ブロガー・SNS利用者の「対人距離感」 〜実名伏せて本音・自己開示・なりたい自分〜
ネットエイジア株式会社と株式会社第一生命経済研究所は、「ブロガー・SNS利用者の『対人距離感』」に関する調査をモバイルリサーチにより実施し、15歳〜44歳の男女で「ブログ・ツイッター・ミクシィ・フェイスブックのいずれかを使っている」と答えた携帯電話ユーザー1020名の回答を集計いたしました。
◆ 個人情報の公開は多いが感情表出が少ないフェイスブック
ブログやSNSを活用している人が、実際に自分にかかわるどのような情報をネット上に掲載しているのかについて、個人情報に関するもの、感情、情報の内容にわけてたずねた。
個人情報に関するものについてみると、「実名(本名)」公開が最も多いのはフェイスブックであり、これにミクシィが続いている(図表4)。ただし、ミクシィでは「ハンドルネーム」「実名ではないが、友人や家族にはわかる名前」といったものの公開も多く、不特定多数の人とのつながりに利用したり、知人間で利用したりといったように、ミクシィの利用方法が多様であることがうかがえる。「自分の写真(本人が特定できるもの)」の公開については、フェイスブックが46.0%で他に比べて高く、やはりこれにミクシィが続いている。知り合いやその知り合いあたりとつながるケースの多いフェイスブックでは、全体的にみて個人情報に関することについての公開度合いが高い。
一方、感情の表出についてみると、フェイスブックでの公開はどれも最も低いとの結果を得た(図表5)。「自分がうれしかったことについて」については友人への公開が最多で、ミクシィへの公開が僅差で続いている。また、「自分がじまんしたいことについて」「自分が悲しかったことについて」は、フェイスブック以外はいずれも50%台が公開するとしている。また、「自分が感じたさびしさや孤独感について」は、ブログ・ツイッター・ミクシィへの公開が家族への公開を上回る結果となっていた。「自分の弱みやなやみについて」は友人、家族、ブログへの公開の順で高く、フェイスブックへの公開は17.5%と低かった。
情報の内容についてみると、ここでもフェイスブックでの公開が他と比べて少なかった(図表6)。ブログやツイッター、ミクシィでの公開が多かったのは「日常生活」「趣味や得意なこと、関心事や習慣について」「自分の感情や思ったことについて」となっている。「収入や資産状況、家計」「宗教」「政治」「生い立ち」といったセンシティブな情報については、家族や友人には公開するものの、ネット上で公開する割合は高くない。ただし、「異性関係や性」「健康状態や病気」については、自分が情報公開することで有用な情報がフィードバックされることも想定されてか、センシティブな情報であることを考慮してもある程度公開されている実態がみてとれた。
◆ ネット上だけのつきあいの人の平均人数は14.35人
続いて、コミュニケーションの状況について、それぞれ該当者がいないとする人を除き、普段どの程度コミュニケーションをとっているかについてたずねた。その結果、全体としては配偶者や自分の息子・娘など、家族とのコミュニケーション(「非常によくコミュニケーションをとっている」と「ある程度コミュニケーションをとっている」の合計、以下同じ)が高い割合を占めた(図表7)。そうした中、「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」とコミュニケーションをとっている人が、53.1%と過半数を占めた点が特徴的である。属性別にみると、男性では「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」とのコミュニケーションは自分のきょうだいより多く、父親と並ぶ割合をしめた。年代が高くなるにつれて自分の男きょうだいとのコミュニケーションが減少し、30代以上では「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」が男きょうだいとのコミュニケーションを上回っている点も興味深い。
友人知人の平均人数をみると、「会ったことはほとんどないが、電話や電子メールだけで連絡をとりあう人」が3.29人、「ネット上だけでのつきあいの人」が14.35人となっていた(図表8)。
◆ ネット上の相手に共感、対面コミュニケーションより自己開示ができる人も
ブログやSNSを利用するにあたり、ネット上でかかわる相手に対してどのような意識や感覚を持っているのかについて、「相手の実名や顔を知らないことで生じる感覚」「相手を知人と感じるかについての感覚」「自分の本名を公開しないことによる感覚」の3つにわけてたずねた。
