2023年は日本人留学生の数は前年対比218%。コロナ前の2019年比で83%まで回復。アジア地域への留学はコロナ前の数字越え。
留学事業の健全な発展と国内の留学啓蒙を目的として、民間の留学事業者や海外政府機関等の 64団体で構成される一般社団法人海外留学協議会(JAOS、理事長 上奥由和、以下、「JAOS」)は、2024年 4月にJAOS会員である留学事業者40社を対象に日本人の留学生数の調査、『海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査』を実施しました。その結果、JAOS加盟の留学事業者40社からの2023年の1年間の留学生数は66,007人(オンライン留学含む)であること、オフライン留学はコロナ前の2019年の数字の83%、前年対比218%にまで回復し、中でもフィリピン、マレーシア、シンガポール、韓国などのアジア地域への日本人留学生数がコロナ前の2019年の112%になっており、ヨーロッパ、北米、オセアニアがまだ2019年の数字を超えられないのに比べ、著しく日本人留学生が増えていることがわかりました
【調査背景】
昨年、令和五年、岸田内閣は、日本人学生の派遣に関する目標数値を2033年までに全体で50 万人にまで引き上げることを閣議決定しました。留学生数の調査は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)や、文部科学省のOECD等をもとにした『日本人の海外留学者数』などがありますが、海外の大学や大学院等の高等教育機関に留学した日本人の人数や、日本国内の大学経由などで留学をした学生の人数しか計測されていない側面があります。
JAOSは『海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査』を毎年実施し、社会人や小中高校生などを含む留学生数統計データを提供しています。これにより、日本人の留学生数をより明らかなものとしていくことを目的とします。
1)従来型オフライン留学数が2019年比で83%まで回復。前年対比だと218%
2020年からのコロナ禍において日本人留学生の数は大きく減少しました。2022年に入り多くの留学生受け入れ国において、留学生の積極的な受け入れが再開された結果、日本人留学生数も回復傾向に入りました。今回のJAOS統計調査では、2023年に、従来型のオフライン留学数が2019年比で83%まで回復したことがわかりました。この数字は前年対比だと218%になります。オフライン留学が増加傾向にあるのに対し、海外の教育機関の授業を日本で受講するオンライン留学数が、昨年の4,799人から、1,568人に減少し、コロナ禍の2020年約1万から大幅に減少しています。
2)日本人留学先の1位はアメリカ、2位オーストラリア、3位カナダ
従来型のオフライン留学では、アメリカへの留学が1番多く全体の22.4%に当たる14,444人で、2番目に多かったオーストラリアの19%、12,221人を上回る結果となりました。これは日本の大学や高校が行う学校主催の留学プログラムが2023年に本格的に再開されたことに起因すると考えられます。日本の高校や大学における留学プログラムの留学先はアメリカが圧倒的に多いからです。一方、2022年は日本人の留学先で1番目だったカナダは3位になり全体の14.7%、9,485人になっています。そして、4位がイギリス(10.7%、6,903人)、5位がフィリピン(9.0%、5,792人)となっています。
3)アジア地域への留学が急増。唯一2019年の水準を上回る
日本人の留学先をアジア、ヨーロッパ、北米、オセアニアの4つの地域別にみてみると、
2023年の留学生総数は、北米(23,929人)、オセアニア(17,133人)に次ぐ3位(14,012人)としてアジアが入りますが、対2019年比率で見ると、北米が75%、オセアニアが72%、ヨーロッパが96%のところ、アジアは112%になっていて唯一2019年の数字を上回っています。この背景には、円安、物価高などによる留学費用の高騰を受け、留学費用が安価に抑えられるアジア留学へのシフト、国内大学がアジアへの留学プログラムを増やしていることなどが考えられます。
4)注目の留学先は韓国、マレーシア、台湾
2023年特に目立った留学先の国としては、昨年から急速に日本との関係改善が進み、
K-POPやK-ドラマ・映画などで世界的な注目を集める韓国、そして円安やアメリカやオーストラリアなどのインフレによる物価高で留学費用が相対的に上がっていることを受け、以前より新たな日本人学生の海外大学進学先として知られてきたマレーシアや台湾も注目度を上げています。韓国は2019年の日本人留学生数が1,605人から、2023年は2,486人。マレーシアは2019年の481人から、2023年は893人まで急速に人数を増やし、コロナ禍からの復帰が遅かった台湾も2019年の1,119人から、2023年は1,191人(前年比では251%)とほぼコロナ前と同水準の人数が留学をしています。また、韓国への留学は語学留学を目的として留学する人が殆どですが、マレーシアや台湾への留学は大学学部留学の割合が非常に高くなっているという特徴があります。
