2012年春季労使交渉(春闘)にのぞむ経営側のスタンスと人事賃金管理の方向
・2012年に賃上げを実施する企業は67.8%、賃上げ率は前年並みの1.7〜1.9% ・2012年の賃上げ相場は47.7%が「昨年と同程度」と予測 ・定昇制度のある企業は71.3%、うち賃上げは「定昇のみ実施予定」が66.1% ・非正社員の賃金「見直す予定なし」は45.4%、「増額する予定」15.5%
報道資料
2012年2月9日
産労総合研究所
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2012年春季労使交渉(春闘)にのぞむ経営側のスタンスと人事賃金管理の方向
・2012年に賃上げを実施する企業は67.8%、賃上げ率は前年並みの1.7〜1.9%
程度
・2012年の賃上げ相場は47.7%が「昨年と同程度」と予測
・定昇制度のある企業は71.3%、うち賃上げは「定昇のみ実施予定」が66.1%
・非正社員の賃金「見直す予定なし」は45.4%、「増額する予定」の企業は
15.5%
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1202/
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産労総合研究所(東京都千代田区、代表 平 盛之)が発行する定期刊行誌「賃
金事情」(編集長 吉田貴子)は、「2012年 春季労使交渉(春闘)にのぞむ経
営側のスタンスと人事賃金管理の方向」に関する調査を行った。
調査対象:全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業
企業から任意に抽出した3,000社
調査時期:2011年11月中旬〜12月下旬
回答状況:回答のあった174社について集計
産労総合研究所では毎年、賃金交渉にさきがけて「春季労使交渉にのぞむ経
営側のスタンス調査」を実施し、世間相場の動向と自社の賃上げ予測等を明ら
かにしている。今回はそれに加えて、企業が直面する人事・賃金の課題を通じ
て、これからの人事賃金管理の方向を探ってみた。
今調査からも、先行きが見えないことが影響して、経営者側の慎重な姿勢が
うかがわれる結果となっている。
●7割近くが「賃上げを実施予定」で、前年より約10%ポイントのアップ
自社の賃上げについて、どのようなスタンスでのぞもうとしているのかをみ
ると、「賃上げを実施する予定」と回答した企業は、前年の58.2%から67.8%へ、
約10%ポイントもの大幅増加となった。
さらに、「賃上げは実施せず、賃金を据え置く予定」の企業も、前年の7.3%
からわずかに減少して5.7%となったが、他方、昨年は1社もなかった「賃下げ
や賃金カットを考えている」企業は、本年は1.1%(2社)となっており、賃上
げに関するスタンスも明暗を分ける結果になった。
「現時点ではわからない」と回答した企業は、前年の31.6%から23.6%へ減少
している。その分、「賃上げ実施予定」が増加したと考えられるが、後でみる
ように定昇制度のある企業は定昇程度の賃上げを考えており、例年になく、12
月の時点で定昇は実施するという判断を固めた企業が多かったのではないかと
考えられる。
<2012年の自社の賃上げ予定>
賃上げを実施する予定 67.8%(前回調査58.2%)
賃上げは実施せず、据え置く予定 5.7%(前回調査7.3%)
賃下げや賃金カットを考えている 1.1%(前回調査0.0%)
現時点ではわからない 23.6%(前回調査31.6%)
その他 1.7%(前回調査1.7%)
●世間相場は半数が「2011年と同程度」と予測、「2011年を下回る」も2割強
まず、2012年の賃上げ相場が2011年と比べてどうなるかを予測してもらった
ところ、震災後の状況を反映してか、一昨年の状態に戻ったような結果になっ
た。「前年と同程度」が47.7%(前回調査50.3%)と最も多いことに変わりはない
が、「前年を下回る」が24.1%(同19.2%)で前年より増加し、「前年を上回る」と
回答した企業は6.3%(同10.2%)に減少した。
他方、先行きの不透明感が払拭されないなか、「現時点 (2011年12月)ではわ
からない」と判断を留保した企業は、前回の20.3%とほぼ同水準の21.8%となっ
た。
景気回復期には世間相場に対する担当者の見方も、「前年を上回る」が毎年
一定の割合を保ちつつ推移してきたが(2005年26.2%→2006年33.3%→2007年
35.8%→ 2008年24.2%)、金融危機以降は、2009年0.6%、2010年0.5%と激減。
2010年は10.2%へ回復したのもつかのま、今回は6.3%に低下している。
