-少子化対策の鍵となる「夫婦の想い」、3935名へ調査- 夫婦の出産意識調査2018
「日本は子どもを産みやすい国に近づいていない」、2.7ポイントアップ -未婚者はより強く意識 「2人目の壁」依然高く…74.3%が「存在する」と回答 -父親の育児・家事負担は十分とは言えない現状 「日本社会の働く環境は良い方向に変わっていない」と約7割の人が実感 -さらにパパ・ママの6割以上が「今は残業(残業代)が必要」と回答… 妊娠・出産に関する深い知識を得ることで出産希望年齢が若返り
公益財団法人1more Baby応援団(所在地:東京都港区、理事長:森まさこ)は、日本から少子化問題をなくしたいという想いのもと、このたび、「夫婦の出産意識調査2018」を実施、その結果がまとまりましたのでお知らせいたします。この「夫婦の出産意識調査」は2013年から調査を開始し、今年で6回目の実施となります。今回の調査では、既婚者約3,000名に加え、これからを担う世代を把握するため、初めて20歳~49歳までの未婚の男女約1,000名に対し、調査を実施しています。*本リリースでは、調査対象者の説明のない数字については、既婚男女2,948名の結果としています。
<調査概要>---------------------------
■対象者条件
・未既婚:結婚14年以下の既婚者、未婚者
・性別:男女
・年齢:既婚女性20-39歳、既婚男性20-49歳(男性は妻が39歳以下)
未婚女性20-39歳、未婚男性20-49歳
・割付条件(1):全国各都道府県均一回収(各県84名、高知県71名)
・割付条件(2):未婚子なし/既婚子なし/既婚子1人/既婚子2人以上それぞれを均一回収
⇒47(都道府県)×4(子ども条件)=188セルのそれぞれを21名ずつ、計3935名回収
(高知県【既婚子なし】は8名)
回収後、(1)各都道府県の人口比、(2)一世帯の子ども人数の構成比を平成27年総務省統計データより算出し、ウェイトバックをかけた。
本リリースで用いているのはウェイトバック後のスコアである。
■調査方法
インターネット
*本リリースでは、調査対象者の説明のない数字については、既婚男女2,948名の結果としています。
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出産の理想と現実
【1】「日本は子どもを産みやすい国に近づいていない」、2.7ポイントアップ。
未婚者はより強く意識、壁は依然として高い。
昨年初めて調査した、「日本は子どもを『産みやすい』国に近づいているか」実感を問う項目。今回も聞いてみたところ、「産みやすい」国に近づいていないと答えた人(「近づいていないと思う」「どちらかといえば、近づいていないと思う」の合計)は72.7%となり、依然として日本は子どもを産みにくい国と感じていることがわかりました。昨年と比較すると、2.7ポイント増(昨年:70.0%)という結果に。
また、未婚者にも聞いてみたところ、78.6%と、未婚者のほうがより「産みにくい」と感じていました。このことから、「産みにくい」と感じていることが、結婚や出産への障壁の一つとなっていると考えられます。
同様に、「日本は子どもを『育てやすい国』に近づいているか」の実感も尋ねたところ、近づいていないと答えた人が72.7%と、昨年(72.6%)からほぼ横ばいでした。
【2】“理想の子どもの数”は減少傾向に。「産みにくい国」という印象が影響か。
2013年から継続的に既婚層に調査してきた、”理想の子どもの数”。今回は全体的に出産意向の低下がうかがえる結果となりました。
まず、”理想の子どもの数”については「2人」と答えた人が43.9%と最も多かったものの、昨年までと比べて最も低い結果に。3人以上についても軒並み減少傾向がみられる結果となりました。
また、2人以上を選んだ人は69.9%と、これまでで初めて7割を切る結果となりました。このような出産意向の低下には、前述した日本に対する「産みにくい国」という印象も影響しているのかもしれません。