【日本人留学生の今後の展望】
昨年の岸田内閣の閣議決定を受け、「2033年までに日本人学生の海外留学者数を全体で
50 万人にまで引き上げる」ことが政府の目標の一つになりました。
政府の資料によるとコロナ前の2019年時点での日本人留学生数を22.2万にとしているので、この50万人という数字は、2033年までの今後10年で、日本人留学生数をコロナ前の2倍以上にするという、非常に野心的な目標になっています。
このような中で、一般社団法人海外留学協議会(JAOS)は、日本人留学生の今後の展望を以下のようにまとめました。
1) 円安と物価高だが日本人留学生は今後も増加する
昨年来の歴史的な円安や先進国の物価高で、留学にかかる費用は高騰しています。にもかかわらず、2023年は前年対比218%で日本人留学生は増加しました。この増加傾向は2024年以降も続くと考えられます。その理由は以下にあると考えます。(1)政府が日本人留学生50万人目標の達成に向けて留学推進のための施策を強化し、それに伴う予算を増額する。(2)それによって奨学金や大学・高校主催の留学プログラムの留学費用への支援が増える(3)大阪万博2025や2030年開業予定の統合型リゾート(IR)、インバウンド需要を見越した外資系ホテルの日本進出などの産業界のニーズにより専門性の高いグローバル人材が求められている(4)留学費用が安いフィリピン、マレーシア、台湾、韓国、マルタなどの留学先の選択肢が増えている ことなどが挙げられます。
2) AI時代だからこそ実体験を伴う留学の価値が向上する
サムソンのスマホの最新機種には翻訳AI機能が掲載され、外国人との会話をサポートしてくれます。将来、AIは今まであった言語の壁をなくすことになるでしょう。また、海外にある情報や知見も日本にいながらAIを使って簡単に日本語で入手できるようになるでしょう。そんな中、わざわざ海外へ学びに行く必要があるのかという問いをよく聞きます。留学は単に言語習得やアカデミックな知識を得る手段ではありません。留学先国で生活しながら、新たな習慣や人間関係にリアルに触れて学んでいく体験です。そのようなリアルな体験で得られた経験や知見はAIでは決して代替できないものだと思います。故に、留学体験の価値は今後も向上すると考えられます。
3) 日本人留学生50万人目標達成における留学事業者の役割の重要性
政府が打ち出す、日本人留学生数を50万人にするという目標はコロナ前の日本人留学生の数の2倍以上という非常に高い目標です。教育未来創造会議の提言の中には様々な施策案が示されていますが、実際、30年以上前から、日本国内で一番大きく留学推進活動を日々行っているのは民間の留学事業者です。留学事業者である一般社団法人海外留学協議会(JAOS)の会員だけでも2019年には約8万人の学生を海外に送り出しています。また、国内大学や高校の留学プログラムの企画や運営業務なども危機管理や海外留学事情に精通する多くの留学事業者が携わっています。今後、政府が、留学推進活動や留学実現業務のプロである留学事業者を巻き込んだ施策を積極的に行っていくことが、50万人目標達成のキーになると思われます。
以上
【統計調査概要】
対象期間:2023年1月から12月
調査対象:JAOS加盟留学事業者40団体
■一般社団法人海外留学協議会(JAOS)とは
1991 年に留学事業の健全な発展と国内の留学啓蒙のために組織された機関。現在、留学サービス事業者を中心に60以上の団体が加盟、パートナー会員として、オーストラリア大使館マーケティング事務所、ブリティッシュ・カウンシルなど公的機関も会員になっている。コロナ以前の2019年にはJAOS 会員留学事業者から年間約8万人の日本人が留学している。
・設立: 1991 年(2008 年に一般社団法人格を取得)
・理事長: 上奥 由和
・所在地: 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-46ロベール神楽坂7F
・URL: www.jaos.or.jp
■本リリースについてのお問い合わせ先>一般社団法人海外留学協議会(JAOS) 事務局長 星野 達彦
Email: jimukyoku@jaos.or.jp
電話:03-3269-8446
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企業情報
企業名 | 一般社団法人海外留学協議会(JAOS) |
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代表者名 | 上奥 由和 |
業種 | 教育 |
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