また、「前年と同程度」と予測する担当者が昨年同様半数を占めており、大
方は本年も"定昇程度"の賃上げになると予測していることの現れであろう。
<2012年の賃上げ予測(世間相場)>
2011年と同程度 47.7%(前回調査50.3%)
2011年を下回る 24.1%(前回調査19.2%)
2011年を上回る 6.3%(前回調査10.2%)
現時点ではわからない 21.8%(前回調査20.3%)
●定昇制度のある企業は71.3%、うち賃上げは「定昇のみ実施予定」が66.1%
まず定期昇給制度の有無をみると、今回の回答企業においては「ある」が
71.3%(前回調査75.1%)、「ない」が24.7%(同20.9%)で、「ない」企業が若干増加
している。規模別に「定昇制度がある」企業をみると、1,000人以上の大企業
が67.4%(同73.3%),300〜999人の中堅企業が79.6%(同74.5%)。299人以下の中小
企業が67.5%(同76.6%)となり、本年は中堅企業以外で減少する結果となってい
る。
このように、定期昇給制度は広く浸透しているが、その適用対象をみると、
「全社員に適用」する企業が44.4% (同38.3%)、「一般社員のみに適用」する企
業が30.6%(同30.1%)、「特定層のみに適用」する企業が1.6%(同6.8%)など。「全
社員に適用」する企業は減少傾向にあったが、本年は若干増加した(2009年
46.5%→2010年42.1%→ 2011年38.3%。
定期昇給制度のある企業が2012年の賃金改定にどのようなスタンスでのぞむ
のかをみると、「定昇のみ実施する予定」と回答した企業が例年同様最も多く
66.1%(前年調査66.2%)。次いで「現時点(2011年12月)ではわからない」が29.0
%(同29.3%)、「定昇もベアも実施する予定」と回答した企業は、前年の3.8%か
ら若干アップして4.0%(5社)となった。
連合および春闘相場をリードする金属労協は、本年も"賃金カーブ維持分(い
わゆる定昇)"を必ず確保することを賃金要求方針に掲げており,いずれにして
も定昇中心の展開となりそうである。
●非正社員の賃金「見直す予定なし」は45.4%、「増額する予定」の企業は
15.5%
2011年の非正社員の処遇改善の見直し状況をみると、厳しい経営環境を反映
して、前年の68.4%よりは少ないものの、63.2%が「見直していない」と回答
している。それでも、「賃金を増額した」企業が前年の22.0%から25.3%に増
加したほか、「手当を増額した」企業も、前年と同じく1.7%(3社)ある。
では、本年はどのような見通しをもっているかをみると、前年同様、「見直
す予定はない」が45.4%(同48.6%)と最も多く、「現時点ではわからない」
の35.1%(同32.8%)を上回っている。一方、「賃金を増額する予定」の企業
は15.5%(同14.1%)へわずかではあるが増加しており、なかでも300〜999人
の中堅企業で、今年も22.2%が増額予定と回答しているのが注目される。
▼図やグラフが入ったホームページは以下のURLから
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1202/
◎その他の調査結果のポイント
◆2011年は84.5%の企業が賃上げを実施、平均4,975円・1.7%で額・率とも2010
年を下回る
◆2012年の年間賞与額の見通しは、2011年に比べて「増加」は7.5%のみ
◆業績連動型賞与の導入率は31.6%、うち最低保障ありは25.5%
◆現行の賃金制度について、運用面で問題や課題を抱えている企業は32.2%
※ 詳細データは「賃金事情」2012年2/5号にて、11ページに渡って掲載してい
ます。
※ 報道関係者の方に限り、11ページの全データをメールにて差し上げます。
【2011年の労使交渉のためのガイドブック】
「2012年版 賃金・労働条件総覧」には、春闘における賃金・処遇決定のため
のあらゆる業種別データが満載です。
必要に応じてデータを加工することで、より実証的、説得的な情報を得ること
ができます。
http://www.e-sanro.net/sri/2012shunto.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【本リリースに関する取材などのお問い合わせ】
株式会社産労総合研究所「賃金事情」編集部 担当: 吉田・堀之内
TEL 03(3237)1611
MAIL edt-a@sanro.co.jp
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2012年2月9日
産労総合研究所
