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オンライン面会交流の実情と課題 新型コロナ禍でも親子の絆をつなぐ支援を考える   7月19日(日)まで、クラウドファンディングで最後の支援協力を募る

東京・神奈川を中心に面会交流支援事業を行う、一般社団法人びじっと・離婚と子ども問題支援センター(所在地:神奈川県横浜市、代表理事:古市理奈/以下びじっと)は、新型コロナ禍でも、親子の絆をつなげるために、安価でのオンライン面会交流支援の構築に取り組み、現状と課題を鑑みて、少しでも多くの親子の支援につなげる方針を固めました。

びじっとではこれまで、付添い型・受渡し型・連絡調整型の面会交流支援※1を毎月平均50回以上、年間600回以上実施してきましたが、新型コロナによる感染防止のため、付添い型・受渡し型を政府の方針に合わせ、3月1日から5月31日まで中止しました。6月1日からは全ての支援型を再開しましたが、例年通りの支援状況には戻らない一方で、オンライン面会交流支援が、新たな支援として利用されてきました。東京では、新型コロナ感染者数が7月9日から4日間連続で200人を超え、不安を抱える親子が急増しています。

びじっとではオンライン面会交流支援型を取り入れて3か月ほどが経つなか、その実情と課題を鑑みて、親子1組1組に寄りそった支援を考え、実施することで親子の絆を途絶えさせない一助にしていきます。

■コロナ禍である3月から7月の支援状況

びじっとでは、3月1日から5月31日まで付添い型・受渡し型を中止。中止期間の3月には連絡調整型7件、4月は連絡調整型4件と、新たに取り入れたオンライン面会交流2件の計6件、5月は連絡調整型7件とオンライン面会交流9件の計16件で、3か月間(3-5月)の前年比では約8割減となりました。6月からは全ての支援型を再開しましたが、これまでの月平均50件に届きませんでした。(7月は見込み数。)

オンライン面会交流は、開始した4月から月平均で4~5件ほどに留まっています。コロナ禍で取り入れたオンライン面会交流ですが、利用者へのアンケート調査では、肯定的な意見だけでなく否定的なものもあり、課題がある事が分かりました。

■利用者の声 ※順不同

<オンラインを利用した>

○オンラインでも会えるという安心感を子ども達に与えることができた。(別居親)

○オンライン面会交流を重ねるうちに、やる内容をお父さんが工夫してくれるようになりました。子どもにとってはお父さんの新しい一面を発見できたようで、とても喜んでいました。(同居親)

○直接面会は重要だが、子どもはソーシャルディスタンスを守ることは難しく、感染リスクを避けるためにもオンラインは有効。コロナのような有事以外でも、面会交流拡大の一つとしてオンラインを検討したい。(同居親)

○ベストは対面での面会交流ですが、感染状況をふまえてオンラインに切り替えることは今後もありうると考えています。(別居親)

 

<オンライン利用は難しい>

○オンラインは自宅が映り込む。居住地の特定につながりかねず、実施は難しい。(同居親)

○オンラインを進めると直接会う事を避けるようになるのではないか。オンライン面会は非常事態用として、主流にしてはいけないと思う。(別居親)

 

●びじっとアンケート調査結果

https://www.npo-visit.net/survey_comment.php

■第4回「面会交流支援研究会」

専門家や支援団体が集まり、定期的に行われている「面会交流支援研究会」。7月11日にはリモートで実施され、立命館大学二宮周平教授のもと、新型コロナ禍の面会交流支援とオンライン面会交流支援の可能性が話し合われました。

支援団体によっては、オンライン面会交流を実施していないところもありましたが、実施している団体では、利用者からの様々な意見もあり、課題に直面していることが分かりました。言葉遊びや支援者が距離感を保つなど利用者/支援者双方の工夫もみられるなか、父母双方がオンライン環境にあることや、子どもがある程度の年齢でPC操作が出来ることが必要であるなど、環境整備の問題も議題に上がりました。また同居親の不安として、顔を合わせてしまう、同居親の家のなかで別居親の顔が見えてしまうといった事があげられる一方、別居親は、このままオンラインのみの交流になり対面交流が出来なくなってしまうのではという不安も上げられました。

