『瞬く千年　浮舟の語り』発売のお知らせ

　1000年前に誕生した長編小説『源氏物語』は、その内容、心理描写、スケールの大きさから、日本のみならず世界的に知られ、大きな影響を与えた作品である。しかし、その最終パートに当る「宇治十帖」は、それまでの主人公であった「光源氏」の死後を描いたもので、一般的な知名度が高いとは言えない。
　「宇治十帖」は、主に二人の男性の間で揺れ動く一人の女性の心情を描いている。女性の名は浮舟。光源氏の姪にあたるが、実の父親から認知されず、義父からは疎まれ、婚約者には捨てられるという不幸を背負っていた。そんな浮舟に心を奪われた、光源氏の表向きの子「薫」と、光源氏の実孫「匂宮」。優柔不断な薫と、強引な手段で自分を我が物にしようとする匂宮。対照的な二人の間で浮舟は翻弄されて、やがて一つの決断を迫られる・・・
　平安時代、立場の弱かった女性の中でも、その名の通り「流される女性」の典型として描かれていた浮舟。彼女は最終的に入水を決意するが、それも遂げられず出家に至る。それまでにどのような葛藤があったのか。本書では、現代の女性である著者が、1000年の時を超え、浮舟自身にインタビューを行うという斬新な手法を用いることによって、その心理を描き出すことに成功している。また、本文中には著者自らの手による和歌も織り込まれ、単なる空想に留まらない、深い考察が見て取れる。

　上記書籍、是非ともお取り上げいただけますようお願いいたします。

2008年2月20日初版第一刷発行　　
定価1,260円（税込）　ISBN978-4-434-11604-9
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