ICD11ゲーム障害登載を受てゲーム障害専門外来が開設:SBIRT/DAST-20応用によるスクリーニングが始まるreSTARTプログラムへの転地療法留学支援も
ICD-11において「ゲーム障害」が新たに登載されたことを受けてゲーム障害専門外来が設置された。オレゴンSBIRTアプローチを採用し、SBIRTのアセスメントツールに加えてDAST-20をゲーム障害用に改訂した検査を用いてスクリーニングと症状重症度のアセスメントを行う。また、アルコール依存・薬物依存・ギャンブル依存についてはすでにその脆弱性遺伝子が強く証拠付けられているものが知られていることから、これらの周辺依存症の脆弱性遺伝子探索も併用した、総合的な診断と症状程度評価及び予後傾向予測を行っていく運びだ。また、ゲームへの傾倒を必ずしも病理化して考えるのではなく、海外のゲーム障害専門センター(カリフォルニア州等)への留学・転地療法を通じて、客観的にICTについての能力と才能を示す当事者については、転地療法先でそのまま高等教育機関に復学・進学するための道筋づけも行っていく予定だ。
厚生労働省は、平成26年度から28年度までの3年間のモデル事業として、依存症治療拠点事業を行ってきた(社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 )。これは、依存症の治療を行っている一定数の精神科医療機関を「依存症治療拠点機関」に指定し、それぞれの施設で集積した知見を検討することにより、依存症の治療・回復プログラムや支援ガイドラインの開発や支援体制モデルの確立に寄与することを目的としたもので、全国5つの有床精神科病院を依存症拠点病院に指定し、一定の成果を挙げてきた。しかし、事業対象となる当時の依存症は、アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症に限られており、ゲーム障害はその事業に含まれていなかった。
一方で、アメリカでは、CDC疾病対策予防センターが独自の専任研究として、「ゲーム障害」という用語使いではないものの、「ビデオゲームの青少年のメンタルヘルスへの影響」の研究として、概ね「ゲーム障害」と同一の障害概念について、先行研究を行ってきた。DSM-5においても、セクション3においてCFSの区分でインターネットゲーム障害(Internet Gaming Disorder deals with the compulsive preoccupation some people develop in playing online games, often to the exclusion of other needs and interests.)として言及され、登載されている。さらに、アメリカではICD-11におけるゲーム障害の定義と障害登載を待つことなく、ゲーム障害reSTARTプログラム(ワシントン州)、AACアメリカ依存症センター(テネシー州)、SBIRTオレゴンプログラム(オレゴン州)、ビデオゲーム依存症回復プログラム(カリフォルニア州)など、複数の地理的治療拠点と担任医療機関を整備してきていた。いずれも精神科病棟/精神病院における更正プログラムではなく、ワシントン州では林間地区の自然教室的施設において、カリフォルニア州ではマリブ等の高級リゾート地域において、自然体験から休暇体験をベースとした物理的ゲーム断絶と体験型アクティビティをそのプログラムの中心にすえていることが特徴だ。体験型アクティビティには、社会性を回復するための各種のスキルトレーニングも採用されている。ゲーム障害に陥った思春期・青年期の当事者には、高校や大学をドロップアウトしてしまった当事者も多いが、このような体験型アクティビティとスキルトレーニングを通じて、元の高校や大学よりもランクアップして復学・進学する例も多くある。さらに、カナダのアルバータ州立リースブリッジ大学を始めとした複数の研究機関で、既存のアルコール依存や薬物依存の治療で使われている薬剤をギャンブル等のゲーム性に関わる障害に応用する先行研究が進んでおり、このような依存症治療の標準的薬剤も併存的に採用している。
このような現状を踏まえ、医療機関の発達障害専門外来(九州ベテルクリニック福岡)に併設される形で、ゲーム障害専門外来が設置された。発達障害専門外来では、既存の発達障害確定診断の症例において、ICD-11(6C51 )ゲーム障害/DSM-5インターネットゲーム障害のcharacteristics/criteriaを満たす例が少なからず観察されることが知られている。特に、ASD/ADHD標準治療としてのAPZ/ATX/MPHの適正処方例においてすら、その2次障害や中核症状は多少改善しても、今度はゲームに極度にのめりこみ、ゲーム障害の状態に陥る例があることが知られている(APZについては「衝動制御障害」の注意喚起が実際になされている)。このような場合、発達障害特有のこだわりや過集中として捉えられることがほとんどであり、発達障害の標準薬の断薬か変更しか選択肢がなかったのが現状だ。 ゲーム障害専門外来では、発達障害に伴うゲーム依存の症例を多く診療してきた臨床的知見の蓄積に基づき、これを新たにゲーム障害と定義し直して介入と治療の方法を見直す。具体的にはオレゴンSBIRTアプローチを採用し、SBIRTのアセスメントツールに加えてDAST-20をゲーム障害用に改訂した検査を用いてスクリーニングと症状重症度のアセスメントを行う。また、アルコール依存・薬物依存・ギャンブル依存についてはすでにその脆弱性遺伝子が強く証拠付けられているものが知られていることから、これらの周辺依存症の脆弱性遺伝子探索も併用した、総合的な診断と症状程度評価及び予後傾向予測を行っていく運びだ。
加療については、カナダのアルバータ州立リースブリッジ大学の先行研究に基づく依存症標準薬による薬物治療の実施と、ワシントンreSTARTプログラムやカリフォルニア州のゲーム障害依存症プログラムへの留学などの海外での転地療法をサポートする。また、ゲームへの傾倒を必ずしも病理化して考えるのではなく、現地の高等教育コーディネーターの第三者評価と試験機関の試験を受けて、客観的にICTについての能力と才能を示す当事者については、治療の対象となる症状についての加療・サポートに加え、転地療法先でそのまま高等教育機関に復学・進学し、ICTやゲーム製作・開発の専門職として活躍するための道筋づけも行っていく予定だ。さらに、九州の福岡及び近隣には依存症治療拠点事業で依存症拠点病院/依存症専門病院に指定された有床医療機関も複数あるため、複数の依存症合併や触法傾向が強い重症例については、これらの医療機関との連携がとりやすく、立地と環境にも恵まれている。
2018年6月の時点で、すでに受診枠は既存の発達障害を基礎疾患に持つゲーム障害の例でいっぱいであるが、同年9月過ぎからは毎月4症例の新規受診依頼を受付けていく方向で準備が進められている。2018年度で12件の新規受付と症例蓄積を目指す見通しだ。ゲーム障害には適応となる薬剤は現時点では存在しない建前であり、本邦ではゲーム障害の概念そのものを否定する向きも未だ一定程度ある状況で介入や治療のあり方も確立していないなか、子息子女の学業・専門的能力のパフォーマンスの回復を積極的に試策志向する層にとっては、有力な選択肢の決定打となることが期待されている。
九州ベテルクリニック福岡ゲーム障害専門外来
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企業情報
企業名 | 医療社団九州ベテルクリニック福岡 |
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代表者名 | 福岡 九州男 |
業種 | 医療・健康 |