合同会社蛤（HAMAGURI LLC）、現代美術家・ヤノベケンジの初の絵本『トらやんの大冒険』のPDF版を発売。

合同会社蛤（電子書籍レーベル、テンポプレス）は、現代美術家、ヤノベケンジが2007年に初の絵本として発表した『トらやんの大冒険』のPDF版を販売致しました。

『トらやんの大冒険』
http://gum.co/ySHM
■著者　ヤノベケンジ
■ページ数　63P
■サイズ　22.5 ✕ 24.0 （350ppi）
■データサイズ　99.6 MB
■価格　1,050円（税込）

ヤノベケンジは、ユーモラスな造形と鋭い社会的批評を持つ機械彫刻作品で国内外で評価の高いアーティストであるとともに、自身の作品群を美術館や街中でインスタレーションとして配置し、独自の物語世界を展開することでも知られています。

鑑賞者は作品の背景に壮大な物語が隠れているので、作品の物理的な境界を超えて世界観に浸ることができます。それが街中などで展開されると、現実をヤノベケンジが紡ぎ出す物語に変えてしまうほどの力を持っています。

『トらやんの大冒険』は、自身の作品のキャラクターである《トらやん》が絵本の中で繰り広げる冒険物語になっています。物語には主人公である《トらやん》以外に、ヤノベ作品を連想させる様々なキャラクターが登場し、《トらやん》を邪魔したり、仲間になったり、《トらやん》の冒険に華を添えます。

また、絵本には現実におけるヤノベケンジの制作風景が挿入され、ここでも現実と物語が交差していきます。現実を物語にし、物語を現実にしていくヤノベケンジのエッセンスが詰め込まれた絵本になっています。

ヤノベケンジは、1997年には、自ら制作した放射能防護服《アトムスーツ》を着用して、原発事故後のチェルノブイリを訪問して、それらの経験を基に作品を制作し続けています。絵本でも暗闇の世界にいる主人公が本当の太陽を探す冒険物語がその隠喩になっています。
巻末にヤノベケンジ自身がチェルノブイリ探訪での出来事を綴った告白が、物語の意味をいっそう深く強くしています。

また、3.11の東日本大震災、福島第一原発事故後、ヤノベケンジの過去の作品が再び注目されています。
ヤノベケンジは1991年から、美浜原発事故に影響を受けて、放射能防護服を作品化したり、ガイガーカウターを用いた多数の作品を制作したり、原発問題や核問題を作品のテーマの一つにしてきました。
3.11後は、放射能防護服が要らない世界を希求する、全長6.2メートルの子ども像《サン・チャイルド》を制作し、「福島現代美術ビエンナーレ2012」では、200名近くのサポーターの資金援助を得て展示するなど、その活動は多くのメディアに取り上げられ、広く知られることになりました。

2013年3月20日（水・祝）から始まる「瀬戸内国際芸術祭2013」では、神戸から小豆島をつなぐジャンボ・フェリーに巨大な《トらやん》を設置し、『トらやんの大冒険』が現実化したかのように観客を冒険旅行に連れていく趣向になっています。

小豆島には、ヤノベケンジの新作で巨大ミラーボール作品《スター・アンガー》と、ビートたけしとのコラボレーション作品として話題になった全長8メートルを超える《アンガー・フロム・ザ・ボトム》が設置される予定です。
そこにおいても現実が物語になり、物語が現実になる体験を味わうことができるでしょう。

第一回目が大きな話題になり、第二回目も注目されている「瀬戸内国際芸術祭2013」ですが、ヤノベケンジの小豆島で展示のサブテキストとしても是非ご覧頂ければと思います。


※このPDFは私的目的のみ閲覧及び印刷を許諾するもので、PDFの中の文章や画像、その他著作物を無断で個人のブログやSNS、他媒体に転載したり、コピーして転売したりすることを固く禁止致します。

■合同会社蛤(HAMAGURI LLC)
膨大な写真と情報の詰まった、都築響一（編集者）やナガオカケンメイ（デザインディ レクター）などの話題のメールマガジンを配信するビジュアル・アート系の電子コンテ ンツプロバイダー。また、こけしの復興活動やヤノベケンジ（アーティスト）のサポーティング活動（（KENJI YANOBE Supporters Club）など、次世代のアーティスト・サポートの形を提供している。