コバルト:サプライチェーンの複雑さが大きな価格変動をもたらす コンゴ民主共和国と中国に集中した採掘・精製が供給リスクに

株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「コバルト:2030年までの見通し (第16版)」 (Roskill Information Services ) の販売を11月19日より開始いたしました。

コバルトは、その硬度、耐食性、高温耐性などの特性から、さまざまな産業用途で競争力のある合金金属として使用されています。ソニーがリチウムイオン電池を初めて商業化して以来、コバルトの需要を支えてきたのは家電製品の開発でした。最近では、低炭素社会への移行に向けた政府の取り組みの中で、電気自動車(EV)の採用が推進され、二次電池正極に使用されるコバルト化学品の需要が急速に拡大しています。

 

コバルトは現代社会を支える技術ではあるものの、そのサプライチェーンの複雑さや、急速に発展する電池や航空宇宙セクターの目まぐるしさから、価格変動の大きさが特徴となっています。コンゴ民主共和国と中国の2カ国に採掘と精製の生産が集中していることと共にESGに関する懸念は、バリューチェーンに深く根ざしている長期的な供給の潜在リスクを象徴しています。COVID-19パンデミックの電池・航空宇宙産業への影響や、高ニッケル含有への支持からリチウムイオン電池におけるコバルトの使用料を減らす傾向など、コバルト需要は短期的には逆風に直面しています。

 

バッテリー部門からのコバルト原料の巨大な需要に支えられて、コバルトの金属価格は2016年の15米ドル/ポンド以下から2018年第2四半期には10年ぶりの高値となる43米ドル/ポンドまで上昇しました。金属価格の高さと水酸化コバルトの支払債務は、コンゴ民主共和国の生産者からの膨大な供給反応につながりました。Katanga Miningのような大規模生産者からの新規供給は、安定しない職人による生産と相まって、市場を供給過剰状態にしています。

 

その結果、価格は2018年半ばから後退し始め、2019年7月には3年ぶりに13ドル/ポンドの安値にまで下落しました。2019年後半、Glencoreが世界最大のコバルト鉱山であるMutandaを一時停止したため、水酸化コバルトの支払債務と金属価格が一部反発したにもかかわらず、コバルト金属価格は2020年6月に10ヶ月ぶりの安値にまで下落しました。硫酸コバルトや四酸化コバルトを含む電池用化学品のプレミアも、COVID-19パンデミックに続く不確実な市場のもとで減少しました。

 

コバルト市場は新たな統合と再生の段階に入ったと考えられます。中期的なコバルト需要は、中国と欧州の両方の政府の助成金および救済計画の支援を受けて、バッテリーと航空宇宙分野が回復すれば、着実に成長すると予想されます。また、市場参加者がサプライチェーンの安全性と持続可能性に再び焦点を当てるようになれば、より回復力のある多様なコバルトのバリューチェーンが構築される可能性があります。そのため、コバルトは、クリーンエネルギー技術への世界的な移行において重要な役割を果たし続ける必要があります。

 

【 当レポートの詳細目次 】

https://www.gii.co.jp/report/ros943944-cobalt-outlook-16th-edition.html

 

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