オークリッジ国立研究所の研究者，簡単で迅速に固体や液体サンプルの質量を分析する装置を開発

バテル記念研究所がテネシー大学と共同で米国エネルギー省より運営管理を委託されているオークリッジ国立研究所（以下ORNL）は、固体や液体サンプルの特定と特徴を簡単かつ迅速に識別することが出来る新しいシステムの開発に成功し，その研究成果が科学雑誌Rapid Communications in Mass SpectrometryのVolume 29, Issue 19号に掲載されました。本システムは材料科学、犯罪捜査科学、薬学、生物学、化学など様々な分野での有効利用が期待されます。

本システムの最大の特徴は，測定サンプルを測定プローブの先端にあるドーム状の溶媒液に接触させることにより，接続されている質量分析計により簡単に化合物が特定されそのおおよその濃度も簡単に測定されるという点です。

「サンプル調査の経験が少ない人でも、装置を汚染さることなく、固体や液体サンプルの質量分析調査をおこなえるシンプルな操作性を実現できました。このシステムのアプローチ方法が魅力的、かつ広範囲な用途で利用できる理由は、固体や液体サンプルの物質やその特徴を特定するために測定対象の事前準備を必要としないこと、そして、装置そのものに自己洗浄機能が備わっていることです」とORNL化学部門に所属する開発者のヴァン・バーケルは述べています。

本システムは現在実用新案特許を出願中であり，今後大学，官公庁，臨床検査室などで幅広く使用されている既存の質量分析システムのラインアップに，費用対効果の高い装置として追加されることが期待されます。

本研究成果は科学雑誌Rapid Communications in Mass SpectrometryのVolume 29, Issue 19号にタイトル名「An Open Port Sampling Interface for Liquid Introduction Atmospheric Pressure Ionization Mass Spectrometry」で掲載されており，詳細は下記のサイトから入手可能です。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/rcm.7274/abstract

本研究開発は米国エネルギー省科学局の資金のもと行われ，また，皮膚サンプリングのための研究開発はAB Sciex（http://sciex.com）の支援のもと行われました。AB Sciexは研究開発協力協定を通じ，生体科学分析プラットホームの供給元であり，ORNLのライセンス実施権者でもあります。そして，PET樹脂，カラーチップ，そして関連する化学スタンダードはテネシー州クリントン市のTechmetPM社から提供されました。

【オークリッジ国立研究所について】

オークリッジ国立研究所はバテル記念研究所とテネシー大学が共同で米国エネルギー省科学局から委託を受け，運営管理されています。本研究所は米国における自然科学分野の基礎研究を支え、多くの緊急課題の解決に取り組んでおります。

URL：　https://www.ornl.gov/

【バテル記念研究所について】

バテル記念研究所は米オハイオ州で設立された世界最大規模の非営利研究機関です。設立以来、アメリカのエネルギー政策、環境政策、ホームランドセキュリティーなど、さまざまな分野で研究開発を行い、ゼロックスコピー機の事業化、コンパクトディスクやバーコード開発などの成果を上げてきました。

所在地　： 505 King Avenue, Columbus, OH　43201（米国）

設立　　： 1929年

代表者　： 代表取締役兼CEO　Jeffrey Wadsworth

URL　　： http://battelle.org

事業内容： 研究所の運営管理、エネルギー・環境・医療・ナショナルセエキュリティ分野などの受託研究開発

【バテルジャパン株式会社について】

バテルジャパン株式会社は、1970年より共同で新技術の研究開発や技術開発支援などを3,000件以上行ってきたバテル記念研究所と三菱商事株式会社との合弁会社として2006年に設立されました。「最先端の科学技術から、明日のビジネスイノベーションへ」をスローガンに、バテル記念研究所の研究者たちとの連携を通して日本およびアジアの企業に科学技術とビジネス戦略の融合、世界をつなぐマーケット・デベロップメント、シーズ育成支援サービスを提供しています。

所在地：東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル17F

代表者：代表取締役　ジェラルド・ハネ

設立　：2006年2月

資本金：１億円

URL　：http://www.battelle-japan.co.jp

事業内容： 受託研究開発、技術開発に基づいた事業化・技術戦略提案、海外動向調査