世界初※1プラズマクラスター※2技術による結核病院での結核感染リスク低減効果を実証

シャープは、WHO(世界保健機関)のGlobal Health Workforce Alliance(世界保健人材アライアンス)※3のパートナーであるジョージア国立結核病院(所在地:ジョージア国トビリシ)と共同で、結核病院において、臨床研究専用イオン発生装置(空間平均イオン濃度10万個/cm3)により、医療従事者の結核感染リスク低減や結核患者の薬剤耐性獲得※4の予防に効果があることを、世界で初めて実証しました。

 「結核」は、結核菌によって発生する感染症の一つで、2014年は全世界で約960万人の結核患者が発生し、そのうち約150万人が死亡しています。日本でも毎年新たに約2万人の患者が発生しており、厚生労働省などが、毎年9月24日~30日を結核予防週間として啓発活動を行っています※5。

 当社は、プラズマクラスターのプラスイオン(H+(H2O)m)とマイナスイオン(O2-(H2O)n)を同時に空中へ放出することで、浮遊する細菌などの表面で酸化力の高いOHラジカルとなり、表面のタンパク質を分解してその働きを抑制することに着目。2009年9月に、タイ胸部疾病研究所と共同でプラズマクラスター技術による付着結核菌抑制効果を発表しました※6。今回、臨床研究専用イオン発生装置を結核病院の現場に設置し、空間平均イオン濃度10万個/cm3の環境下で効果を検証した結果、医療従事者に対する結核感染リスク低減と結核患者に対する薬剤耐性獲得の予防効果を確認することができました。

 当社は、2000年よりプラズマクラスター技術の効果を世界の第3者試験機関と共同で実証するアカデミックマーケティング※7を進め、これまで28の第3者試験機関※8で「新型インフルエンザウイルス」「薬剤耐性細菌」「ダニアレルゲン」などの有害物質の作用抑制や、小児喘息患者の気管炎症レベルの低減効果※9などの臨床効果を実証。併せて、プラズマクラスターの安全性についても確認※10してきました。今後も、プラズマクラスター技術の進化を促すとともに実証を進め、社会に貢献してまいります。

 なお、本臨床研究の詳細内容は、2016年11月12日(土)よりタイ(バンコク)で開催予定の“The 21st Congress of the Asian Pacific Society of Respirology(APSR 2016)”で発表される予定です。

 

ジョージア国立結核病院 コメント

これまで換気やUV殺菌灯など環境の整備による実際の結核病院でヒトに対する結核感染対策の報告はなく、今回プラズマクラスター技術が初めての報告となることから本試験は先駆性が高いと言えます。プラズマクラスター技術が結核病院での結核感染対策の1つの有効な手段として大きな可能性があることを見出しました。

 

※1 空調設備やUV殺菌灯などのエンジニアリングコントロールにおいて、結核病院において医療従事者および結核患者を対象にした試験。(2016年9月8日発表、当社調べ)

※2 プラズマクラスターは、シャープ株式会社の登録商標です。

※3 詳細については、WHO ウェブサイトを参照ください。

   ( http://www.who.int/workforcealliance/en/)

※4 薬剤耐性獲得とは、患者の保有している結核菌が薬剤耐性結核菌になること。

※5 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/

※6 2009年9月22日発表。

※7 技術の効能について、先端の学術研究機関と共同で科学的データを検証し、それをもとに商品化を進めるマーケティング手法。

※8 2016年9月8日現在。

※9 2014年9月18日発表。

※10 (株)LSIメディエンスにて試験。(吸入毒性試験、眼/皮膚の刺激性・腐食性試験、催奇性試験、二世代繁殖毒性試験)

 

 

■ 結核病院へのイオン発生装置設置条件

試験対象フロア全体の空間イオン濃度が平均10万個/cm3となるよう、臨床研究専用イオン発生装置を140台設置。

 

 

■ 結核病院での医療従事者の結核感染リスク低減効果

・医療従事者88名を対象に、QFT法※11により結核菌の保菌状況を調査。6~8カ月後に結核菌を保菌していなかった医療従事者32名に対してQFT法により結核菌の保菌状況を調査。

・10万個臨床研究専用イオン発生装置を設置したフロアの医療従事者は、試験機設置なしに比べ約75%結核菌感染リスクが低減された。

※11 QuantiFERON®-TB Gold In-Tubeの略。採血によって結核の感染について評価できる検査。

※12 統計学的な尺度。ここでは、QFT検査陰性人数とQFT検査陽性人数の比率を表す。

 

 

■ 結核病院での結核患者の薬剤耐性獲得の予防効果

・一般結核病棟滞在の結核患者155名を対象に、DST検査※13により薬剤耐性獲得を調査。治療開始から約3カ月後に結核菌培養検査が陽性だった患者49名に対して再びDST検査を実施し、薬剤耐性獲得を調査。

・10万個臨床研究専用イオン発生装置を設置したフロアの患者は、試験機設置なしに比べ約78%薬剤耐性獲得を防ぐことが確認された。

※13 Drug Susceptibility Testの略。治療に投与する抗結核薬を判断する薬剤感受性試験のこと。感受性ありは薬剤が効くことを表し、感受性なしは薬剤が効かないつまり薬剤耐性獲得であることを表す。

