2023年第3四半期東南アジアスマートフォン市場における出荷量を発表
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、2023年第3四半期東南アジアスマートフォン市場における出荷量は前年同期比で2%減少、前四半期比で3%増加となったという調査結果を含むSoutheast Asia Monthly Smartphone Channel Share Trackerによる最新調査を発表致しました。
2023年第3四半期東南アジアスマートフォン市場における出荷が前年同期比で2%減少、前四半期比で3%増加したことは、東南アジア市場におけるスマートフォンの需要が復活し始めたことを示しています。マクロ経済指標の改善、各社の積極的な新製品の投入、スマートフォンメーカーや販売プラットフォームの積極的なプロモーションの要因で成長に繋がった形です。また、低~中価格帯スマートフォンを購入する消費者の買替サイクルも短くなってきています。また、2023年第3四半期東南アジアスマートフォン市場において、TECNO、Infinix、Appleがこの四半期最も速く成長したメーカーとなりました。
インドネシア、フィリピン、ベトナムなど主要東南アジア諸国では、2023年第2四半期は前年比2桁減となったものの、2023年第3四半期には状況が改善したことで、重要なホリデーシーズンを控えたOEM各社に安堵感を与えました。それでも、通年でみれば、この地域の2023年は前年比8%の減少となる予測です。
ネット銀行、キャッシュレス決済、ネット通販など、インターネット全般と多くの面で未だ普及率が低いため、東南アジアは依然としてハイテクのエコシステムにとって重要な市場と考えられています。
図1: 東南アジアスマートフォン市場の主要国における出荷量推移
※東南アジア主要国には、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアを含む
出典:カウンターポイント社Southeast Asia Monthly Smartphone Tracker, September 2023
東南アジア主要国市場概況
・インドネシアとタイでは、スマートフォン出荷は横ばいだったが、フィリピン、マレーシア、ベトナムなど他の主要国では前年比割れとなった。
・タイでは、新政府が市民の生活苦を軽減するための新しい施策を打ち出した。債務返済延期、エネルギー価格の引き下げ、現金給付などが施策に含まれる。これがコモディティ商品の活気に直結した。加えて、9月には中国とカザフスタンからの観光客のビザなし入国がアナウンスされ、COVIDでダメージを受けた旅行産業にとって大きく明るいニュースとなった。
・インドネシアでは、9月の中旬から下旬にかけて各社の新機種発売が相次いだ。こうした新機種が出荷全体に占める割合は大きい。この四半期、インドネシアの人々は、支出に関しては様子見を決め込むことが多かった。しかし、2024年2月の議会選挙と大統領選挙を控え、国内は熱気が増すため、2023年第4四半期は積極的な販促でスマートフォンがさらに売れるだろうと予想される。
・ベトナムでは、輸出が復調し、経済も回復してきている。GDPは2023年第3四半期に5.33%成長し、市場の期待を上回った。9月に首相が訪米し戦略的パートナーシップ協定を締結したことで、海外からの投資も増えると期待されている。
・フィリピンでは、経済に回復の兆しがある。消費者心理が好転した一方で、失業率は懸念材料であり、低所得者層にとって生活必需品は今なお高価であることには注意が必要である。インフレが緩和したことで、今後は家計支出が増加する可能性がある。それでも、全体としてみれば家計支出のレベルが戻るにはまだ少し時間がかかり、スマートフォンの購入にもその影響があるだろう。
・マレーシアでは、電機・電子機器の需要が弱いままのため、工業生産は停滞している。さらに輸出も元気がなくGDPの下げ幅を大きくしている。マレーシアの5Gは普及が進んできているものの、全体としてみれば同国の産業全体が中国経済停滞の影響を受けている状況である。
図2: 東南アジアスマートフォン出荷市場シェア
※東南アジア主要国には、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアを含む
出典:カウンターポイント社 Southeast Asia Monthly Smartphone Tracker, September 2023
東南アジアスマートフォン市場における主要メーカー市場概況
・市場が縮小トレンドの中、Appleはこの四半期に出荷を前年同期比19%伸ばした。AppleのiPhone 13と14シリーズの需要は根強く、新発売の15シリーズの需要にそれが上積みされている。
・Samsungは、21%のシェアで市場をリードしている。A05シリーズが新たに投入され、もともと強いAシリーズ全体の存在感を高めた。Z Flip 5やZ Fold 5とSシリーズからなる高価格帯機種も好調である。経済の逆風にあまり左右されない富裕層が高価格帯機種の購買層であるため、同社の高価格帯機種を軸にしたプロモーションは、これまでのタイやベトナムだけでなく、インドネシアやフィリピンなどの国でも増加している。Samsungは、インドネシア、タイ、ベトナムにおいて2023年第3四半期のトップブランドとなった。
・Xiaomiの出荷は7%伸びた。同社のRedmi 12シリーズは東南アジアのどの国でも極めて好調な売れ行きだった。2023年第3四半期の同社のプロモーションも新機種発売も、他のほとんどのメーカーより好結果だったことが出荷増に繋がった。Xiaomiはマレーシアにおいて第3四半期のトップブランドとなった。
・Transsionは、この四半期に最も成長した。Infinixは前年同期比42%、TECNOは148%、itelは17%、それぞれ成長した。InfinixとTECNOは基本性能が高い機種を出しており、商品ラインアップも幅広い。
・realmeは、2023年第3四半期は横ばいだった。フィリピンではトップブランドとなった。
各社の2023年第3四半期東南アジアスマートフォン市場での動きに関して、カウンターポイント社シニアアナリストGlen Cardoza氏は次の通り述べています。
「競合するOPPOやvivoは機種の選択肢が限られたことに対して、SamsungとXiaomiは広い価格帯で新機種を投入してシェアを維持し、東南アジア主要国でのマーケティングをはるかに上手に行った。新たに参入したメーカーも結果を残している。特にTranssionブランドは強い。TECNOとInfinixは、低~中価格帯の新機種でシェア維持から拡大を果たした。Transsionブランドの3社全体では、2023年第3四半期に62%成長した。」
5Gの普及は、インドネシア、ベトナム、マレーシアなど一部の国では現在も道半ばです。しかし、消費者にとって5Gはますます重要な関心事であり、多くの消費者は5G対応の機種を持ちたいと考えています。2023年第3四半期には、5Gスマートフォンはこの地域での出荷全体の36%を占める結果を残しています。
この地域における主要なマクロ経済指標、例えば、中国と東南アジアの貿易額、スタートアップへの投資額、外国による直接投資額は、前年比割れが続いています。また、旅行業の回復もまだ途上のため、ほとんどの東南アジアの国のGDPは低レベルに留まっています。物価に敏感な消費者は、支出を最低限に抑えて、状況が好転するのを丸一年も待っています。一方、良いニュースもあり、産業の回復自体は進みが遅くとも、デジタルトランスフォーメーションは進行しており、2023年第4四半期は、今よりも良くなると期待できます。
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今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。 (調査時期:2022年7月1日~2023年9月30日)
【カウンターポイント社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/
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企業情報
企業名 | Counterpoint Research HK Limited |
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代表者名 | Tom Kang |
業種 | その他サービス |
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