東京国際大学の小田切紀子教授からは、アメリカでのオンライン面会交流の実情とハーグ条約に基づいた国際離婚に伴う日本でのオンライン面会交流の現状が報告されました。ハーグ事案では、skype等でのオンライン面会交流を実施し、子どもが動揺するようなことがあれば遮断するよう支援員が見守りましたが、実際には遮断することなく実施された事を報告しました。工夫としては、本の読み聞かせや宿題を手伝う、ゲームやトランプで遊んだり、習い事のビデオを見るなどがありましたが、いずれも同居親の協力が必要であったとのことです。また、普段は直接交流を行い、信頼関係が構築されている親子の場合はスムーズにオンライン交流に移行できる一方、オンラインから交流が始まった親子が直接交流に移行するのは難しいという見解が述べられました。

大阪工業大学の高田恭子准教授からはコロナ禍のイギリスでこれまで、電話やメールなど個人情報が虐待親に伝わるのを危惧し「交流提供に適していない」と規定されていたオンライン面会交流が実務適用されていく様子が報告されました。面会交流支援団体の全国連合組織であるNACCC(子ども交流センター全国協会、National Association of Child Contact Centres)では、新型コロナによる交流制限が片親疎外としてなされる危険性を指摘した一方で、親が慎重に状況を判断し、父母双方の合意に基づいて対面交流を行うか否かを決定するが、合意に至らなかった場合に、オンラインや電話での定期的な交流を設定するといった動きが出てきていると話しました。

びじっと代表理事古市理奈からは、びじっとで行ったオンライン面会の状況と、利用者アンケートから見えるオンライン面会交流の課題について報告がありました。

日米英でも様々な見解があり、オンライン面会交流にあたっての工夫や注意点、さらには離婚時の面会交流合意内容がパンデミックを想定してないことに起因する当事者の混乱などを巡って活発な議論が交わされました。

最後に二宮教授から、「現場の状況を行政が理解することが必要。本日の議論をまとめ、しかるべき行政部門へ伝えたい」との発言がありました。

■オンライン面会交流の実情と課題

新型コロナの流行は誰にとっても想定外の事態であるため、当事者も支援者も非常に難しい選択を迫られました。面会交流支援研究会での報告では、イギリスが3月下旬という非常に早い段階で、政府が面会交流は外出禁止の例外であること、かつオンラインを利用した面会を認める指針を明確に出したことで、支援団体はその指針に沿って対策を立てられた様子がうかがえました。

日本でも法務省が5月1日に、直接交流の代替手段としてリモート面会を求める見解を出しましたが、イギリスの具体的かつ詳細な指針に比べると、抽象的なものにとどまります。一方アメリカでは、以前からオンラインを利用した面会交流が数多くあったため、オンライン面会の対する混乱は少なかったようです。

緊急事態宣言の解除に伴い、びじっとでは6月から通常の面会を再開したため、オンラインを実際に利用した親子は16%にとどまっています。

オンライン面会を行うには、機器のセッティングや日程調整に同居親の協力が不可欠です。びじっとのアンケートでは、住宅事情で面会用のスペースの確保が難しい同居親、DVなどの事情で居住地を秘匿している同居親からオンライン面会は難しいという意見が聞かれました。別居親からは、オンライン面会を行うことで、直接交流が今後一切できなくなるのではないかという不安の声があがりました。

オンラインでの会話自体に不慣れな親子からも、ためらいの声が聞かれます。

父母が別れて暮らすようになる経緯はさまざまで、オンライン面会をためらう理由もさまざまですが、一度オンラインを体験してもらい、子どもの楽しむ様子を見てもらうことが、不安軽減に最も効果的です。

びじっとの支援では、実際の面会の前に、回線のテストを兼ねた接続テストを行うことで、子どもにオンラインでのコミュニケーションに慣れてもらう効果が得られました。会話だけで楽しむことが難しい年齢層の子どもが対象の場合は、絵本やブロックなど視覚的に楽しめるツールを別居親に事前に準備してもらうことで、子どもが楽しめる時間になります。

オンライン面会については肯定的な意見も否定的な意見もありますが、新型コロナの状況に関わらず、荒天時や遠隔地に住む親子、心身の事情で移動が難しい親子にとって、交流を途切れさせない可能性になり得ます。

