透析患者必見! 他の患者さんはどうしている?「シャント」に関するあれこれ調査、アンケート結果発表!
透析歴30年の患者が代表をつとめ、腎臓病・透析患者向けポータルサイト「じんラボ」を運営する株式会社ペイシェントフッド(東京都世田谷区、代表取締役:宿野部武志)は、透析患者を対象に 『シャント』 についてアンケート調査を行いました。
【調査概要】
「シャント」とは、透析患者が血液透析を行うのに必要な血流量を確保するため、手術によって動脈と静脈をつなぎ合わせて太くした血管のことをいいます。透析患者にとって非常に身近なシャントですが、どのくらいもつものなのか(シャントの寿命)、作り直したことはあるのか、どんな自己管理をしているのかなど、他の患者さんのシャントの状態が非常に気になるようです。
そこで、透析患者にとって命綱ともいえる「シャント」の状態・管理方法などについて、調査を行いました。
◇調査方法:WEBアンケート
◇調査エリア:全国
◇調査対象:透析患者 男女年齢不問
◇調査期間:2017年2月3日~2月10日
◇有効回答数:110名
腎臓の機能が低下し、正常時の30%以下程度の状態を慢性腎不全といいます。慢性腎不全が進行し、末期状態になると、本来尿によって排出されるはずの老廃物が体内に蓄積され、次第に生命維持も困難な状態になるため、腎臓の機能を代替する透析療法か腎臓移植が行われます。
透析療法は、一般的に血液透析と腹膜透析の2種類があり、透析患者数約32万人のうち、9割以上が血液透析療法を行っています。(日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2015年末)」)
血液透析は、体内から血液を取り出し、ダイアライザと呼ばれる透析器を通して血液を浄化し、きれいになった血液を体内に戻します。標準的には、1回あたり4~5時間の治療を週3回透析施設で行いますが、短時間で効率よく、多くの血液を循環させる必要があり、そのための装置「シャント」を主に上腕に人工的に作製します。しかし、シャントは一度作製したら生涯使用できるとは限らず、感染症や閉塞などのさまざまなトラブルから守り、少しでも長持ちさせるための管理や観察を必要とします。
(1)今までシャントを何回作製したことがありますか(n=110)
1回(最初に作製したシャントを使用中)……57.3%
2回…………………………………………………21.8%
3回…………………………………………………11.8%
4回………………………………………………… 3.6%
5回以上…………………………………………… 5.5%
(2)今のシャントはどのくらい使用していますか(n=110)
1ヶ月以内………………………4.5%
半年以内…………………………6.4%
1年以内…………………………7.2%
3年以内……………………… 17.3%
5年以内……………………… 16.5%
10年以内…………………… 28.2%
15年以内…………………… 12.7%
20年以内………………………3.6%
21年以上………………………3.6%
本アンケート回答者の透析歴は、1年未満~30年以上とばらつきがあるものの、初めて作製したシャントを現在も使用している方は、全体の半数を超えた57.3%、使用年数は6~10年の10年以内が17.3%と最も多く、狭窄などのトラブルにより2回以上シャントを作製している方を含めても、10年以内が28.2%と最多でした。
本アンケート内での平均使用年数は6年4ヶ月、最長年数は28年でしたが、シャント作製の手術当日、術後数時間以内に閉塞してしまうケースもあり(本アンケート内5名:4.6%)、シャントの寿命年数はかなりの個人差があるようです。
(3)今まで経験したシャントトラブルはありますか(n=110)【複数回答可】
狭窄(血管の内側が狭くなる) 47
閉塞(血管の内側が詰まり使えなくなる) 39
静脈高血圧症(手や腕が腫れる) 6
スチール症候群(手や指の冷感や痛み) 7
シャント瘤(コブができる) 36
感染症(細菌に感染する) 10
その他 6
トラブルは特にない 32
全体の約3割は、これまで特にシャントトラブルはなく、順調に使用している一方、 何らかのシャントトラブル経験者は約7割、中には上記回答項目の内、シャント瘤以外の全トラブルを経験した方もおり、シャントの悩みは尽きないようです。さまざまなシャントトラブルから守り、少しでも長持ちさせるためにできる一般的な自己管理法は主に以下の3つといわれています。
1.シャントの観察(拍動や音などを毎日確認する)
2.シャント部分を圧迫しない(シャント側の腕で重いものを持たない、血圧測定、腕時計をしないなど)
3.常に清潔に保つ(透析日に入浴しない、手洗いや消毒をしっかり行うなど)
本アンケートで、「日頃から行っているシャント管理はなんですか」の問いに、最多の91人が「シャント部分を圧迫しない」ことを選択していました。シャント部の圧迫は血液の流れを悪くし、狭窄や閉塞の原因になります。また、通常の血管よりも太く、大量の血液が流れているため、万一破裂すれば死に直結する可能性もあることから、全体の8割以上がシャント部を圧迫しないよう常に気にかけながら生活しています。
シャントトラブルが起こらないよう、上記の自己管理を行うことはとても大切ですが、シャント診療を中心に行うクリニック「飯田橋春口クリニック」の春口洋昭院長によると、「トラブルを起こす前にシャントを評価し、適切な時期に治療を行うことが大事」とのこと。
「今は順調であっても、長い間使用していけば、さまざまな変化が生じて、突然閉塞することもあります。シャントは、血液の入り口であるとともに命の入り口でもあるため、初回の手術こそ、熟練した外科医に作製してもらうこと。そして、車検のように定期的に専門家に診てもらうこと。“最初に作製するシャントを上手に作って、上手に使うこと”が、シャントを長持ちさせるために大切なこと」と春口院長はいいます。
本アンケートの記述回答では、「(血管やシャントの)専門医に定期的に通院している」という声も散見されましたが、実際はトラブルが起こってから診てもらうことがほとんどではないでしょうか。
透析に週3回通院していると、シャントの状態も一緒に診てもらっていると錯覚しがちですが、通院している透析施設で、必ずしもシャント診療ができるとは限りません。
まずは普段通院している施設がシャント診療ができる施設かを確認し(診療可能施設では、エコー検査をしています)、必要があれば血管専門やシャント専門の外来施設に定期的(3~6ヶ月に1回程度)に診てもらうことが、自分でできる最大の自己管理方法です。
すべてを医療者に任せてしまう「おまかせ透析」ではなく、「自分の身体は自分で守る」という意識を持ち、
専門医に定期的に診てもらうアクションを起こしましょう!
【関連するサイト】
▼株式会社ペイシェントフッドHP
▼腎臓病・透析患者のためのポータルサイト『じんラボ』HP
http://www.jinlab.jp/document/guides.html
▼『じんラボ』公式facebookページ
https://www.facebook.com/Jinlab.jp
【株式会社ペイシェントフッドについて】
本社:〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-13-9 ヤマケイビル4F
代表者:代表取締役 宿野部武志
設立:2010年9月1日
Tel:03-6279-5669
Mail:info@patienthood.net
事業内容:医療施設・企業向けコンサルティング、患者・家族向けポータルサイトの運営、講演・執筆活動、各種イベント開催
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企業情報
企業名 | 株式会社ペイシェントフッド |
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代表者名 | 宿野部 武志 |
業種 | 医療・健康 |
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