初のPR担当として、経営陣からはどのようなことを期待されていたのでしょうか?


sendasama6細かいことは特に何も言われず、今も基本放置されています(笑)。ただ、3つだけ言われていることがありました。「イケてる会社、イケてるサービスだと思われるように」「マスサービスを目指す」「他のところがやっていないような広報活動をしてほしい」と。

入社して1年は、プレスリリースを週一でだしたり、毎日メディアキャラバンをやったりと、オーソドックスな広報をやっていました。マスサービスを目指しているので、テレビ露出は必須です。2013年7月にスタートトゥデイの仲間入りをしたときは多数のメディアに取り上げられたり、グッド!モーニングに出たときには、サービスへのアクセスが一気に伸びたりということもありました。

地道な活動が功を奏し、月に1本以上テレビに出していただけるようになるなど、手応えを感じるようになってから、ブラケットらしいユニークな広報をやりたいなと思うようになりました。

ユニークかつ「他のところがやっていないような広報活動」ということで、面白い社内制度のPRは他社でも行われているからやらないなど、自分の中に基準がありました。

 

 

Q他がやっていない広報活動にはどんなものがあるでしょう?


たとえば2015年1月から、プレスリリースの代わりに、「ニュースレター」をメディアの方に郵送しています。そのニュースレター、A4判の堅い「板」でできているんです。


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ニュースレターはそれまでにも送ったことがあるのですが、普通のA4の紙を封筒に入れて送ってもメディアの方のもとに毎日大量に来る郵送物に埋もれてしまうと。代表の光本と、何が目立つかなと話したときに、「板にしよう」と(笑)。

受け取った方も迷惑だし、捨てるのも大変だと思います。でも割と見てくださる方が多くて、「板が届いたんだけど」と連絡をくださったり、ニュースレターに書いてある内容を見て取材したいと言ってくださったり。良くも悪くも反響はありますね。

 

社員にスポットを当てる


Q貴社のホームページを見ていると、社員にスポットを当てたものが多いような気がします。社員の皆様の写真集も出されていますね。


ブラケットらしいPRは何だろうと考えていたときに、ブラケットのメンバー一人一人に聞いてみたんです。普段から社内を歩きまわったり、SNSでブラケット社員が褒められているのを見たら本人にフィードバックするなどコミュニケーションを取っていたのですが、改めて、「ブラケットの何が好きか?」と聞いてみたのです。

そしたらみんな、「メンバーがいい」とか「人がいい」とか「社員の性格がいい」とか。口裏を合わせているのかと思うくらい同じことを言うんですね。それを聞いて、そうか、うちのイケてるところは「人」なのかと思ったんです。それがきっかけで、社員にスポットを当てたPRを始めました。

 

Q社員の皆さん、モデルみたいですよね。顔採用かと思いました。


そんなことはないのですが(笑)、ファッションに興味があるという子は多い気がします。社員の写真は、同じビルの別の階を倉庫兼撮影所にして、カメラマンに撮ってもらっています。みんなPRに理解があり、嫌がらずに出てくれて、協力的なので助かっています。

sendasama04お正月にSTORES.jpで「ブラケット社員の福袋ストア」を開設して、社員がそれぞれ自分オリジナルの福袋を販売したときがあったのですが、1万円する福袋が十数分で完売した子もいたりと、社員の知名度も上がってきている気がします。

社員一人一人が有名になっていくと、今作っているサービスが世に出たときに、このサービスってあの人が作ったんだ、って認識されやすくなりますよね。会社の評判が上がると、社員の評判も上がっていく。そうしたら社員も責任を持って仕事ができるようになるので、非常に好循環なPRかなと思っています。

 

Qブラケット占い」にも社員の方が出てらっしゃいますよね。


あれは実は会社とは関係なくて、私が占い好きなのでやっているんです。スピリチュアル広報と名乗ろうとしたこともあるくらいです(笑)。『ELLE』とか『VOGUE』とか、女性ファッション誌って、たいてい占いがついているじゃないですか。占いコンテンツって、リツイートされるし、見る人は毎週見るので会社のPRにもなるし。

…という理由で、星占いやらせてくださいと光本に言ったら、いいよと言ってくれたので始めてみました。既存の占いに私の占いを混ぜて、楽しくやっています。

 

女性を応援すると社会が元気になる


Q千田さんは非常に個性的で魅力ある方ですよね。個人として、これから目指していることはありますか?


sendasama7母親になってから、仕事に費やせる時間も限られてきた中で、自分は本当は何をしたいんだろうと考えたんです。出てきた答えが、女性を応援したいという気持ちでした。女性が元気になると、男性も元気になるし、子どもも旦那さんも元気になる。
女性がニコニコ笑っているだけで、会社の人も道行く人も笑顔になったりする。女性というのは非常に波及力が強いので、自分自身が元気になると周りの人も元気になるんじゃないかなと。

その想いが、4月に開催した「第1回STORE.jpウーマンサミット」にもつながっているんです。

 

Qウーマンサミット?


STORES.jpでは、20万店舗以上のストアが開設されているのですが、その半数が女性なんですね。オンラインストアの運営は、家事や育児の合間に自宅で行うことができて、かつハンドメイドなど自分の好きなものを商品として販売できる、女性が輝ける場所なんです。
ウーマンサミットは、参加者の皆様に1分半プレゼンをしてもらうなど、オンラインストア運営の楽しさをより多くの方に知っていただく場になっています。

 

Q女性ならではの細やかな心配りができて、元気で明るい千田さんならではの企画ですね。最後に、ブラケットでの目標はありますか?


sendasama03ブラケットを、Yahoo! やクックパッドのように、誰もが知っているマスサービスにすることです。そのために、今は言えませんが、他社がやっていないPRをどんどん仕掛けていく予定です。

自分のお店を持つというのは、誰でも一度は憧れたことがあるのではないかなと。今は2分で簡単にオシャレな自分のストアを持ててしまう。一人でも多くの方に、自分のお店を持つ楽しさを知っていただけたら嬉しいですね。

(取材日:2015年3月30日/撮影:菅井 淳子)

千田 絵美氏

企業名
株式会社ブラケット
部署・役職
PR担当
設立
2008-10-10
所在地
東京都渋谷区神南1-20-15-2F
URL
http://bracket.co.jp/
プロフィール
1980年生まれ。小学校教師、広告営業、IT企業広報、化粧品メーカー広報、育児休暇を経て株式会社ブラケットに入社。PR担当に。

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