■代表理事:古市理奈のコメント

今回のアンケートによって、利用者の本音が見えてよかったと思います。あらためて、面会交流の支援とは何かを考えることができました。

第三者機関の支援を受けて面会交流を行うというのは、それだけ父母間の葛藤が高いといえます。しかし、どんなに葛藤があっても、第三者機関が支援を工夫していけば、親子の縁が途切れずに済むのです。

面会交流というものは、子どもが『親から認められている』『親から大切だと思われている』という実感を得て、自分のアイデンティティを形成していく大切なものです。その面会交流を支援するというのは、子どもが親との離別に向き合い、親子の関係を維持させていくために、非常に重要なものだと日々の支援を通じて感じています。

また、今回のような生死を左右するような病の流行は、親も子どもも互いの安否確認が求められました。直接のふれあいができなくても、互いに無事を確認し、交流できたという点において、インターネットという文明の利器の発展に深く感謝いたします。

■びじっとのオンライン面会交流支援 

①付添い型オンライン面会交流支援

通常の付添い型面会交流支援と同じように、オンラインでびじっとスタッフが交流を見守ります。対面での交流とは違うオンライン交流で、どのように子どもに接したら良いかお悩みの方におすすめしています。

   料金:1時間未満6000円、以降30分ごと3000円(税別)

 

②連絡調整型オンライン面会交流支援

日程調整をびじっとスタッフが行います。自由なツールを選択してもらい、ご都合よい方法で実施します。思い当たるツールがない場合は、びじっとが提案します。

   料金:1回4000円(税別)

■クラウドファンディングでの協力募集

新型コロナウイルスの影響で、経済的にも厳しい状況におかれる親子が、一組でも多く交流を持てるよう、より効率的で安価なオンライン面会交流支援の実現を目指しています。システム向上、通信環境整備、スタッフ研修実施に向けたクラウドファンディングの協力募集を実施しています。

●「一般社団法人びじっと」クラウドファンディング

~お父さんもお母さんも大好き!新型コロナで会えない親子へのオンライン面会交流支援~

実施期間:5月16日(土)~7月19日(日)

目標金額:100万円

資金用途:面会交流のためのツール、通信環境整備、支援スタッフ研修、プロセス整備など

クラウドファンディングページ:https://camp-fire.jp/projects/view/274304

■びじっとについて

離れて暮らす親子の面会交流支援・援助・仲介を行う、民間の面会交流第三者機関。

子どもの健全育成のためには、どちらの親からも愛情を感じられることが重要であるという理念のもと、「会えない親子」をなくすべく、年間600件以上の面会交流支援を行っています。

離婚や別居により心に負担を抱えた親子のケアを行うため、相談事業や交流会にも取り組んでいます。

2020年3月24日、かながわボランタリー活動推進基金21ボランタリー活動奨励賞受賞。同年4月1日、法務省による裁判外紛争解決手続(ADR)団体の認証を受けました。

びじっとの面会交流支援は、LINEを使用した連絡により、それぞれの親子のニーズに応じた支援を行っています。

代表理事:古市理奈

1971年生まれ。2007年8月1日に非営利団体びじっと・離婚と子ども問題支援センターを設立。2014年10月25日に一般社団法人化。眞浄山大法寺副住職。

 

※1

●付添い型 面会交流支援

面会交流にスタッフが付き添い、親子の絆を結ぶサポートをいたします。付き添いスタッフは2名による支援です。

●受渡し型 面会交流支援

スタッフがお子さんを同居親から預かり、別居親に受け渡します。同居親と別居親が直接顔を合わせることのないように、時間設定を行う支援です。

●連絡調整型 面会交流支援

同居親/別居親それぞれと、日程および交流内容などの調整をスタッフが行い、当日決めた場所でお子さんの受け渡しもLINEで調整する支援です。

 

他の面会交流種類や料金などは、公式HPをご確認下さい。

HP:https://www.npo-visit.net/

■本件に関するお問い合わせ先/取材のご依頼

一般社団法人びじっと

TEL:090-3240-1729

Mail:visit.contact.japan@gmail.com



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企業情報

企業名 一般社団法人 びじっと・離婚と子ども問題支援センター
代表者名 古市理奈
業種 その他サービス

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