※14 統計学的な尺度。ここでは薬剤耐性獲得の出現の確率を表す。

 

 

■ 共同研究者の紹介

Zaza Avaliani

医師、医学博士

教授

ジョージア国立結核病院 院長

 

Nestani Tukvadze

医師

ジョージア国立結核病院

臨床研究部門 ディレクター

WHO感染管理テクニカルアドバイザー

 

Nino Lomtadze

医師、医学博士

ジョージア国立結核病院

結核調査戦略計画部門長

 

 

■ ジョージア国立結核病院の紹介

2001年に設立された非営利団体。ジョージアで結核感染管理の最上位機関として、国家結核対策プログラムを実施管理している。国家結核対策プログラムは、ジョージア国内での結核の縮小を目指している。

 

病院の主な業務

1. 国家結核対策プログラムの運営と

国内外の政府やNGP機関との連携

2. 高品質な結核診療の提供

3. 結核患者の治療

4. 結核の予防

ジョージア国立結核病院は、結核胸部疾病協会、市立結核病院およびジョージア鉄道結核予防会を再編して作られた。現在、病院は管理部門、診断部門および治療部門から構成されている。

(出典:WHO ウェブサイト http://www.who.int/workforcealliance/members_partners/member_list/tbgeo/en/ より)

 

 

■「結核」について

●結核は、世界で最も死亡者数が多い疾患です。

●2014年には約960万人が結核に罹患し、そのうち約150万人が死亡しています。

●結核による死亡者の95%以上は低所得国と中所得国に集中しており、そうした国々では15歳から44歳までの女性の5大死因の一つとなっています。

●2014年には世界で推定約100万人の小児が結核を発症し、約14万人が死亡しています。

●結核は、HIV(エイズウイルス)感染者の主な死因の一つです。2015年には、HIV感染者の死因の約3分の1が結核となっています。

●2014年には、世界で推定約48万人が多剤耐性結核(MDR-TB)※15を発症しています。

●「2015年までに結核の流行増加を食い止め、さらに減少傾向に転じる」というミレニアム開発目標は、全世界規模で達成されました。2000年と比較し、結核の発症事例は年平均約1.5%減少しており、2000年の水準と比較すると約18%減少しています。

●結核の死亡率は、1990年から2015年の間に約47%減少しています。

●2000年から2014年まで、結核の診断と治療を通して推定約4,300万人の生命が救われています。

●2030年までに結核の流行を終わらせることが、新たに採択された継続できる健康保険上の発展到達の目標となっています。

(出典:WHO. Fact sheet N°104. Media Centre. Reviewed March 2016Tuberculosis http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs104/en/index.html より)

※15 結核菌は抗結核薬に対して抵抗性をつけてしまい耐性化することがあります。強い抗結核作用を持ち、結核治療のベースとなっているイソニアジドとリファンピシンの2つの薬剤に対し、同時に耐性をもったものを「多剤耐性結核」といいます。

 

 

■ プラズマクラスター技術について

プラスイオン(H+(H2O)m)とマイナスイオン(O2-(H2O)n)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のタンパク質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。

 

 

■ アカデミックマーケティングによる国内・海外での実証機関一覧 合計28機関

対 象 :実 証 機 関

臨床試験による効果実証:東京大学大学院 医学系研究科 / (公財)パブリックヘルスリサーチセンター

           中央大学理工学部 / 東京大学 医学部附属病院 臨床研究支援センター

            (公財)動物臨床医学研究所

            (株)総合医科学研究所

           東京工科大学 応用生物学部

           HARG治療センター 株式会社ナショナルトラスト

           ジョージア 国立結核病院

ウイルス:(財)北里環境科学センター

    韓国 ソウル大学

   中国 上海市予防医学研究院

    (学)北里研究所 北里大学メディカルセンター

    イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社

   (株)食環境衛生研究所

   インドネシア インドネシア大学

    ベトナム ベトナム国家大学ハノイ校工科大学

   ベトナム ホーチミン市パスツール研究所

アレルゲン:広島大学大学院 先端物質科学研究科

     大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室

カビ:(一財)石川県予防医学協会

  ドイツ リューベック大学

 ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授

  (一財)日本食品分析センター

 (株)食環境衛生研究所

  中国 上海市予防医学研究院

細菌:(一財)石川県予防医学協会

  中国 上海市予防医学研究院

  (財)北里環境科学センター

 (学)北里研究所 北里大学メディカルセンター

  米国 ハーバード大学公衆衛生大学院 名誉教授メルビン・ファースト博士

 (公財)動物臨床医学研究所

  ドイツ リューベック大学

 ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授

  (一財)日本食品分析センター

 (株)食環境衛生研究所

  タイ 胸部疾病研究所

ニオイ・ペット臭:(一財)ボーケン品質評価機構

美肌:東京工科大学 応用生物学部

美髪:(株)サティス製薬

 (有)シー・ティ・シージャパン

ウイルス・カビ菌・菌の作用抑制効果メカニズム:ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授

アレル物質の作用抑制効果メカニズム:広島大学大学院 先端物質科学研究科

肌保湿(水分子コートの形成)効果メカニズム:東北大学 電気通信研究所



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企業情報

企業名 シャープ株式会社
代表者名 戴正呉
業種 コンピュータ・通信機器

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