まず、「相手の実名や顔を知らないことで生じる感覚」についてみると、約8割が「主にネット上でつきあっていても、実名や顔を知っている人と、知らない人とでは、知っている人のほうが信じられると思う」と回答している(「そう思う」と「まあそう思う」の合計、以下同じ)(図表9)。その一方で、「実名や顔を知らないネット上の相手と、『気が合う』と感じることはあると思う」「実名や顔を知らないネット上の相手には、対面では話しにくいことも気軽にいえると思う」については、67.0%が肯定した。また、「実名や顔を知らないネット上の相手を、身近に感じることはあると思う」についても、57.0%が肯定している。実名や顔を知らないことは、信頼面で実名や顔を知っていることに及ばないものの、ネット上の相手に対して共感したり、ネットでは対面でのコミュニケーション以上に自己開示を行えるとする人が多いことが明らかとなった。
また、実名や顔を知らないネット上の相手とどのような交流を行えば「知人」とみなされるのかについてたずねたところ、45.3%が「ネット上で何度かやり取り」、43.4%が「ハンドルネームやアバターなどの、決まった呼び名で交流」すれば「知人」とみなすと回答した(図表10)。「ネット上で自分の発言に返答してくれた」程度では28.7%しか「知人」とはみなさないとの回答を得たが、15-19歳では38.2%がその状況で「知人」とみなすと回答している。
最後に、「自分の本名を公開しないことによる感覚」についてみると、約7割が「言いたいことをいいやすいと思う」と回答し、約5割が「『こうなりたい自分』になることができると思う」と回答した(図表11)。また、男性では「相手にきびしくなりやすいと思う」「相手に対して攻撃的になりやすいと思う」が、女性では「相手にやさしくしやすいと思う」「相手の気持ちになりやすい・共感しやすいと思う」が、それぞれ相対的に多かったことから、ネット上で匿名でいることによる感情表出の性差が感じられた。さらに性差が大きかったのは、「自分の名前を公表していない状況では、ふだん出せない自分を出すことができる」(男性<女性)と「お互いに実名を公表せずにネット上だけで交流している相手と、実際に会って交流したいと思うことがある」(男性>女性)で、それぞれ10ポイント程度の差が確認された。
現代のコミュニケーションは、性別や年代差だけではなく、使っているメディアやサービスによって、自己表出や他者への感覚が異なってきていると考えられる。自分が相手を知人とみなしていても、果たして相手が自分を知人と考えているかは不明である。サービスの多様化に伴い、ネット上での対人感覚も多様化しているのだろう。「ネットとリアル」という区別が消滅しつつある中、ブログやSNSの利用者に限ったデータでもこれだけの差異が確認されるということは、非利用者を含めて考えるとそのギャップは計り知れない。
(株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 副主任研究員 宮木由貴子)
調査概要(クローズド調査)
○調査対象・・・15歳〜44歳の男女で、「ブログ・ツイッター・ミクシィ・フェイスブックのいずれかを使っている」と回答した携帯電話ユーザー
○調査地域・・・全国
○調査期間・・・2011年9月20日〜9月27日
○回答サンプル数・・・1,020名(回答者キャリア内訳:NTTドコモ55.0%、au36.3%、ソフトバンク8.7%)
性別:男性34.6%、女性65.4%
年代:15〜19歳16.7%、20〜24歳16.7%、25〜29歳16.7%、30〜34歳16.7%、35〜39歳16.7%、40〜44歳16.7%)
<本件についてのお問い合わせ>
株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 副主任研究員 宮木(ミヤキ)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi
Tel:03-5221-4767 Fax:03-3212-4470
ネットエイジア株式会社 マーケティング事業本部 山名(ヤマナ)
http://www.mobile-research.jp/
Tel: 03-3552-8041 Fax: 03-3552-8042 mobile-press@netasia.co.jp
■ ネットエイジア株式会社について
【社名】 ネットエイジア株式会社
【所在地】 東京都中央区新川一丁目27番8号 新川大原ビル7階
【代表者】 代表取締役 三清 慎一郎
【設立年月】 2005年2月
【資本金】 3億1552万円
【事業内容】 モバイルリサーチ事業
【URL】 http://www.netasia.co.jp/
■ 株式会社 第一生命経済研究所について
【社名】 株式会社 第一生命経済研究所
【所在地】 東京都千代田区有楽町1丁目13番1号
【代表者】 代表取締役 長谷川 公敏
【事業内容】
○国内外の経済・金融・文化に関する調査・研究
○保険・年金に関する市場動向、および生活保障(社会保障・企業内福祉)、家計動向、人口問題(少子化・高齢化)等に関する調査・研究
○ライフデザイン(健康・教育・家族・心など)に関するさまざまな調査・研究
【URL】 http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi
ブログやSNSを活用している人が、実際に自分にかかわるどのような情報をネット上に掲載しているのかについて、個人情報に関するもの、感情、情報の内容にわけてたずねた。