【3】「2人目の壁」依然高く…74.3%が「存在する」と回答。
女性の育児ストレスが増加、父親の育児・家事負担は十分とは言えない現状…
「2人目の壁」を乗り越えるためには、より一層の父親の育児参加が必要。
6年目になる今回も、「2人目の壁は存在すると思うか」について尋ねたところ、『2人目の壁』について「存在すると思う」と答えた人は既婚者全体の74.3%となり、依然として高い状況でした。
ママに理由を聞いてみると、上位はこれまでと大きく変わらない結果で、「経済的な理由」(84.0%)がこれまで同様1位でした。2位になった「第一子の子育てで手一杯」(49.1%)は昨年に比べ4.9ポイント上昇。3位になったのは「心理的な理由(特に育児のストレスなど)」(45.0%)で、こちらも1.4ポイント上昇していました。
ママの働き方別で比較してみると、フルタイム・パートタイム・専業主婦いずれも「経済的な理由」(フルタイム:81.1%、パートタイム:81.3%、専業主婦:85.8%)が1位でしたが、2位以下には差が出る結果に。フルタイム・パートタイムのママの2位となったのは「仕事上の理由(産休の取得しやすさ/職場復帰/転勤など仕事への影響)」(フルタイム:57.8%、パートタイム:50.8%)で、働くママが増加する一方で、仕事と出産・育児を両立することは依然難しいことがうかがえます。また、専業主婦の2位となったのは「第一子の子育てで手一杯」(53.1%)。この項目はパートタイムママでは3位(45.4%)、フルタイムママでは4位(41.0%)になっており、より長く子どもと一緒にいるママの方が感じやすいと言えそうです。「心理的な理由(特に育児のストレスなど)」についても、専業主婦の3位(47.8%)、パートタイムママの4位(45.3%)、フルタイムママの5位(36.3%)となっており、同じく子どもと一緒にいる時間に比例すると考えられます。
さらに、「現在のパートナーとの家事の分担に満足している」というパパが73.0%いたのに対し、ママは45.2%にとどまり、子育てや家事の負担はママのほうが大きい様子が浮き彫りになりました。
働くママが増え続ける現代、パパとママが協力しあって子育てや家事をすることが、「2人目の壁」を乗り越えるカギかもしれません。
※「2人目の壁」は、「生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第二子以後の出産をためらうこと」を指します
子育て世代が感じる「働き方改革」その実感値は?
【4】「日本社会の働く環境は良い方向に変わっていない」と約7割の人が実感。
パパ・ママの6割以上が「今は残業(残業代)が必要」と回答…
企業は働き方に見合った給与体系に見直すタイミングか。
さらに、労働環境についても聞いてみたところ、69.4%が「日本社会全体の働く環境は良い方向に変わっていない」と回答しました。また、未婚者も68.4%が「変わっていない」と回答しており、「働き方改革」がまだまだ広がりに欠けている状況が浮き彫りになりました。
また、パパ・ママの65.0%が「子育てに必要なお金を考えると、今は残業(残業代)が必要」と答えており、働き方を変えたくても変えられない、という現状もあると考えられます。また、子ども1人では63.3%、2人で65.7%、3人以上で70.6%と、子どもが多いほど、「必要」と考えている割合が高くなっています。
ここまで見てきたように、早く帰宅して家族の時間を持つことや、家事・育児を家庭内で分担したりすることは子育て世代にとって重要なことです。残業を抑制するだけの「働き方改革」では会社にとってのコストカットに終わってしまう可能性もあり、その場合、日々の生活で残業代を必要としている子育て世代がワークライフバランスの改善に積極的に取り組むことにはつながらないと考えられます。「働き方改革」と同時に、残業が減っても賃金が下がらない、新しい評価軸の給与体系を広めるタイミングではないでしょうか。
【5】イクボス効果?育休で「上司の目が気になる」減少。
一方、女性はキャリアへの影響を心配…新しいキャリア制度の整備が必要?
