セックスレス問題を話し合ったレス夫婦は3割以下、誰かに相談も約2割で多くの当事者がひとりで抱える現状が明らかに|「夫婦のセックスレスに関する実態調査」の第8報
日本人夫婦の5~6割以上がセックスレスとされ、大きな社会問題となっています。弊社調査では20~50代既婚男女の68.2%がレス傾向、43.9%が完全レスと判明しました(対象4,000人)。今回の第8報では、レス当事者の既婚男女623人に「夫婦でレス問題を話し合ったか」「話し合わない理由」「夫婦のレスを誰かに相談したことはあるか」などをアンケートしました。その結果、男性66.6%、女性75.9%が「話し合ったことはない」と回答、話し合わない理由の最多は「妻・夫ともうセックスしなくてよいから」(男性40.7%、女性50.6%)となりました。また、男性74.1%、女性82.2%が「他人に相談したことがない」と回答しました。しかし、「もう誰ともセックスしなくてもよい」との回答は男性9.5%、女性23.5%にとどまります。日本人夫婦のセックスレス問題の複雑な実態が判明しました。
既婚者限定のコミュニティサービス「ヒールメイト(Healmate)」を運営するレゾンデートル株式会社(東京都新宿区)が行った夫婦間のセックスレス調査は、既婚者男女4,000人を対象とした大規模なもので、これまで様々な報道機関に引用されています。
<過去の報告>
・第1報:20代~50代既婚者の68.2%がレス傾向(うち43.9%が完全なレス状態)
・第2報:結婚3年未満の新婚夫婦でさえ5割以上がセックスレス傾向
・第3報:レス当事者の6割以上が1年以上レス、約4割が5年以上レス
・第4報:「妊娠・出産」がレスの最大のきっかけ(25%)、最大の原因は女性の性欲減退
・第5報:男性(夫)はレスを解消したいが、女性(妻)はそう思っていない
・第6報:レス夫婦の5割以上は仲が良い(男性56%、女性53%が「仲が良い」と回答)
・第7報:セックスレスじゃない夫婦は「仲良し度」「SEX満足度」がともに高い
※過去の結果は「既婚者の男女関係に関する調査」(https://healmate.jp/survey/)に掲載中。
今回の第8報では、レス当事者に「夫婦間で話し合ったか」「話し合えない理由」「誰かに相談したか」などを尋ねた結果をまとめました。当事者が1人でレスの悩みを抱える実態が浮き彫りになっています。
<調査概要>
・調査タイトル:夫婦のセックスレスに関する実態調査 第8報
・調査期間:2024年1月30日~2月3日
・調査対象者:20~59歳の夫婦間レス当事者の男女623人(男性320人、女性303人)
※第1報の回答者4,000人のうち「レス」と回答した人の中から無作為に623人を抽出。
・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)
・エリア:全国
・調査機関:レゾンデートル株式会社(https://raisondetre-inc.co.jp/)
・調査報告の掲載:https://healmate.jp/survey/
・本報告の発表日:2024年5月30日
<調査対象者について>
次の通り男女、年齢層ともにほぼ均等なサンプルになっています。
総数 | 男性(320人) | 女性(303人) |
20代 | 80人(25.0%) | 63人(20.8%) |
30代 | 80人(25.0%) | 80人(26.4%) |
40代 | 80人(25.0%) | 80人(26.4%) |
50代 | 80人(25.0%) | 80人(26.4%) |
回答者は鳥取県・佐賀県を除く全都道府県に分布しており地域的な偏りはありません。東京都(101人)、愛知県(53人)、大阪府(50人)、神奈川県(44人)、千葉県(44人)、埼玉県(40人)、福岡県(34人)、北海道(26人)、兵庫県(25人)など、概ね人口分布にも沿っています。
子どもの有無は、子ども有が446人(71.6%)、子ども無が177人(28.4%)でした。
1 )夫婦で「レス問題」を話し合ったことある?
