米アルゴンヌ国立研究所、AI駆動型科学を支援するために新しいSambaNova推論最適化クラスターを導入

SC24、アトランタ、2024年11月18日— 最も効率的なAIチップ（注１）と最速のモデル（注２）を提供する生成AI企業のSambaNovaは、アメリカ合衆国エネルギー省（DOE）アルゴンヌ国立研究所が、SambaNova Suiteの導入により研究所の人工知能（AI）インフラを拡張すると発表しました。このプラットフォームは、低遅延、高スループットの推論に最適化されており、科学者に科学研究を加速させるための新しいAIリソースを提供します。

アルゴンヌ国立研究所の計算・環境・生命科学担当副所長であるリック・スティーブンス氏は「大規模な言語モデルや基盤モデルを推論することは、複雑な科学的問題にAIを適用するための我々の取り組みにおいて非常に重要です。新しいSambaNovaのシステムの追加は、革新的なAIアクセラレータプラットフォームが科学にどのように利益をもたらし、進歩させることができるかを探求するという我々の使命に沿っています」と述べています。

SambaNova DataScale SN40Lシステムによって動作するSambaNova Suiteは、組織がAIワークロードをトレーニング、ファインチューニング、展開できるようにする、完全に統合されたハードウェアとソフトウェアのプラットフォームです。

SambaNova Systemsの製品担当上級副社長であるマーシャル・チョイは「推論のためのAIワークロードの本格的な導入が始まっています。アルゴンヌ国立研究所は、科学のためのAI向けの高速推論サービスを提供する分野で先駆けており、長年のパートナーシップ、およびこの新しいシステムの導入を通じて、彼らの取り組みを支援できて嬉しく思います」と述べています。

新しいSambaNovaプラットフォームは、エネルギー省の科学局が運営するユーザー施設であるアルゴンヌリーダーシップコンピューティング施設（ALCF）のAIテストベッドの一部として、科学コミュニティで利用可能になります。すでにSambaNova DataScale SN30トレーニングクラスターを備えているALCF AIテストベッドは、オープンサイエンスのために研究者が利用できる高度なAIアクセラレータのコレクションであり、拡大を続けています。科学のためのAIの利用を進歩させることに加えて、AIテストベッドシステムは、ALCFとそのユーザーコミュニティが、次世代のスーパーコンピューターとAIアクセラレータを統合してパフォーマンスと効率を向上させる方法について洞察を得ることを可能にしています。

ALCFの所長であるマイケル・パプカ氏は、「私たちのAIテストベッドは、ALCFユーザーコミュニティが、大規模な言語モデル、大規模データ分析、信頼できるAIの開発を含む革新的な研究プロジェクトのために、最新のAIテクノロジーを活用できるようにします。新しいDataScale SN40Lシステムの導入により、私たちは、従来のALCFユーザーベースを超えて、先進的なAI推論機能を拡張しています。学習済みAIモデルをよりアクセスしやすくすることで、私たちは科学とエンジニアリングのための生成AIおよびエージェンティックAIワークロードの新しい方向性を探求する、より広範な研究者コミュニティを支援することを目指しています。」と述べています。

ALCFのAIおよび機械学習リーダーであるヴェンカット・ヴィシュワナス氏は「推論は私たちのAIテストベッドシステムの最大のワークロードの1つです。AIモデルを迅速に評価し、パフォーマンスを向上させるためにパラメータを調整できることは、薬の発見、気候科学、脳マッピングなど、多くの研究分野におけるAI駆動型科学の進歩を促進するために非常に重要です」と述べています。

アルゴンヌに導入されるシステムにはSambaNovaの再構成可能なデータフローユニット（RDU）が16基含まれています。このシステムの機能は、生物学、化学、材料科学、気候モデリングなど、さまざまな分野にわたる自律的な科学的探索を可能にするために構築されているアルゴンヌのAuroraGPTのような大規模な基盤モデルの開発をサポートします。AuroraGPTは、世界で最も強力なスーパーコンピューターの1つであるアルゴンヌのAuroraエクサスケールシステムで学習されています。

ヴィシュワナス氏は「異なるAIモデルを瞬時に切り替え、ドメイン固有のデータセットを使用してファインチューニングできる機能は、パフォーマンスのテストと検証のプロセスを合理化するのに役立ちます。各推論サイクルに必要な時間を短縮することで、AuroraGPTやその他の大規模モデルを評価するプロセスを加速できます」と述べています。

このシステムはまたアルゴンヌ国立研究所に次世代のスーパーコンピューターとデータセンターのためのエネルギー効率の高い技術の探索を継続するための新しいプラットフォームを提供します。

ヴィシュワナス氏は「スーパーコンピューターとAIモデル開発および評価の両方に、かなりのエネルギー需要があります。ALCF AIテストベッドの目標の1つは、SN40Lのような新しいAIアクセラレータが将来のスーパーコンピューターと統合してエネルギー効率を向上させる方法を調べることです」と述べています。

研究者はALCFにプロジェクト提案を提出することで、システムへのアクセスをリクエストできます。テストベッドシステムはNational Artificial Intelligence Research Resource（NAIRR）パイロットを通じても利用可能です。

アルゴンヌ国立研究所は、科学と技術の分野における国の重要課題に対する解決策を求め、ほぼすべての科学分野で最先端の基礎研究と応用研究を実施しています。アルゴンヌはUChicago Argonne, LLCによってアメリカ合衆国エネルギー省科学局のために管理されています。

アメリカ合衆国エネルギー省科学局はアメリカ合衆国における物理科学の基礎研究の最大の支援者であり、当面の最も重要な課題に対処するために取り組んでいます。詳細についてはhttps://energy.gov/scienceをご覧ください。

（注１）AI推論時の電力消費の比較において。SambaNova Systems調べ

（注２）Artificial Analysis社調べ