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デジタルデータで建築の記憶を後世へ。 解体が始まった黒川紀章氏設計の名建築『中銀カプセルタワービル』を3次元で保存する3Dデジタルアーカイブプロジェクトが始動!

建築家・黒川紀章氏が設計したメタボリズム建築の代表作『中銀カプセルタワービル』(東京・銀座)。 解体着工を前に、名建築の価値を後世に残すため、gluon(グルーオン)を中心に3Dデジタルアーカイブプロジェクトのメンバーで3次元計測を行った。3次元レーザースキャン、フォトグラメトリ、ドローンなどの測量技術を組み合わせデジタルデータとして記録。 測定した3次元点群データや撮影した20,000枚以上の写真をもとに3次元データ化。デジタルアーカイブとして建物の形状を記録し、後世へ残します。

◆概要

建築や都市のデジタル化を推進してきたgluon(グルーオン)が中心となって、名建築を3次元データで保存する取り組み「3Dデジタルアーカイブプロジェクト」が始動。

gluonは、これまでにも建築の3Dデジタルアーカイブや、3Dデータを活用した施策づくりを行っており、本プロジェクトでは、これまで空間のデジタル記述で培ってきた3次元計測技術を活用し、デジタルアーカイブとして新たな保存手法の構築と名建築の価値を継承していくことを目指します。

中銀カプセルタワーの記録には、ミリ単位で正確な距離を計測できるレーザースキャンのデータと、一眼レフカメラやドローンによって撮影した2万枚以上の写真データを組み合わせて、建物全体をスキャンすることで、実空間の情報をまるごと3次元データ化します。

取得したデータから3Dモデルの生成も始まっており、写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や構造をデータ化。建築家・黒川紀章氏が設計したメタボリズムの代表作とされる名建築の価値を後世へ継承していくことを目指します。

 

◆空間のデジタル記述で培ってきた技術を活用し、3種の計測を実施

(1) 3次元レーザースキャン

3次元レーザースキャナーを用いて、高精度の位置測定を行い、建物の形状を立体的にスキャン。取得したデータは、座標情報を持った点の集まりによる「点群データ」と呼ばれ、点が集まって空間を立体的に形容するデータとなります。「点群データ」は、画像も同時に記録することで各点に色情報を与えています。 3次元点群データを用いることで、建物の姿をありのままに3次元情報として再現することができます。

 

(2)フォトグラメトリ

フォトグラメトリとは、カメラを用いて、建物をさまざまなアングルから撮影し、専用のソフトで画像を解析、統合して立体的な3Dモデルを作成する手法。少しずつ角度や位置を変えながら隣り合う写真と写真がオーバーラップするように撮影を行い、建物の経年変化や素材など、質感のある記録を行いました。

 

(3)ドローンによる空撮

建物の形を記録するため、ドローンによって上空から写真測量を実施。建物の周囲を、撮影範囲が重なるように写真を撮影し、つなぎ合わせることで、3次元データを生成します。高度な飛行スキルでドローンを操縦しながら、一定の密度で外観を満遍なく記録しました。

 

◆クラウドファンディングもスタート

3次元計測の費用やデータの制作費を集めるためクラウドファンディングを8月9日まで実施。リターンとして、活動内容を紹介するオンライントークセッションへの参加券、中銀カプセルのNFT、高密度・超解像度の3次元点群データの提供などが用意されています。

その他にも支援者には、限定コンテンツとして「中銀カプセルタワーAR」などが先行公開される予定です。

また、クラウドファンディングが成立した際には、3次元点群データをオープンソースとしてウェブサイトで無償で公開し、学術研究や新たな創作活動へ繋がる機会を創出します。

【クラウドファンディングページ】https://motion-gallery.net/projects/3dda-nakagin

 

 

撮影した写真の総数は20,000枚以上。データの解析が早速始まっています。

現在、データの解析・点群データの生成が進行しており、2022年11月に3 次元点群データの公開を予定しています。

また、本プロジェクトでは計測・保存する活動だけでなく、トークセッションやデータの公開を通して、デジタルアーカイブの役割や3 次元データの活用方法などをより深く学ぶ機会や新たな創作のきっかけとなる場を創出します。

2022年10月7日 (金)19:00-20:30に、プロジェクトメンバーによって活動内容を紹介するトークセッションを開催します。

 

中銀カプセルタワービルについて

東京・銀座の中銀カプセルタワービルは、日本を代表する建築家の黒川紀章氏の設計で1972年に完成。1960年代に日本の建築家・都市計画家のグループによって展開された建築運動「メタボリズム」の思想を体現する建物として世界的に知られています。

しかし、竣工から50年経った建物は、老朽化が進んでおり、2022年4月12日から解体着工が予定されています。

 

3D Digital Archive プロジェクトメンバー

主宰:
gluon


企画・監修:
豊田 啓介(東京大学生産技術研究所特任教授 / gluon / noiz)
金田 充弘(東京藝術大学美術学部建築科教授 / gluon / Arup) 

 

企画・ディレクション:
瀬賀 未久(gluon)

 

3次元レーザースキャン:
船越 亮(クモノスコーポレーション)
西鼻 恵之(クモノスコーポレーション)
中井 麻友(クモノスコーポレーション)
堀越 脩仁(クモノスコーポレーション)

 

フォトグラメトリー:
藤原 龍(ホロラボ)
長坂 匡幸(ホロラボ / フリーランス)
松川 元希(ホロラボ)

 

ドローン測量:
大隣 昭作(福岡大学工学部社会デザイン工学科)

 

3次元計測:
秋田 亮平(gluon / 東京藝術大学美術学部建築科非常勤講師)
機材協力:
株式会社構造計画研究所

 

3Dスキャンデータ一部提供:中銀カプセルタワービルA606プロジェクト(藤田康仁[東京工業大学環境・社会理工学院、日本建築学会関東支部建築歴史・意匠専門研究委員会有志])
協力:中銀カプセルタワービルA606プロジェクト



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企業情報

企業名 gluon
代表者名 牛尾 靖成
業種 建築

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