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理念の伝道師として

不動産・住宅情報サイト『HOME’S』を運営するネクストでは、理念を記した「ビジョンカード」を社員全員が持ち歩いている。広報担当の鈴木朋美さんは、会社の代表として発信する広報こそ、理念の伝道師であるべきと語る。

大切なのは自社を知ること


Q早速ですが、広報に必要なスキルは何だとお考えですか?


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まず、最低限3つの知識が必要だと思っています。自社サービスに関する「商品知識」、業界特有の事情やトレンドに関する「業界知識」、そして自社の理念、文化、歴史に関する「自社知識」です。

忘れられがちなのが、3つ目の自社知識。広報は、会社の代表として社外に発信する仕事ですから、ここがブレると、情報の受け手には一貫性がないように映ってしまいます。

自分たちの会社がどんな理念を持っていて、今回発表する内容とどう紐づいているのか。それをきちんと把握し、一貫性をもって伝えることが、記者や消費者の信用を得ることに繋がります。

 

Q商品知識や業界知識は書籍などで学べる環境がありますが、自社知識はどうやって深めていかれたのでしょうか?


私の場合、まだ社員数が20人くらいの時に入社したので、どういう考えのもと、どんな取り組みをしてきたのかを、実体験を伴って得られているのが大きいですね。ベンチャーだと自社知識に関するまとまった資料もないですし。社歴が長いため、社長や役員とも気軽に話せる点は、スムーズな広報活動を行う上でメリットになっていると思います。

 

Q会社の理念作りにも携わったのですか?


入社した翌年の2004年、経営理念を決めることになり、当時40人程度だった社員全員で数か月間議論を重ねました。代表の井上とも、「働くってどういうこと?」「人の幸せってなんだろう」といった哲学的なところから膝詰めで談義をし、結果できあがったのが現在掲げている経営理念です。こうした過程を体験できたことは、広報担当として恵まれていると思いますし、そういった巡り合わせに感謝しています。

 

経営者の意図を把握するための情報共有


Q社員の意識はどのように汲みとっているのですか?


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今は、月に1回全社総会のような場があって、社員全員がそこで井上から直接話を聞いています。私の場合、メディアの社長取材に同席することも多いので、そこで井上が話したことを部署内で共有したり、機関投資家とのミーティング時の内容をIR担当から教えてもらったりして、井上の想いや意図を把握するようにしています。

各部門の細かな動きについては、各ミーティングにオブザーバーとして参加したり、社内のキーパーソンに定期的にヒアリングしたりしてキャッチアップしています。あとは、ランチがてら情報交換したり、通りすがりの社員に声を掛けたりですね。

 

Q商品知識と業界知識はどのように仕入れているのですか?


私は、入社してから5年間『HOME’S』の事業部門にいましたので、商品知識のベースがあります。最新の情報は、先ほどお話した各部のミーティングへの参加等で補っています。

業界知識は、まず業界紙。次が、弊社営業担当とのコミュニケーションです。やはり現場を知っている人から聞く話は貴重です。あとは着工戸数などの統計データも追っています。どの新聞、どのサイトのどのコーナーを見れば、その指標に関する情報を得られるのかが、おおかた頭に入っているんです。

 

広報活動が、数年、数十年先のネクストを形作る


Qどんな媒体にアプローチしているのですか?


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『HOME’S』のクライアントが不動産業者ということもあって、不動産系の住宅業界紙を中心にメディアアプローチをしています。プレスリリースを配信したり、記者向けの説明会を開いたり、それ以外にも細かく連絡を取って密なコミュニケーションをとっています。

ただ、毎年1~3月は引越しシーズンなので、この期間は集中的にテレビや新聞、雑誌などの一般メディアを回っています。その際は、『HOME’S』のサービスについてだけでなく、「そもそも家を探すってどういうこと?何から考えれば良いんだっけ?」といった基礎的な情報も含めてメディアへ提案しています。

 

 

Qこれから挑戦したいことを教えてください


個人的には、社員の両親ぐらいの方に社名を伝えたら「あの会社ね」とイメージできるくらいまで会社の認知度を上げたいと思っています。せっかくベンチャーにいて、まだまだこれからという段階ですから。そのためにも弊社が露出する媒体の幅を広げていきたいです。

 

Q会社としてはいかがですか?


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今、私たちのコーポレートコミュニケーショングループでは、専任のブランド担当を置いて、コーポレートブランディングプロジェクトを進めています。これまでも『HOME'S』のブランディングは行ってきましたが、今は会社としてのブランド力を高めていくために広報として何ができるかを考えています。

広報活動は、事業への貢献度合いを測るのが難しいですが、ブランドを築く、すなわち数年、数十年先のネクストを形作ることには繋がっていると思います。コーポレートブランディングは、弊社としても新しい試みなので、広報として色々な面でチャレンジしていきたいですね。

鈴木 朋美氏

企業名
株式会社ネクスト
部署・役職
コーポレートコミュニケーショングループ 広報担当
設立
1997-03-12
所在地
東京都港区港南二丁目3番13号 品川フロントビル
URL
http://www.next-group.jp/
プロフィール
大学を卒業後、SEとしてシステム開発会社へ入社。その後、IT業界紙の記者等を経て2003年5月にネクストへ入社。『HOME’S』の企画マーケティング部門等を経て、2009年4月より現職。

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