【開催レポート】落合陽一と目指す視覚に頼らない食体験「DIVERSUSHI|ダイバースシ」第1回食事会
メディアアーティスト・落合陽一、世界一明るい視覚障がい者・成澤 俊輔が発起人となる「DIVERSUSHIプロジェクト実行委員会」は、2023年7月2日(日)、クラウドファンディングでご支援いただいたお客様とともにリストランテ・マッサ恵比寿にて第1回「DIVERSUSHI|ダイバースシ」食事会を開催いたしましたので、ご報告いたします。
クラウドファンディングを達成し開催された
「DIVERSUSHI|ダイバースシ」の食事会
「DIVERSUSHI」とは、「Diversity(多様性)」と「Sushi(寿司)」による造語です。
寿司そのものではなく、その食べ方にヒントを得た、誰もが食べやすい食事方法を意味して作られました。
2023年5月15日にダイバースシプロジェクトの発表を行い、同時にクラウドファンディングサービス「READYFOR」にて支援募集を開始。開始直後から多くの方にご支援をいただき、クラウドファンディングの終了時には、243名から合計734万5千円の支援をいただき、目標金額である700万円を達成し食事会を開催するに至りました。
オープンから食事提供まで|
ダイバースシのコンセプトを紹介
7月2日、東京にあるリストランテ・マッサで行われた食事会には、昼の部に23名、夜の部に24名の方に参加いただきました。当日は晴天で天気にも恵まれ、昼の部が始まる前に会場は長蛇の列。参加者からは「新しい食の体験に興味があってきました!」と食事会参加の意気込みを語っていただきオープンいたしました。
食事会がスタートし、落合陽一氏と成澤俊輔氏が登場。まずは支援者である皆様にお礼と改めてダイバースシのコンセプトを説明。
日本で生まれた寿司の「手で直接、一口で食べられる」という食べ方をフランス料理やイタリア料理、中華などあらゆる料理にインストールするというコンセプトに参加者の皆様もワクワクした様子で聞いていました。
料理提供|
前菜からデザートまで、食器を使わず1口で食べる新しい食体験
第1弾となる料理を担当したのは、ミシュランを11年連続で獲得した鬼才 村山太一シェフ。事前に2回の試食会を行い、その中から選りすぐりの8品を提供しました。
ウェルカムドリンクで乾杯した後は、次々と料理を提供。食器を使わず、1口で食べるというコンセプトの元、参加者は、手で食材の手触りを感じたり、匂いを感じたり、口に入れた時の食感を感じたりしながら食事を楽しんでいました。参加者からは思わず「箸を使って食べるよりも口の中が繊細になる」といった声も聞こえてきました。
<コース 全8品>
・弾けるフォアグラキューブ
・具がスープだけの揚げ春巻き
・ウニの胡瓜巻き 炙り海苔
・甘鯛鱗焼き 糸昆布 薫香椀
・サワラソテー AIレシピ タンドリーチキンマリネ風
・和牛ヒレ 朴葉香 杉板焼き
・ラヴィオリ イタリアで2000年受け継がれた料理
・トルタアマレッティ 杏仁とザバイオーネソースの氷菓子
<代表メニューの紹介> ※以下、提供メニューから抜粋
<弾けるフォアグラキューブ>
サイコロの上に乗ったフォアグラが特徴的な1品。少し舐めていただくと、和と酸味を同時に感じていただくことができます。アメ細工で使用されるパラチノースを使用することで、パチパチと弾ける食感を楽しむことができます。
<具がスープだけの揚げ春巻き>
具がスープだけなのが特徴の揚げ春巻き。本来であれば、スープを揚げることは難しいですが、UHA味覚糖が製造している「コロロ」の膜を使用することで液体を揚げることに成功しました。お口の中でじゅわ〜っと広がる感覚をお楽しみいただけます。
<和牛ヒレ 朴葉香 杉板焼き>
近江のヒレ肉を使用した1品。2口ご用意させていただき、1つは、「朴葉味噌」を、もう1つは福井の名産「山うに」のソースを使用。1口で手をなるべく汚さず食べられるようにペーストしたソースをご用意。お肉の柔らかさを指で感じながら召し上がることができます。
お客様にも好評だった人工知能AIアプリ
「ochyAI」の特別メニュー
「ochyAI」とは、成澤氏をはじめ、全盲の弁護士として活躍されている大胡田誠氏、元ブラインドサッカー日本代表の落合啓士氏にヒアリングを重ね、視覚障がい者の方が食べたいものを探求するために開発された、AIアプリ。視覚障がい者の方が普段食事をする際に感じている「食べたいもの」「難しいこと」「困ったこと」「楽しかったこと」「驚いたこと」などを入力するだけで、世界に一つだけのレシピを生成するAIアプリです。
今回の食事会では「ochyAI」が生成したレシピを元に、「サワラソテー AIレシピ タンドリーチキンマリネ」を開発。
村山シェフのコメントとして『お魚料理を提供したいと考え「サワラ」「フィンガーフード」、さらには「スパイス」を入力。出てきたレシピにオリジナリティを加えてご提供しました。』と開発のポイントを語っていただきました。
イベント参加者の声
DIVERSUSHI体験後に、参加者にインタビューを実施し、次回の開催に向けてのヒントをいただきました。
参加者1
「日本のお寿司という食文化へのリスペクトが込められているのかなって思いました。目が見えにくい人を起点にして、多様な人が楽しめるように、日本の新たな食文化の形として広がっていくといいなと思いました。今回、僕とか、他の視覚障がいの方もそうでしたけど、手がちょっと不自由な方や、ご高齢の方とか、そういった方も一緒に安心して食べられたから、不安もドキドキも含めて、美味しさで包み込んで楽しめました。みんなで話して共有するっていう時間が広がるといいなと思いました。」