産休・育休を取得するにあたって気になることを聞いてみると、依然として「上司の目(態度・反応)が気になる(気になった)」(30.8%)が1位でしたが、昨年と比較すると5.8ポイント減少していました。一方で、20代では35.5%が「上司の目(態度・反応)が気になる(気になった)」と回答しており、若いほど上司の目が気になる傾向にあるようです。
また、育休の“理想の条件”について聞いてみると、1位は「育休を取ることが復帰後のキャリアのマイナスにならない」(38.9%)でした。この傾向は未婚者にも見られ、特に未婚女性は44.2%が「育休を取ることが復帰後のキャリアのマイナスにならない」を理想の条件として選択しています。また、未婚女性の43.2%が「出産にあたって自分のキャリアアップに支障のない時期を意識する」と回答しており(既婚女性は20.5%)、キャリアへの意識が高いこともうかがえます。
出産に伴う産休・育休がキャリアに響くのではないか、と考える人たちの不安を払しょくすることができる制度を整えることが、産みやすい・育てやすい職場を作る鍵になりそうです。
【6】「人生100年時代」への準備。
子育て世代の多くは希望はあるが、実行出来ていない。
2017年9月に政府の新構想として掲げられた、「人生100年時代構想」。平均寿命が伸びていく中、人生が100年になることを見据えた社会を作っていくことが発表され、大きな話題を呼びました。
これを踏まえ、「人生100年時代」に向けた取り組みについて聞いてみたところ、実に90.0%が「行いたいと思っているが、まだ実行していない(出来ていない)」ことがあるという結果に。子育て世代は「人生100年時代」の準備を実行出来ていないようです。
特に、新たな資格取得や学び直し、副業や転職など、老後の収入確保につながりそうな分野については、希望者の多くが実行出来ていない状況が分かりました。また、職場以外でのコミュニケーションの場として期待される地域コミュニティへの参加や非営利活動への参加については、希望している人の割合が非常に低くなっています。
「妊娠・出産」に関する知識不足が晩婚化の原因? 知識がライフプランに与える影響とは
【7】妊娠・出産に関する深い知識を得ることで考え方に変化。
知識習得後、未婚女性の出産希望年齢が平均1.4歳の若返り。
特に30代前半女性では2.4歳若返る結果に。早い段階での知識習得が重要。
「妊娠・出産」に関する知識を問う前と後に、未婚女性(34歳以下)に「出産希望年齢」を問うことで、知識を得ることでどのような影響があるのかも調査しました。
この項目の対象者全体の平均1.4歳(31.0歳⇒29.6歳)をはじめ、今回聴取したどの年代も知識を深めることで出産希望年齢が若返りましたが、若返りの幅が最も大きかったのは、30代前半女性。34.1歳⇒31.7歳と2.4歳の若返りがありました。
以上のことから、知識を深めることで出産や子育てをより自分ごと化できると考えられ、なるべく早い段階で知識を得ることが、ライフプランを設計する上で重要になると言えそうです。
また、これらの妊娠・出産に関する深い知識を聞きたいと思う時期を聞いてみたところ、「高校の授業」(49.8%)という回答がもっとも多い結果となりました。
【8】性教育の入り口は「小学校高学年から」が最多。
子どもがいる層の方がより早くからの性教育が必要と実感。
インターネットで簡単に性に関する情報を得られるようになった昨今において、性に関する教育(性交や避妊、性感染症、出会い系サイトの危険、LGBTなど)の重要度は高まっています。既婚者層に、どのくらいの時期に性教育を開始すべきか聞いてみました。
すると、子どもの有無で違いが現れ、子どもがいる人のほうがより「小学校から」(「小学校低学年から」「小学校高学年から」の合計)を選ぶ傾向がありました。子どもがいない人は62.5%が「小学校から」を選んだのに対し、子どもがいる人は71.9%が「小学校から」を選びました。自分の子どもに照らし合わせて考えることで、より早くからの性教育が必要だと考えるようになるのかもしれません。
全体でみると、「小学校高学年から」が半数を超える(55.4%)結果となりました。
妊娠・出産知識に関する調査結果を受けて
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
