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過渡期に探る広報のかたち

2013年7月10日に東証マザーズへ上場したフォトクリエイト。経営管理業務の傍ら広報を担当している吉村恭輔さんは、限られたリソースの中で経営理念を伝える広報のあり方を模索する。

管理業務と広報と


Q吉村さんは経営管理部に所属されていますが、業務内容について教えてください。


社内の予算作成とその管理、それにIRがメインの業務になります。管理という面では予算・経費の執行状況を確認し、必要に応じて改善やコストカットの提案をしていきます。IRでは、機関投資家や一般投資家に対して、弊社の業績をご説明したり、いただいた質問に返答したりしています。

Q広報はどういった活動をされていますか?


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私は2013年3月に入社して4ヶ月目を迎えるわけですが、前任も含めて、専任として広報の業務にあたれるわけではありません。現在の広報活動は、取材対応に絞っています。特に、2013年7月10日に東証マザーズ市場に株式公開をした後は、多くのメディアからお問い合わせをいただき、新たな広報体制の必要性を感じています。

できれば、記者さんとの関係作りやこちらからのアプローチ、広報関連イベントの開催といった「攻めの広報」をしていきたいものです。しかし、なかなかリソースを割くことができず、取材対応の多い今でも、広報活動に割ける時間は全業務の1割ぐらいですね。

Qそういった状況の中で、広報の必要性をどこに感じていますか?


弊社のビジネスモデルは、専業で同様の業務をおこなっている会社がないユニークなものです。それ故にビジネスモデルへの理解も十分ではなく、写真を現像する写真屋さんや撮影スタジオと間違われたり、写真屋さんと競合関係にあるサービスだと誤解されている場合もあります。

「イベントの思い出をプロのカメラマンに撮影してもらう」という新しいサービスの概念を浸透させていくためにも、積極的な広報を通じて、関連業界の中だけではなく、広く一般の方々に弊社のことを正しく理解していただくことが、今後より求められてくると感じています。



コードレビュー、リファクタリングの視点でプレスリリースの原稿をチェック


Q吉村さんは、かなり多彩な経歴をお持ちと伺っています。


新卒で入った日本HPから数えて弊社が6社目ですね。職種も当初はSEだったのが、CIOなどの経営層と話をする機会が増えるにつれて、全体を見通す視点でプロジェクトに関わりたいと思うようになり、3社目の夢の街創造委員会で経営企画の分野とIRに携わりました。そこからカルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、前職、そして弊社に至っています。

Qこれまでの経験は今の業務にも生きてきていますか?


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実務的なところですと、データの集計をするときなどに、自分でSQL(データベースの操作を行うための言語)を叩いてデータを取得できます。たとえばプレスリリースのネタとして、自社の売上データを元にシンクタンクが出しているような統計調査を行うことも自分一人でできます。

また、原稿チェックに関しては、かなり得意という意識がありますね。プログラミングには、仕様どおりにコードが書かれているかを確認する「コードレビュー」と、読みにくいコードをきれいにする「リファクタリング」という作業があります。その習慣が、プレスリリースの原稿チェックにおいても、誤字脱字はないか、意図した内容になっているか、誤解される表現はないかといった視点につながっているんです。

書くこと自体も好きです。今も仕事外でクラウドソーシングに関する本を執筆しています。

Q実際に仕事でもコードを書くことはあるのですか?


プログラミングを仕事にはしないと決めています。ただ、趣味ではJavaやJavaScriptを使ってスマートフォン用のアプリを作ったりしています。一番反響が大きかったのは『ねちゃったー』というTwitterと連動する機能をもったアラームアプリです。2012年のR25が主催した「第2回Androidアプリ大賞」でR22特別賞を受賞しました(笑)。



社長の取材同席をシミュレーションの場に


Q貴社においては経営管理部が広報機能を担っています。経営戦略への深い理解が求められるのではないでしょうか?


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もちろんです。広報が経営戦略に対する正しい理解を持っていないと、紙面やテレビを通じて正しくない情報が広がってしまいます。会社の方針や経営陣の想いを見誤らず、しっかりと会社の理念を理解することは、広報の最重要課題のひとつと言えると思います。

そして、経営理念というものは、原則普遍的なものです。今期の重要施策を押さえ、会社がどちらに進もうとしているのかを理解する。さらにそれを自分の言葉で説明できるというのが、広報の基本的な能力ではないでしょうか。

Q経営陣との意思疎通で意識している点はありますか?


やはり社長、役員とのコミュニケーションは重要になってきますね。私はIRにも携わっているので社長と話す機会は多いのですが、広報とIRが分かれている会社は大変だと思います。

私が広報として勉強している場のひとつに、社長への取材同席があります。基本的に私自身は横で聞いているだけですが、記者の質問に対して、自分でも回答をシュミレーションして、実際の社長の答えと比較し、ギャップをなくすよう努力しています。

Q今後の目標を教えてください。


まずは、定期的に情報発信ができる体制作りからスタートしたいですね。上場直後で決算も間近なので今すぐは厳しいですが、9月になれば両方落ち着いてくると思います。そこからスタートして、プレスリリースを月に1回出すといった明確な目標が作れればと思います。

社内からも広報に対する期待感を感じています。特に営業部門では、掲載された記事が営業活動のツールとして強い武器になることもあり、彼らの期待には応えていきたいですね。

(取材と文:桂 唯祐/撮影:教来石 小織)

吉村 恭輔氏

企業名
株式会社フォトクリエイト
部署・役職
管理本部経営管理部 部長
設立
2002-01-24
所在地
東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル3F
URL
http://www.photocreate.co.jp/
プロフィール
新卒で日本HPにSEとして入社。その後、夢の街創造委員会、カルチュア・コンビニエンス・クラブなどを経て、2013年3月にフォトクリエイトに入社。経営管理業務とともに広報IRを担当している。

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