参加者2
「1口で食べるっていうことによって、目の見えない方も見える方も同じ条件。ルールの中で食を楽しむという経験についてすごく考えさせられました。やっぱりお皿を触ったりとか、今まで体感したことのないような触感だったりとか。手で触る触感もそうですし、口で感じる食感も含めてこれから食という時間を大事にしたいなっていう風にそう感じさせていただきました。」
事後インタビュー
イベント終了後、落合陽一氏と成澤俊輔氏の次回に向けた思い
落合氏「まずは、ご支援いただきありがとうございました。ご支援いただいた皆様のおかげで無事にいい会ができたと思います。視覚障がい者の方も、そうでない方も、一緒に楽しそうに外食しているなと思ったので、かなり良かったような気がします。
一方で、今回感じたのは、やはり、メディアアートの初回の展示はハードルが高いということ。夜の部はなんとなくつかめてきましたけど。やっぱり昼と夜、日照条件が違うと、人間というのは暗闇に敏感なので、目が見える人は、感じ方が変わってしまうなと思いました。そこに体験の差が生まれてしまうなと感じています。まだまだ課題が残ると私は思っていますし、今後、さらに良い食体験に向けてやっていきたいと思います。」
成澤氏「まずは、初回、大成功だったと思います。このイベントを開催出来たのも、クラウドファンディングで支援していただいた皆様のおかげです。この場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございます。ふだん、僕ら、目が見えない人間は、周りの人にサポートされることが多くて、食に対して受け身なんですけど、このイベントではみんなが同じ土俵にいるから、自分が主体性を持って食事をすることができたのが楽しかったし、発見でした。今回実施した改善点を踏まえて、また実施したいと思っていますし、多くの方に体験していただきたいと思っていますので、ぜひ、ダイバースシのパワーアップを楽しみにしていてください。」
次回の開催に向けて
第1回夜の部の食事会を終えた後、プロジェクトメンバーで話し合いが行われました。
そこでは、今回の良かった点、改善していくべき点を話し合い、第2回の開催に向けて具体的な時期の話や、料理の考え方について会話が行われました。
DIVERSUSHIの次の展開をぜひ楽しみにしていていただければと思います。
DIVERSUSHIプロジェクト実行委員会
メディアアーティストの落合陽一氏と視覚障がい者の成澤俊輔氏による会話をキッカケに生まれたDIVERSUSHI(ダイバースシ)という「見えない人も、見える人も、みんなで楽しめる」新しい食体験を開発し、広めるために立ち上がった実行委員会です。
・プロジェクトサイト:http://diversushi.org/
・プロジェクトメンバーの紹介:
発起人|落合 陽一(メディアアーティスト)
1987年生まれ、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授・JSTCREST xDiversityプロジェクト研究代表。2020-2021年度文化庁文化交流使、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。(photo: Ninagawa Mika)
発起人|成澤 俊輔(世界一明るい視覚障がい者)
1985年佐賀県生まれ。世界一明るい視覚障がい者というキャッチコピーのもと、経営コンサルタント兼アーティストとして国内外60以上の会社やプロジェクトの伴走を実施。10年以上複数の法人を経営し、現在は主に経営者との対話をしながら、経営者の人生と経営のとらえ直しをサポートしている。
シェフ|村山 太一(料理人・経営コンサルタント)
東京に「レストラン ラッセ」をオープン。開業と同時に日本最速で一つ星を獲得、11年連続保持。note『目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う。』が26万PVを記録し話題になる。書籍「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 」3万部突破。2021年NHK逆転人生出演。
シェフ|五十嵐 美雪(料理人・茶の湯者)
大学卒業後、日本文化を深めたく京都で板前の道に進む。5年半懐石料理を学んだ後、東京ではイタリアンのレストランラッセで副料理長を経験。令和2年福井県にUターンし、週2日限定の料理屋“むつのはな”を経営。多国籍な料理技術や茶の湯の感性を取り入れた懐石料理を提供している。
アドバイザー|遠山 正道(実業家)
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学卒、三菱商事を経てスマイルズ、The Chain Museum、新種のimmigrations代表。「Soup Stock Tokyo」のほか、「giraffe」「PASS THE BATON」「100本のスプーン」などを展開。女子美術大学教授。六本木で「アートかビーフンか白厨」をオープン。
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企業情報
企業名 | DIVERSUSHIプロジェクト実行委員会 |
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代表者名 | 落合陽一 |
業種 | 広告・デザイン |