本調査におけるセックスレスの定義は「本人がセックスレスととらえている」という主観的なものです(第1報参照)。日本性科学会の定義(1994年)「(挿入と伴わない性的コンタクトも含む)性的接触が1か月以上ないカップル」では、実態と乖離が生じやすいと考え、本人の認識を重視しました。
では、セックスレスの既婚者は妻や夫と「レス」について話し合ったことはあるのでしょうか。
結果は、男性の66.6%、女性の75.9%がこれまで「話し合ったことがない」というものでした。「話し合ったことがある」と回答したのは男性33.4%、女性24.1%のみで、レス当事者の大半が夫婦間でレスの問題に向き合えていないことが分かります。
気にしながらも話題にしないまま時が過ぎ、レスが固定化されたという形でしょうか。話し合わなかった理由についても尋ねていますので、後ほど紹介します。
ある程度、年齢が高くなれば話し合わないのも分かりますが、20代・30代はどうなのでしょうか。年代別に回答状況を見てみると、興味深い結果が出ています。
20代の場合、話し合った夫婦の割合は高いですが、男性が55.0%と女性より15ポイントも高くなっています。男性の方がレスを問題視している実態がありそうです。出産後にレスとなり、男性側がセックスを再開したいと考えているケースも想像できます。
これに対して30代では、女性の方が38.8%と7ポイントも高く、男性より話し合いに積極的な様子がうかがえて興味深いです。
子どもが少し成長し、女性側はセックスを再開できる態勢が整ったにもかかわらず、20代の頃はレスを問題視していた男性側が「妻とセックスする気が乏しくなった」「働き盛り世代で仕事に疲れ、帰宅後にセックスをする気力なくなっている」などの状況が生まれているのかもしれません。
そして、さらに興味深いのは40代。男性は妻とのセックス再開に前向きになりますが、女性は一気にトーンダウンし、対応する気がなくなっています。後述しますが「夫とはしたくない」女性が増加するのです。
50代は男女とも低くなっていますが、加齢による性欲の減退のほか、「性について話し合いにくい」という世代の特徴を反映しているかもしれません。
2 )今後「レス問題」を夫婦で話し合うつもりはある?
話し合った経験のある当事者は少ないと分かりましたが、今後、話し合うつもりはあるのでしょうか。
「ない」「あまりない」を合計すると、男性は69.0%、女性は81.6%にも上ります。大半のレス当事者が「話し合う気はない」と考えているようです。特に女性の場合は5割以上がはっきり「ない」と答えており、強い意志を感じます。
「ない」「あまりない」と答えた人には、これまで一度も話し合ったことがなく今後も話し合う気がない人、過去に話し合ったことはあるが今後は話し合うことがない人の両方が含まれ、前者が多いです。
これまでも話し合ったことがない人は、話題にしにくい雰囲気があるのかもしれません。一方、過去に話し合った経験のある人は、「話し合っても改善しない」「心理的に疲れた」と考えているかもしれません。性的関係を拒まれるのは辛い経験ですから、避けたい気持ちや諦めの気持ちがあるでしょう。
続けて、年代別にみると、40代で大きな変化が生じます。
20代・30代の当事者の回答からは、男女ともに「本当は話し合った方がよいかもしれない」という躊躇が感じられます。「あまりない」「少しある」の割合が大きいからです。
しかし40代になると、男性にはあまり大きな変化はみられませんが、女性は一気に「ない」が増えて6割を超えます。30代から倍に近い増え方で、「夫とはしたくない」という強い意志を感じるのですが、いかがでしょうか。
3 )レスを話し合わないのはなぜ?
夫婦でレスの問題を話し合ったことがない、今後も話し合うつもりはないという当事者が多いことが分かりましたが、話し合わない理由は何でしょうか。尋ねてみました。
調査前は「話題にしにくいから」が最多の回答になると想定していましたが、意外なことに多くのレス当事者は「妻・夫とはもうセックスしなくてよい」と考えていることが分かりました。レス男性の4割以上、レス女性の5割以上ですから、かなりの割合です。これは、かなりインパクトの大きな数字ではないでしょうか。
さらに衝撃なのは「配偶者ともうセックスしなくてもよい」と「もう誰ともセックスしなくてもよい」との回答の差です。回答からは、「妻とはしなくてよいがセックスはしたい」「夫とはしなくてもよいがセックスはしたい」と考えるレス当事者が多数に上ることがうかがえます。
続いて、夫婦間でレスを話し合わない理由を年代別にみていきましょう。
■ 20代は「話題にしにくい」と「夫ともうしなくてよい」が並ぶ
20代は「話題にしにくいから」が、女性の「配偶者ともうセックスしなくてよい」と並んで最多の回答になります。回答結果は比較的分散されており、夫婦の性関係はまだ流動的で、回答者にはレスに対する葛藤がある様子がうかがえます。
なお、「不仲だから」という回答に大きな男女差がありますが、第4報の結果によると、セックスレスの最大のきっかけは妊娠・出産で、セックスレスの最多の原因は女性側の性欲減退や疲労ですから、妊娠・出産後のセックスの拒否を不仲ととらえる男性が一定数いるのかもしれません。
