サービスの上流からプロモーションまで、全てにかかわるスタートアップ広報
「グローバル市場で成功する日本企業を10,000社作る」を掲げ、海外進出を考える日本企業と海外進出支援企業のマッチングや、海外ビジネスの情報を配信している『Digima~出島~』。運営元の株式会社Resorzで、広報はじめ管理部門の業務を一手に引き受ける高島優季さんに話を聞いた。
新たなサービス市場への対応が課題
Qまずは、高島さんの広報業務について教えてください。
自社サイトのサービスを広めるための広報業務が中心となります。主要サービスの『Digima~出島~』のお客様は、海外進出を検討している企業と、そうした企業を支援する企業の2方向あります。後者のお客様に新規にご参画いただいた際や、海外ビジネスコラムに寄稿していただいた際には、プレスリリースを発行しています。
また、月1回のペースで海外ビジネスに関するノウハウセミナーを開催しており、集客を図るため、Facebookなどを使ってソーシャル上でのプロモーションも行います。『Digima~出島~』やResorzのFacebookページも設けていますので、その運営や記事の執筆などもしています。あとは、各種メディアからの取材対応ですね。
そして、人事の業務にもあたるのですが、リクルーティング広報も手がけています。ちなみに今は、「ヒッピー営業」という一風変わった募集名で長期海外出張型営業の募集をしています(笑)。新興国、途上国を巡って、現地の様々な事業者とリレーションをつくり『Digima~出島~』をはじめとした、当社の海外支援サービスを広めていく仕事に上手く興味を持ってもらおうと思い、社長とこの募集の広報企画も考えました。
Q広報を担当する上で、どういった目標をお持ちですか?
今年私がResorzにジョインして、初めて広報というポジションでの業務を担当しはじめたので、まだ具体的な数値目標は立てられていません。ただ、代表の兒嶋(こじま)からは、コンスタントに月1つ以上は何らかのパブリシティに露出していきたいと言われています。私としても、ぜひそうしていきたいと考え、これまでの人脈などを頼りに広報活動を行っています。
実はまだ、テレビメディアには大きく取り上げられていないので、今後そういったチャンスがあった際は、上手く当社の魅力を取り上げていただけるよう企画していきたいと思います。
Q広報業務における今後の課題は何でしょうか?
私たちは『Digima~出島~』を「海外進出のための情報プラットフォーム」と捉えており、今後、このサービス上に次々に新しいサービスを創り上げていきたいと考えています。その度に新しいお客様層にアプローチしていく必要も生じると思いますので、新サービスが出る時に、できるだけスムーズにプロモーションできるようにしていくことが必要です。
また、今年は新事業として日本が誇る「マンガ」という文化と「動画」のメリットを掛け合わせた『マンガ二メーション』というサービスをリリースしました。このサービスでは、連載経験のあるプロのマンガ家100人の中から、希望のテイストにあったマンガ家を選び、彼らにストーリーの企画からマンガの原画作成までを任せ、それを動画に加工し提供しています。「マンガならば見てもらいやすく、わかりやすい説明ができる」というメリットがありますので、例えば、わかりにくい商材のPRなどにも有効です。マンガはクールジャパンを象徴するものとして、海外でも非常に人気が高いので、海外進出の際の自社のPRにも活用できますし、通常のアニメーション動画より低価格で作成できるというメリットもあります。
こうした新事業の立ち上げについても、これまでのサービスとはまた違ったプロモーションや広報活動を行っていかなければならないので、どういったプロモーションが有効なのかを検討しなければならないと考えています。
数多くの企業を見た経験が土台に
Qでは次に、高島さん個人の略歴をお教えください。
高校時代から、「いい情報を形にして伝える仕事をしたい」という想いがあり、大学は広報学科に入り広告や、メディアコンテンツについての勉強をしていました。卒業後、求人情報サイト運営会社で広告営業と求人記事の取材、新規事業の企画などに携わった後、ITベンチャーで人事総務や広報業務を経験。大手インターネット総合企業では社内報の取材記事の制作を行うなど、それぞれの会社で広報関連業務を含む様々な仕事に就いてきました。
Qそれらの企業で経験した、どんなことが今の仕事に活きていますか?
最初に就職した求人情報サイトの会社では、営業担当が採用情報の取材・撮影まで行っていました。数多くの企業をインタビューして、どう表現すれば魅力が伝えられるかを考えるという経験を積めたことが、私の土台になっていると思います。また、様々な規模や業界の企業を見てきたので、自社の置かれている状況を客観的に相手側から見るように心がけています。「自社のサービスは、こういう風に伝えないとこのターゲットには伝わりにくい」、「こういう角度でアピールすることで取材してもらいやすくなるのではないか?」といったことを考える時に、これらの経験が活きていると思います。
それ以降のITベンチャーでは、例えばこういうやり方をすればバズりやすい!といったソーシャルメディアマーケティングのテクニックなどを学べたと思いますし、それぞれの企業ならではの考え方や知見に基づいた広報業務を経験できました。これまでやってきた業務経験の幅の広さを今後も強みにしていければと思っています。
人と人をつなげることが得意
Q広報担当者にはどんなスキルが必要だと感じていますか?
自社のサービスは、自分たちがいいと思っているところを一方的に主張していても相手には届きません。ですから、客観的な立ち位置から見つめて、伝えたい相手がいいと思う部分を引き出す力が必要だと思います。
また、人と人をつなげる力も大切だと思っています。「この人とこの人を結びつけると一緒に面白いことができそう!」と思いつくことがあれば、積極的に紹介して、さらに人の輪を広げられるよう心がけています。
Qでは最後に、ご自身の今後のビジョンを教えてください。
当社代表の兒嶋(こじま)は、「新しい事業やサービスを生み出せないか?」「何か面白いことが仕掛けられないか?」と常に自身や社員に向けて発信しています。私も企画会議に参加し、「広報の観点から考えると、こういう企画やサービスにすると面白いのではないか?話題になりやすいのではないか?」といった意見を出せる環境にあります。
事業やサービスづくりの上流から、その広報プロモーションまで全てにかかわれるのは、スタートアップならではの面白さであり、これまでの経験の集大成が求められているのだなと常々感じます。ですから、今後はさらに広報というポジションで力を発揮して、会社の成長に貢献していきたいですね。
(取材日:2013年12月5日/取材と文:髙橋 光二)
高島 優季氏
- 企業名
- 株式会社Resorz
- 設立
- 2009-02-05
- 所在地
- 東京都目黒区青葉台3-3-11 みどり荘3F
- プロフィール
- 広報だけでなく、管理業務や顧客対応、新規事業・サービス改善の企画まで、事業全体に幅広く携わる。