情報通信・データセンター用大容量リチウムイオン電池を共同開発 *世界初、200Ah級セルで難燃化・長寿命化技術を確立

NTTファシリティーズと新神戸電機は、共同でIT装置バックアップ向け大容量リチウムイオン電池を開発。難燃化と長寿命化を実現し、鉛蓄電池に比べ設置したときの体積および重量が約60%減と、省スペース化に大きく貢献。

株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 森 勇、東京都港区)と新神戸電機株式会社(執行役社長 臼井 正信、東京都中央区)は、共同でIT装置バックアップ向け大容量リチウムイオン電池を開発しました。課題であった難燃化と長寿命化を実現した据置形フロート仕様(注1)リチウムイオン電池です。
開発品は、鉛蓄電池に比べ設置したときの体積および重量が約60%減となり、省スペース化に大きく貢献します。

1.開発の背景
リチウムイオン電池は小型・軽量・大出力という特性から携帯電話やパソコン用、さらに最近は自動車や産業用など様々な用途に向けた開発が加速しています。特に自動車用のリチウムイオン電池の大容量化や量産化の動きは、産業用にもリチウムイオン電池が大きく普及していく素地となりつつあります。
産業用蓄電池需要の大半は定置用途でのフロート仕様であり、現状は鉛蓄電池が主流です。なかでも、情報通信分野はIT機器の消費電力が増大傾向にあり、それらの装置の停電対策で使用される蓄電池もしだいに大型化しています。都市部では大型の蓄電池を設置するスペースの確保が困難になりつつあり、リチウムイオン電池の特長である省スペース化への要請が益々高まってきています。
また、リチウムイオン電池がフロート仕様で使われる場合、常時満充電状態で使用される為、万が一の充電装置故障による過充電等のリスクが高く、熱暴走への安全対策が必要となり、難燃化は必須の技術です。
今回は、このような要請に対応して、省スペースで安全性にも優れた難燃化を施した長寿命の据置形フロート仕様リチウムイオン電池を開発致しました。

2.開発の経緯
NTTファシリティーズは、100年以上にわたって日本の電気通信の歩みをIT、エネルギー、建築の融合技術でサポートしてきた総合エンジニアリング・サービス会社です。建築設計監理や建物維持管理、及び電力設備設計業務等以外に、NTTグループをはじめデータセンター、放送局、金融業など、多くのお客様の電源システムや鉛蓄電池等の監視・保守業務に携わっています。また、共同開発を進める上で、NTTファシリティーズのグループ会社である株式会社NTTファシリティーズ総合研究所がリチウムイオン電池の知見を有しており、難燃化及び安全性評価を行いました。
NTTファシリティーズは常に最先端の技術を注視しており、リチウムイオン電池の定置用途での導入の必要性を検討していました。
新神戸電機は、1992年のNEDO技術開発機構の事業への参加から大型リチウムイオン電池の開発に着手しました。そして、自動車用途で2000年よりリチウムイオン電池を事業化し、2004年からは日立グループのリチウムイオン電池製造合弁会社である日立ビークルエナジー株式会社への参画を通じて開発に注力してきました。
今回、NTTファシリティーズが有する電源システムの保守運用実績および知見と、新神戸電機の蓄電池技術を融合し、フロート仕様リチウムイオン電池開発を共同で実施して参りました。

3.開発の内容
大容量フロート仕様リチウムイオン電池を実現する上でキーとなる難燃化及び長寿命化技術を確立しました。
(1)難燃化
据置形フロート仕様は、常にエネルギーをフルに蓄えた満充電状態で使用され、多数の大容量の電池を室内で使用することから、難燃化が最重要課題となります。
今回、難燃添加剤を加えても寿命に影響を与えない電解液を開発しました。開発した電解液によって、難燃規格であるUL94−V0(注2)相当を達成することができました。さらに難燃薄膜層形成技術の確立により、難燃電極を開発しました。開発した電解液と電極により、電池温度が上昇し続けた場合でも、電極の燃焼抑制効果及び熱暴走抑制効果が確認できました。
(2)長寿命化
IT装置の寿命は10年程度と考えられますので、据置形フロート仕様は電池のメンテナンス時に負荷に影響を及ぼすリスクを避けるため、10年以上の寿命が望ましいと言えます。従来のリチウムイオン電池は充放電を繰返すサイクルでの使用が多く、充電を長期間継続するフロート仕様での寿命の検討が不充分でしたが、電池の劣化メカニズムを詳細に解析し、従来は3年程度でしたが、改良により寿命を10年に延伸する見通しがつきました。

4.今後の計画
本開発品はNTTグループをはじめデータセンター、放送局、金融業など、多数のユーザーが現在運用中の、高い信頼性が要求されるIT機器用電源システム用として導入されることを目的としたものです。将来は給電システムの高信頼、高効率、省コスト化に向けた高電圧直流給電方式(HVDC)への適用も視野に入れています。
NTTグループでは2010年より導入を計画しており、省スペース化の要求が高い都市部への導入効果が大きいと想定しています。
また、新神戸電機は、NTTファシリティーズと共同開発した技術によって、非常照明等停電時バックアップ用途にも積極的展開を予定しています。更には、今後の大容量リチウムイオン電池の市場拡大に備えて開発技術者と設備を増強し、産業用途での需要に対応していく考えです。

【用語解説】
注1 フロート仕様
常時充電し停電時にバックアップする使い方。
注2 UL94−V0
米Underwriters Laboratories Inc.が定めた、樹脂の難燃性を規定する材料、製品の安全規格で「V0は炎を離した後10秒以内で自己消火性を有する」事を示します。蓄電池は難燃規格が無いために樹脂の規格を援用して評価しました。





【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社NTTファシリティーズ
研究開発本部 パワーシステム部門 辻川(つじかわ)TEL:03-5907-6332
新神戸電機株式会社
CSR・コーポレート本部 岡本(おかもと) TEL:03-6811-2360


《関連URL》
http://www.ntt-f.co.jp/index.html
http://www.ntt-f.co.jp/news/heisei18/h18-0605.html
http://www.ntt-f.co.jp/profile/rd/energy.html
http://www.shinkobe-denki.co.jp/

企業情報

企業名 株式会社NTTファシリティーズ
代表者名 筒井清志
業種 その他サービス

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