■レス女性は30代ですでに「夫とセックスしたくない」
30代では20代よりも「話題にしにくい」との回答が増えます。レスの期間が長引いたせいで「タブーに近い話題」になった夫婦もいるでしょう。また、20代に比べれば若干、性をオープンに語りにくい世代という影響もあるかもしれません。
注目すべきは「配偶者ともうセックスしなくてよい」と考える女性の急増です。
「誰ともセックスしなくてよい」も20代から倍増しているため、出産によるホルモンの変化、育児による疲労、ワンオペなどによる性欲減退の影響もあるでしょう。しかし回答全体を総合的にみると、「夫とセックスしたくない」ことが最大の理由と考えられます。
第4報の結果の通り、「性的魅力を感じなくなった」「男女ではなく家族の関係になった」「相手の自分に対する感情が変化した」などの要因により、女性は30代から意識が大きく変化するようです。
■ 40代で男女とも「配偶者とセックスしなくてよい」が最多に
40代になると、男性も「妻とはもうセックスしなくてよい」との回答が急増します。女性は30代で夫とセックスする気がなくなり、後れて男性が40代で妻とセックスする気がなくなっている現状が分かるでしょう。
しかし「もう誰ともセックスしなくてよい」と考える男女は少なく、女性に至っては30代よりも減少しています。子育てが少し落ち着いた年代であり、世間的には婚外恋愛に進む既婚者が多い年代です。
■ 50代になると女性の性欲が大きく減退
50代では、「もう誰ともセックスしなくてよい」と考える女性が急増し、約4割に達します。実際、夫婦間レスと性欲について調査した第5報でも、50代女性の7割が「性欲はない・あまりない」と回答しています。更年期の影響も大きいでしょう。それに対して男性は性欲に変化がなく、回答にも反映されています。
4)夫婦のレスを誰かに相談したことある?
レス当事者は、夫婦でレスについて話し合うことが少なく、むしろあまり向き合っていない現状が明らかになりました。そして、男女とも40代になると夫婦の性生活を諦める傾向にありましたが、20代の男女および30代の男性の場合は、まだ葛藤している様子もみられます。
そこで、夫婦間では話し合わなくても、友人や知人、親兄弟、専門家などに相談することはあるのか、尋ねてみました。
すると、大半の当事者が他人にレスを相談したことがないという結果になりました。男性は性に対するプライドが高いため、あまり相談しないと予想していましたが、女性は意外な結果でした。友人に相談するケースも多いと予測しましたが、男性よりも低くなっています。嫉妬心やライバル意識などが関係するのかもしれません。
年代別にみると、次の結果となりました。
20代・30代に限ればそれなりの割合で相談をしているようで、問題意識の高さを反映しているでしょう。ただしここでも、40代男女での意識の違いが大きく出ています。
5)まとめ
今回の分析から、配偶者とレスについて話し合った当事者は少ないという実態が判明しました。そのうえ、「今後、話し合うつもりはない」という回答が大半を占め、諦めてしまっている様子がうかがえます。
配偶者以外の誰かに相談した人の割合はさらに低く、20代でも4割前後。全体でみれば男性7割以上、女性8割以上が「誰にも相談していない」という結果が示されました。
つまり、今回の調査からは多くの当事者が夫婦のセックスレスの問題を1人で抱え、誰にも相談していないという現状が浮かび上がります。当事者にはレスを直視するのを避ける傾向があるのかもしれません。
夫婦間でセックスレスが固定化した結果、女性は30代ですでに「配偶者とはもうセックスしなくてよい」と考える人が半数を超えます。男性の場合、半数を超えるのは40代になってからであり、このタイムラグが夫婦間の摩擦を引き起こしている可能性があるでしょう。
また注目される点は、50代女性を除き、レス当事者は「セックスしなくてもよい」とは考えていないことです。つまり、多くのレス当事者は配偶者とセックスしたくないのであり、セックスそのものは避けてないのです。このギャップが婚外恋愛などの様々な行動に結びついている可能性があるかもしれません。
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◎調査の目的
私どもレゾンデートル株式会社(東京都新宿区)は、「結婚後の新たな生き方」を提案する既婚者向けメディアやネットサービスの展開を行うシステム開発です。現代の夫婦関係のあり方や多様性を把握し、今後のサービス開発に向けた市場動向を探るため、今回の調査を企画しました。
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企業情報
企業名 | レゾンデートル株式会社 |
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代表者名 | 磯野妙子 |
業種 | ネットサービス |
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