周産期・母性診療センター、副センター長
公益財団法人1more Baby応援団理事
齊藤英和
2012年に卵子の老化が大きな話題になり、それ以後、妊娠適齢期の啓発の重要性はマスコミや行政においてニュースやトピック、講演会として、さらに教育現場においては特別授業、特別講義として、幾度となく取り上げられてきました。ですから、この妊娠適齢期に関する情報は、すでに多くの方に普及できたのではと思っていましたが、今回の結果は、そのような状況にはなっていない、自分ごと化されていないことを示しています。
この結果を受け、今までとは異なる情報発信の方法を検討していく必要があることがわかりました。以前のような、ニュースや時の話題、講演会、特別授業といった単発的な情報発信の形態では不十分なようです。また、私たちはこの話題に興味を持った人だけではなく、興味の有無に関わらず、総ての方に、継続的に聞いて理解していただき、ライフプラン、キャリアプランの基盤としていただきたいと考えています。そのためには情報発信の形態を変更しなければならないと考えています。
全ての人が妊娠適齢期に関わる知識を知るための最適なシステムとしては、この知識を得ることが最も適した時期の教育現場を活用することが望まれます。この情報発信の形態であれば、興味がある人でも、興味がない人でもあまねく総ての方に、この知識に触れてもらえることになり、この知識を知らなかったという人をなくすことができます。しかし、教育現場を巻き込まなければならないため、このシステムを確立するには時間がかかります。
そこで、教育現場のシステムが確立するまで、これと並行して、もっと短時間にすべての方にこの知識を普及する方法が必要です。その一例として、多くの企業で実施されている新人研修の項目に、キャリアプラン形成の一部として加えていただくようにする方法があります。
この形態をすべての企業の新人研修で採用していただければ、まさにこの知識を得ることに最も適した時期の方に知っていただけるようになります。いつかは家庭を持つことを考えている方にとっては、人生で大切な仕事と家庭という両輪を視野に入れて、人生をスタートすることができるようになり、まさにこれが働き方改革の根幹にある概念だと確信しています。
1more Baby応援団の活動は、この調査を発表して、多くの国民に情報発信するにとどまらず、各企業の新人社員の研修も支援したいと考えています。
--調査主体について--------------------------------------
公益財団法人1more Baby応援団
理想の数だけ子どもを産み育てられる社会を実現するため、結婚・妊娠・出産・子育て支援に関する情報提供及びその実現に必要な事業を行い、将来の活力ある社会環境の維持・発展のために寄与することを目的に活動。
「1more Baby応援団」ポータルサイトと公式Facebookページでは、出産に関するママ・パパの意識を把握するための調査結果や、「もうひとり、こどもが欲しい」という家族の想いを応援する情報を発信しています。
設立日:2015年1月15日(2017年10月公益財団化)
所在地:東京都港区高輪3丁目22番9号
電話:03-6840-8836
理事長:森まさこ(参議院議員元少子化担当大臣)
<活動内容・実績>
第3回シンポジウムオランダから学ぶ自治体・企業の働き方改革2017年5月
ワンモア・ベイビー応援団大交流会in新潟~かぞくを、もうひとり~2018年4月
シンポジウムin三重“世界一子どもが幸せな国”オランダと地域の先進企業から学ぶ「企業の働き方改革・次世代育成応援」2018年2月
<出版物>18時に帰る~「世界一子どもが幸せな国」オランダの家族から学ぶ幸せになる働き方~
*「1more Baby応援団」ポータルサイト(http://1morebaby.jp)
*「1more Baby応援団」Facebook(http://facebook.com/1morebaby)
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企業情報
企業名 | 公益財団法人1more Baby応援団 |
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代表者名 | 森まさこ |
業種 | その他サービス |