個人情報に関するものについてみると、「実名(本名)」公開が最も多いのはフェイスブックであり、これにミクシィが続いている(図表4)。ただし、ミクシィでは「ハンドルネーム」「実名ではないが、友人や家族にはわかる名前」といったものの公開も多く、不特定多数の人とのつながりに利用したり、知人間で利用したりといったように、ミクシィの利用方法が多様であることがうかがえる。「自分の写真(本人が特定できるもの)」の公開については、フェイスブックが46.0%で他に比べて高く、やはりこれにミクシィが続いている。知り合いやその知り合いあたりとつながるケースの多いフェイスブックでは、全体的にみて個人情報に関することについての公開度合いが高い。
一方、感情の表出についてみると、フェイスブックでの公開はどれも最も低いとの結果を得た(図表5)。「自分がうれしかったことについて」については友人への公開が最多で、ミクシィへの公開が僅差で続いている。また、「自分がじまんしたいことについて」「自分が悲しかったことについて」は、フェイスブック以外はいずれも50%台が公開するとしている。また、「自分が感じたさびしさや孤独感について」は、ブログ・ツイッター・ミクシィへの公開が家族への公開を上回る結果となっていた。「自分の弱みやなやみについて」は友人、家族、ブログへの公開の順で高く、フェイスブックへの公開は17.5%と低かった。
情報の内容についてみると、ここでもフェイスブックでの公開が他と比べて少なかった(図表6)。ブログやツイッター、ミクシィでの公開が多かったのは「日常生活」「趣味や得意なこと、関心事や習慣について」「自分の感情や思ったことについて」となっている。「収入や資産状況、家計」「宗教」「政治」「生い立ち」といったセンシティブな情報については、家族や友人には公開するものの、ネット上で公開する割合は高くない。ただし、「異性関係や性」「健康状態や病気」については、自分が情報公開することで有用な情報がフィードバックされることも想定されてか、センシティブな情報であることを考慮してもある程度公開されている実態がみてとれた。
◆ ネット上だけのつきあいの人の平均人数は14.35人
続いて、コミュニケーションの状況について、それぞれ該当者がいないとする人を除き、普段どの程度コミュニケーションをとっているかについてたずねた。その結果、全体としては配偶者や自分の息子・娘など、家族とのコミュニケーション(「非常によくコミュニケーションをとっている」と「ある程度コミュニケーションをとっている」の合計、以下同じ)が高い割合を占めた(図表7)。そうした中、「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」とコミュニケーションをとっている人が、53.1%と過半数を占めた点が特徴的である。属性別にみると、男性では「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」とのコミュニケーションは自分のきょうだいより多く、父親と並ぶ割合をしめた。年代が高くなるにつれて自分の男きょうだいとのコミュニケーションが減少し、30代以上では「メールやネット上だけの付き合いで、顔を知らない人」が男きょうだいとのコミュニケーションを上回っている点も興味深い。
友人知人の平均人数をみると、「会ったことはほとんどないが、電話や電子メールだけで連絡をとりあう人」が3.29人、「ネット上だけでのつきあいの人」が14.35人となっていた(図表8)。
◆ ネット上の相手に共感、対面コミュニケーションより自己開示ができる人も
ブログやSNSを利用するにあたり、ネット上でかかわる相手に対してどのような意識や感覚を持っているのかについて、「相手の実名や顔を知らないことで生じる感覚」「相手を知人と感じるかについての感覚」「自分の本名を公開しないことによる感覚」の3つにわけてたずねた。
まず、「相手の実名や顔を知らないことで生じる感覚」についてみると、約8割が「主にネット上でつきあっていても、実名や顔を知っている人と、知らない人とでは、知っている人のほうが信じられると思う」と回答している(「そう思う」と「まあそう思う」の合計、以下同じ)(図表9)。その一方で、「実名や顔を知らないネット上の相手と、『気が合う』と感じることはあると思う」「実名や顔を知らないネット上の相手には、対面では話しにくいことも気軽にいえると思う」については、67.0%が肯定した。また、「実名や顔を知らないネット上の相手を、身近に感じることはあると思う」についても、57.0%が肯定している。実名や顔を知らないことは、信頼面で実名や顔を知っていることに及ばないものの、ネット上の相手に対して共感したり、ネットでは対面でのコミュニケーション以上に自己開示を行えるとする人が多いことが明らかとなった。
