ピロリ菌のTip alpha蛋白質は、癌化・炎症に関与するケモカイン遺伝子群を胃上皮癌細胞に高発現させる。
ヘリコバクター・ピロリ菌の分泌するTip alpha蛋白質が、胃がん細胞に、炎症性サイトカインであるケモカイン因子群を高度に発現誘導することを見出した。
徳島文理大学・薬学部、葛原隆(助教授)、藤木博太(教授)及び埼玉がんセンター、菅沼雅美(主任研究員)、来栖みき(研究員)により明らかにされた研究成果「ピロリ菌のTip alpha蛋白質は、胃上皮癌細胞にケモカイン遺伝子群を高発現させる。」が、ドイツの癌学術誌Journal of Cancer Research and Clinical Oncology誌の学術論文として11月28日にインターネットオンライン掲載、2007年2月もしくは3月号に誌面として発表されることになりましたので、ここにプレスリリース致します。
(説明文)
日本を含むアジア地域にとって、未だに胃癌は重要な脅威であります。
その胃癌の主要な原因がグラム陰性のらせん菌であるヘリコバクター・ピロリ菌です。
胃潰瘍・胃癌におけるピロリ菌の重要性は広く認識されるようになり、2005年のノーベル医学生理学賞はピロリ菌の発見であるオーストラリアのマーシャル博士とウォーレン博士に授与されました。
私共はこれまでにピロリ菌において、細胞由来の発癌プロモーターであるTNF- alphaを誘導する因子としてTip alpha遺伝子を同定し、Tip alpha蛋白質が発癌を誘導する活性を有すること、NF-kappaBを活性化することなどを報告してきました。
Tip alphaは、2量体形成により、細胞にTNF- alphaを誘導、癌化を促進します。2量体形成ができない変異体であるdel-Tip alphaは、癌化の活性を示しません。
一方、ケモカインは癌化を引き起こす炎症性サイトカインとして解明されてきていますが、ピロリ菌のどの分子がケモカインを誘導するかはまだ分かっていませんでした。
今回、私共はTip alphaが発現誘導する遺伝子を包括的に調べたところ、多数のケモカイン遺伝子群が誘導されることを見出しました。また定量的PCRにより、その発現量を検定したところ、コントロールや不活性型のdel-Tip alpha処理した細胞に比べ、数十から数百倍もケモカインの遺伝子発現が亢進することを見出しました。
そのことから、Tip alphaは、炎症性サイトカインであるケモカイン因子群やTNF- alphaを誘導することによって、胃癌の癌化を促進する重要な因子であることが解明されました。
今回、解明した要点は、Tip alphaが胃癌細胞に作用し、そこからケモカイン因子群が強く発現し、炎症・癌化が誘発されます。
炎症と癌化は密接に関連しているということが、ケモカイン遺伝子の高発現で示されました。
【論文の掲載】
印刷版は2007年の2月もしくは3月の予定で掲載されますが、先行してweb上のオンライン記事が掲載されます。従いまして、まだ印刷版の号、頁などの詳細は未定ですが、オンライン上の番号は次の通りとなります。 DOI: 10.1007/s00432-006-0169-6
http://www.springerlink.com/content/ww55267378045l22/
発表雑誌: ドイツ癌学術誌Journal of Cancer Research and Clinical Oncology誌
題:Helicobacter pylori-secreting protein Tip alpha is a potent inducer of chemokine gene expressions in stomach cancer cells
問い合わせ先:徳島文理大学・薬学部・8階・生化学教室(藤木研究室)
葛原隆(助教授)・藤木博太(教授)
?ウ770-8514 徳島県徳島市山城町西浜傍示180
Phone: 088-622-9611 (内線5811, 5812, 5813)
Fax: 088-655-3051
e-mail: kuzuhara@ph.bunri-u.ac.jp
研究室ホームページ: http://p.bunri-u.ac.jp/lab/fujiki/fujiki.html
徳島文理大学への行き方: http://www.bunri-u.ac.jp/bunri/access/010.html
(説明文)
日本を含むアジア地域にとって、未だに胃癌は重要な脅威であります。
その胃癌の主要な原因がグラム陰性のらせん菌であるヘリコバクター・ピロリ菌です。
胃潰瘍・胃癌におけるピロリ菌の重要性は広く認識されるようになり、2005年のノーベル医学生理学賞はピロリ菌の発見であるオーストラリアのマーシャル博士とウォーレン博士に授与されました。
私共はこれまでにピロリ菌において、細胞由来の発癌プロモーターであるTNF- alphaを誘導する因子としてTip alpha遺伝子を同定し、Tip alpha蛋白質が発癌を誘導する活性を有すること、NF-kappaBを活性化することなどを報告してきました。
Tip alphaは、2量体形成により、細胞にTNF- alphaを誘導、癌化を促進します。2量体形成ができない変異体であるdel-Tip alphaは、癌化の活性を示しません。
一方、ケモカインは癌化を引き起こす炎症性サイトカインとして解明されてきていますが、ピロリ菌のどの分子がケモカインを誘導するかはまだ分かっていませんでした。
今回、私共はTip alphaが発現誘導する遺伝子を包括的に調べたところ、多数のケモカイン遺伝子群が誘導されることを見出しました。また定量的PCRにより、その発現量を検定したところ、コントロールや不活性型のdel-Tip alpha処理した細胞に比べ、数十から数百倍もケモカインの遺伝子発現が亢進することを見出しました。
そのことから、Tip alphaは、炎症性サイトカインであるケモカイン因子群やTNF- alphaを誘導することによって、胃癌の癌化を促進する重要な因子であることが解明されました。
今回、解明した要点は、Tip alphaが胃癌細胞に作用し、そこからケモカイン因子群が強く発現し、炎症・癌化が誘発されます。
炎症と癌化は密接に関連しているということが、ケモカイン遺伝子の高発現で示されました。
【論文の掲載】
印刷版は2007年の2月もしくは3月の予定で掲載されますが、先行してweb上のオンライン記事が掲載されます。従いまして、まだ印刷版の号、頁などの詳細は未定ですが、オンライン上の番号は次の通りとなります。 DOI: 10.1007/s00432-006-0169-6
http://www.springerlink.com/content/ww55267378045l22/
発表雑誌: ドイツ癌学術誌Journal of Cancer Research and Clinical Oncology誌
題:Helicobacter pylori-secreting protein Tip alpha is a potent inducer of chemokine gene expressions in stomach cancer cells
問い合わせ先:徳島文理大学・薬学部・8階・生化学教室(藤木研究室)
葛原隆(助教授)・藤木博太(教授)
?ウ770-8514 徳島県徳島市山城町西浜傍示180
Phone: 088-622-9611 (内線5811, 5812, 5813)
Fax: 088-655-3051
e-mail: kuzuhara@ph.bunri-u.ac.jp
研究室ホームページ: http://p.bunri-u.ac.jp/lab/fujiki/fujiki.html
徳島文理大学への行き方: http://www.bunri-u.ac.jp/bunri/access/010.html
企業情報
企業名 | 徳島文理大学・薬学部・生化学教室 |
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代表者名 | 葛原隆 |
業種 | 未選択 |
コラム
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