SABIC、プリント基板、接着剤やコーティング用途におけるコスト低減と熱硬化性樹脂の性能向上を実現する新しい「Noryl SAグレード」を発表

[東京] - 2012年8月21日 - お客様製品の差別化および市場優位性の確立に注力するSABICのイノベーティブプラスチックス事業は、エポキシおよびエポキシ以外の熱硬化性樹脂の添加材として使用可能な新しく画期的な「Noryl SA90」および「SA9000」グレードを発表した。この最新材料は、サステナビリティ強化に対する要求や厳しいコスト管理など、プリント基板（PCBs）用途で厳しさを増す各種の要件や規制に応える製品である。Noryl SA90とSA9000グレードは、プリプレグや銅張積層板、電気電子用接着剤、コンポジットおよびコーティングといった各種用途にも適しており、高価な材料に切り替えることなく既存の熱硬化製品の性能と環境性能を大幅に改善することができる。これらの革新的なNoryl SAグレードは、独創的で高純度な添加剤および中間体におけるSABICの広範で顧客中心の製品群に新たに追加されることになる。

イノベーティブプラスチックス事業の特殊添加剤&中間体ビジネスリーダーであるリチャード・ポンティーロは「加速を続けるエレクトロニクス業界の進歩は、高速データ通信への要求によってこれまで以上に動作周波数が高まっていると共に、鉛フリーはんだ工程への対応に伴い高い耐熱性が求められています。こうした急速な発展は、結果として、高コストな材料に切り替えることなく熱硬化性材料の性能向上を目指す製造メーカーにとって、深刻な課題となっています。SABICの新しいNoryl SAグレードは、これらの課題に対してほぼ完璧なソリューションを提供することができ、これは、この樹脂が数社のお客様の既存技術やサプライチェーンに適合できており、また性能とサステナビリティの両面で大幅な改善を実現できるという評価に基づいています。SABICは当社Noryl樹脂技術を絶えず向上させることにより、市場および規制によって高まる要求に応えるシンプルかつ強力な戦略を提供いたします。」とコメントする。

熱硬化性材料を1つのシンプルなステップでレベルアップ

SABICの世界クラスの専門的な科学者たちは、既に良く知られている高分子量Noryl（PPOポリフェニレンエーテル）樹脂の化学特性を、低分子量な多機能オリゴマーに作り変えた。これは誘電率と損失係数が低く、靭性が向上しており、高い熱信頼性を発揮するといった特性をバランス良く兼ね備えている。またこれらの材料は、競合製品と比較して、湿度安定性に優れ、より安定した誘電性を実現すると共に非ハロゲン難燃材（FR）の充填量を減らすことができる。

Noryl SA90は、エポキシ樹脂およびシアネートエステル系熱硬化性樹脂の添加剤として使用され、低い誘電率と損失係数を提供することで、エポキシ樹脂系PCBsで優れた高周波数性能（1-10GHz）を発揮し、より高い動作周波数と非ハロゲン系難燃システムへの要求に応えることができる。またNoryl SA90は常温でメチルエチルケトン（MEK）に溶解（重量の50%まで）できるため、プリント積層板用途において取扱が難しかった従来のポリフェニレンエーテル（PPE）樹脂に必要とされていた過激な溶媒を使用する必要がない。同様にNoryl SA9000は、非エポキシ系の熱硬化性樹脂に用いることで、低誘電率と低損失、優れた高周波数性能（20GHzまで）を提供する。このため製造メーカーは、フリーラジカルキュア（ビニルまたはトリアリルイソシアヌレート・TAIC）のPCBsに非ハロゲン難燃性を付与することができる。

どちらのNorylグレードも、適切な処方によって低吸湿性を発揮し、より安定した誘電率と高いガラス転移（Tg）温度を実現する。例えば、Noryl SA90を40%混合したビスフェノールA型（BPA）エポキシ樹脂のTgは165°Cであり、他のエポキシでは190°Cとなる。また、Noryl SA9000を30%混合したTAICのTgは250°Cとなり、これは、はんだフロート性能に有効で長期安定性および熱サイクル挙動を向上させることができる。これらの材料は、熱硬化性樹脂によるプリント基板積層プロセスへの適合性およびPPE樹脂が提供する優れた特性バランスによって、お客様に新たな市場ニーズを提供できる。

Noryl SA90およびSA9000グレードは、PPE樹脂の特性を強化した新材料の代表であるが、多くの熱硬化性材料に混合する形式を取っている。これらの利点は、接着剤、コーティング、コンポジットといった他の市場でも価値を持つ可能性がある。

Noryl SA90およびSA9000樹脂は世界中で入手可能である。

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