また、実名や顔を知らないネット上の相手とどのような交流を行えば「知人」とみなされるのかについてたずねたところ、45.3%が「ネット上で何度かやり取り」、43.4%が「ハンドルネームやアバターなどの、決まった呼び名で交流」すれば「知人」とみなすと回答した(図表10)。「ネット上で自分の発言に返答してくれた」程度では28.7%しか「知人」とはみなさないとの回答を得たが、15-19歳では38.2%がその状況で「知人」とみなすと回答している。
最後に、「自分の本名を公開しないことによる感覚」についてみると、約7割が「言いたいことをいいやすいと思う」と回答し、約5割が「『こうなりたい自分』になることができると思う」と回答した(図表11)。また、男性では「相手にきびしくなりやすいと思う」「相手に対して攻撃的になりやすいと思う」が、女性では「相手にやさしくしやすいと思う」「相手の気持ちになりやすい・共感しやすいと思う」が、それぞれ相対的に多かったことから、ネット上で匿名でいることによる感情表出の性差が感じられた。さらに性差が大きかったのは、「自分の名前を公表していない状況では、ふだん出せない自分を出すことができる」(男性<女性)と「お互いに実名を公表せずにネット上だけで交流している相手と、実際に会って交流したいと思うことがある」(男性>女性)で、それぞれ10ポイント程度の差が確認された。
現代のコミュニケーションは、性別や年代差だけではなく、使っているメディアやサービスによって、自己表出や他者への感覚が異なってきていると考えられる。自分が相手を知人とみなしていても、果たして相手が自分を知人と考えているかは不明である。サービスの多様化に伴い、ネット上での対人感覚も多様化しているのだろう。「ネットとリアル」という区別が消滅しつつある中、ブログやSNSの利用者に限ったデータでもこれだけの差異が確認されるということは、非利用者を含めて考えるとそのギャップは計り知れない。
(株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 副主任研究員 宮木由貴子)
調査概要(クローズド調査)
○調査対象・・・15歳〜44歳の男女で、「ブログ・ツイッター・ミクシィ・フェイスブックのいずれかを使っている」と回答した携帯電話ユーザー
○調査地域・・・全国
○調査期間・・・2011年9月20日〜9月27日
○回答サンプル数・・・1,020名(回答者キャリア内訳:NTTドコモ55.0%、au36.3%、ソフトバンク8.7%)
性別:男性34.6%、女性65.4%
年代:15〜19歳16.7%、20〜24歳16.7%、25〜29歳16.7%、30〜34歳16.7%、35〜39歳16.7%、40〜44歳16.7%)
<本件についてのお問い合わせ>
株式会社第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 副主任研究員 宮木(ミヤキ)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi
Tel:03-5221-4767 Fax:03-3212-4470
ネットエイジア株式会社 マーケティング事業本部 山名(ヤマナ)
http://www.mobile-research.jp/
Tel: 03-3552-8041 Fax: 03-3552-8042 mobile-press@netasia.co.jp
■ ネットエイジア株式会社について
【社名】 ネットエイジア株式会社
【所在地】 東京都中央区新川一丁目27番8号 新川大原ビル7階
【代表者】 代表取締役 三清 慎一郎
【設立年月】 2005年2月
【資本金】 3億1552万円
【事業内容】 モバイルリサーチ事業
【URL】 http://www.netasia.co.jp/
■ 株式会社 第一生命経済研究所について
【社名】 株式会社 第一生命経済研究所
【所在地】 東京都千代田区有楽町1丁目13番1号
【代表者】 代表取締役 長谷川 公敏
【事業内容】
○国内外の経済・金融・文化に関する調査・研究
○保険・年金に関する市場動向、および生活保障(社会保障・企業内福祉)、家計動向、人口問題(少子化・高齢化)等に関する調査・研究
○ライフデザイン(健康・教育・家族・心など)に関するさまざまな調査・研究
【URL】 http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/d_top.cgi
企業情報
企業名 | ネットエイジア株式会社 |
---|---|
代表者名 | 三清慎一郎 |
業種 | ネットサービス |
コラム
ネットエイジア株式会社の
関連プレスリリース
-
連合調べ 「日常生活や職場の中で、温室効果ガスを削減する取り組みを行いたい」69.7%
2024年9月5日 17時
-
スカパーJSAT調べ 9月1日は“防災の日” 認知率は60%
2024年8月6日 14時
-
連合調べ 「フリーランスとして仕事上でトラブルの経験がある」46.6%、クリエイティブ関連では69.0%
2024年8月5日 12時
-
連合調べ 36協定の認知率は49.2%、「働き方改革」前より下降傾向
2024年7月19日 12時
ネットエイジア株式会社の
関連プレスリリースをもっと見る