2022年第2四半期の電気自動車(EV)中国市場における販売量を発表〜景気低調した四半期だったが、EV販売量はほぼ倍増という結果に〜
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、中国における2022年第2四半期の電気自動車(EV)市場における販売量(※1)がほぼ倍増したという最新のGlobal Electric Passenger Vehicle Model Sales Trackerを発表致しました。
中国のEV市場構成は、純粋なバッテリー駆動の電気自動車(BEV)がEV販売全体のほぼ78%を占め、残りがプラグイン・ハイブリッド(PHEV)であり、市場シェアはBYD(比亜迪汽車)が引き続き市場のリーダーを維持しており、Wuling(GM・上海汽車・五菱集団の合弁企業である上汽通用五菱汽車)とTeslaがトップを追っています。また、Xpeng Motor(小鵬汽車)、Neta(Hozon Auto哪吒汽車)、Leapmotor(零跑)、Li Auto(理想汽車)、NIO(上海蔚来汽車)、AITO(Seres金康賽力斯のブランド)などの新興勢力も参戦し、トップメーカーにとっても競争は激しくなっています。
中国のEV市場の動向に関して、カウンターポイント社シニアアナリストSoumen Mandal氏は、次の通り述べています。
「中国のEV市場は成熟しているものの、さらなる成長への大きなポテンシャルが今尚存在する。2022年3月から続くCOVID-19の新しい波や、ロシア・ウクライナ戦争に端を発したサプライチェーンの危機は中国自動車産業に打撃を与えた。これら外的要因が無かった場合、中国のEV市場はより急激な成長を遂げていたはずであろう。ほとんどの中国の自動車メーカーが3月に大幅値上げをした直後に、上海周辺で4月から5月にCOVID-19を起因とした厳格なロックダウンが施行され、中国国内の自動車産業の成長が抑えられてしまった。2022年下半期は、そのロックダウン期間より良くなる見通しではあるものの、経済減速やサプライチェーンの課題、地政学的緊張の高まりが特にEVにおいて市場の成長の足かせになる可能性がある。」
【市場サマリー】
BYD Auto: 2021年中頃から継続して中国市場のリーダーであるBYDは、2022年第2四半期に353,000台を超えるEVを販売。同社のBEVセグメントは前年同期比229%成長し、PHEVは前年同期比312%成長。純粋な内燃機関の車両の製造販売を2022年3月を以って中止するという同社の決断によって、電気自動車への経営の集中が可能となり、今や世界のEVのリーダーとなっている。
Wuling: SAIC(上海汽車)、GM、Wuling(五菱集団)の合弁企業である同社は、中国国内で極めて好調である。WulingのHongguang Mini EV(宏光 Mini)は、2020年末以降、同社を代表的する車種となっており、過去18ヵ月以上に渡って中国におけるベストセラーEV車種でもある。WulingのEV販売は2022年第2四半期に前年同期比で16%成長した。
Tesla: コロナ禍でのロックダウンが2022年第2四半期のTeslaの業績に大きく響いた。予定していた生産増強は4月、5月とほぼ中断されてしまい、中国での販売は前年同期比49%もの減少し、2020年以来の同社における最低の販売金額となった。2022年6月にフル生産ができるようになり、ようやく状況は改善し、2022年第2四半期の売上は前年同期比10%増で四半期を終えることができた。
図1: 中国のEV市場におけるトップEVメーカー5社・2022年第2四半期
出典: カウンターポイント社Global Passenger Electric Vehicle Model Series Tracker, Q2 2022
EV普及への環境整備状況に関して、カウンターポイント社アソシエイトディレクターBrady Wang氏は次の通り述べています。
「消費者への直接の補助金は、中国全体でEV普及に大きな役割を果たしている。この消費者への補助金を、政府が段階的に無くそうとしている現在、同国の二重クレジット制度(燃費基準を満たさない自動車に対するペナルティである負のクレジットを、電気自動車など新エネルギー車の販売によって得られる新エネルギークレジットで相殺できる制度。クレジットの収支がプラスにならないと燃費基準未達の車を販売できないため、他社からクレジットを購入してでも収支をプラスにする必要がある。従来型の内燃機関の車メーカーにとってはEV比率を高める大きな動機になっている)が、大きな役割を果たしそうである。さらに、中国メーカーが成長し欧州や東南アジアなどに海外進出もするようになったことを受けて、国内の自動車産業を海外勢から保護するための様々な法律が廃止されつつある。また、中国の電子部品産業、特にバッテリーのサプライチェーンは競争力が高く、世界での存在感を維持するとみられる。EV販売や強力なバッテリーのサプライチェーンとは別に、充電ネットワークでも中国は優れており、国内企業はバッテリーのリサイクル工場を整備中である。このように、中国はあらゆる面でEVエコシステムの先頭を走っており、EV市場を数字の面でもリードする存在になっている。」
EVのトップ10車種が、中国における第2四半期のEV全体の売上の44%を占めており、WulingのHongguang Mini EVは、疑う余地のない今四半期のベストセラー車種で、BYDのSongとTeslaのModel Yがこれに続いています。しかし、2022年6月に限れば、Model YがHongguang Mini EVを抜いてトップ車種となるなど、中国のEV市場は国内メーカーとTeslaが支配している状況です。トップ10のうち、6車種はBYD製であり、その中でもBYD Yuan PlusとBYD Dolphinは、2021年第2四半期以降に発売された車種です。
図2: 中国におけるトップEV車種販売シェア・2022年第2四半期
出典: カウンターポイント社 Global Passenger Electric Vehicle Model Sales Tracker, Q2 2022
中国のEV市場の今後の見通しに関して、カウンターポイント社調査担当バイスプレジデントNeil Shah氏は次の通り述べています。
「中国でのEV販売は、2021年の乗用車販売全体の15%を占めている。カウンターポイント社のGlobal Passenger Car Forecastによると、EV販売は今年の年末に600万台を超える見通しである。半導体不足、COVID-19の流行、エネルギー問題、地政学的な緊張、インフレといった問題は、今後も市場に負の影響を与えるだろう。それでも、2022年末には、新車の4台に1台は電動パワートレインとなるだろう。」
(※1)ここでの販売金額は、メーカーからの卸値に基づく。電気自動車(EV)として、バッテリー駆動電気自動車(BEV)、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHEV)を対象とした。ハイブリッド自動車や燃料電池車(FCV)はこの調査には含まれない。
本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://report.counterpointresearch.com/posts/report_view/AutomotiveFutures/3242
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。 (調査時期:2022年4月1日~2022年6月30日)
【カウンターポイント社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/
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企業情報
企業名 | Counterpoint Research HK Limited |
---|---|
代表者名 | Tom Kang |
業種 | その他サービス |
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