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2012年春季労使交渉(春闘)にのぞむ経営側のスタンスと人事賃金管理の方向
・2012年に賃上げを実施する企業は67.8%、賃上げ率は前年並みの1.7〜1.9%
程度
・2012年の賃上げ相場は47.7%が「昨年と同程度」と予測
・定昇制度のある企業は71.3%、うち賃上げは「定昇のみ実施予定」が66.1%
・非正社員の賃金「見直す予定なし」は45.4%、「増額する予定」の企業は
15.5%
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1202/
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産労総合研究所(東京都千代田区、代表 平 盛之)が発行する定期刊行誌「賃
金事情」(編集長 吉田貴子)は、「2012年 春季労使交渉(春闘)にのぞむ経
営側のスタンスと人事賃金管理の方向」に関する調査を行った。
調査対象:全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業
企業から任意に抽出した3,000社
調査時期:2011年11月中旬〜12月下旬
回答状況:回答のあった174社について集計
産労総合研究所では毎年、賃金交渉にさきがけて「春季労使交渉にのぞむ経
営側のスタンス調査」を実施し、世間相場の動向と自社の賃上げ予測等を明ら
かにしている。今回はそれに加えて、企業が直面する人事・賃金の課題を通じ
て、これからの人事賃金管理の方向を探ってみた。
今調査からも、先行きが見えないことが影響して、経営者側の慎重な姿勢が
うかがわれる結果となっている。
●7割近くが「賃上げを実施予定」で、前年より約10%ポイントのアップ
自社の賃上げについて、どのようなスタンスでのぞもうとしているのかをみ
ると、「賃上げを実施する予定」と回答した企業は、前年の58.2%から67.8%へ、
約10%ポイントもの大幅増加となった。
さらに、「賃上げは実施せず、賃金を据え置く予定」の企業も、前年の7.3%
からわずかに減少して5.7%となったが、他方、昨年は1社もなかった「賃下げ
や賃金カットを考えている」企業は、本年は1.1%(2社)となっており、賃上
げに関するスタンスも明暗を分ける結果になった。
「現時点ではわからない」と回答した企業は、前年の31.6%から23.6%へ減少
している。その分、「賃上げ実施予定」が増加したと考えられるが、後でみる
ように定昇制度のある企業は定昇程度の賃上げを考えており、例年になく、12
月の時点で定昇は実施するという判断を固めた企業が多かったのではないかと
考えられる。
<2012年の自社の賃上げ予定>
賃上げを実施する予定 67.8%(前回調査58.2%)
賃上げは実施せず、据え置く予定 5.7%(前回調査7.3%)
賃下げや賃金カットを考えている 1.1%(前回調査0.0%)
現時点ではわからない 23.6%(前回調査31.6%)
その他 1.7%(前回調査1.7%)
●世間相場は半数が「2011年と同程度」と予測、「2011年を下回る」も2割強
まず、2012年の賃上げ相場が2011年と比べてどうなるかを予測してもらった
ところ、震災後の状況を反映してか、一昨年の状態に戻ったような結果になっ
た。「前年と同程度」が47.7%(前回調査50.3%)と最も多いことに変わりはない
が、「前年を下回る」が24.1%(同19.2%)で前年より増加し、「前年を上回る」と
回答した企業は6.3%(同10.2%)に減少した。
他方、先行きの不透明感が払拭されないなか、「現時点 (2011年12月)ではわ
からない」と判断を留保した企業は、前回の20.3%とほぼ同水準の21.8%となっ
た。
景気回復期には世間相場に対する担当者の見方も、「前年を上回る」が毎年
一定の割合を保ちつつ推移してきたが(2005年26.2%→2006年33.3%→2007年
35.8%→ 2008年24.2%)、金融危機以降は、2009年0.6%、2010年0.5%と激減。
2010年は10.2%へ回復したのもつかのま、今回は6.3%に低下している。
また、「前年と同程度」と予測する担当者が昨年同様半数を占めており、大
方は本年も"定昇程度"の賃上げになると予測していることの現れであろう。
<2012年の賃上げ予測(世間相場)>
2011年と同程度 47.7%(前回調査50.3%)
2011年を下回る 24.1%(前回調査19.2%)
2011年を上回る 6.3%(前回調査10.2%)
現時点ではわからない 21.8%(前回調査20.3%)
●定昇制度のある企業は71.3%、うち賃上げは「定昇のみ実施予定」が66.1%
まず定期昇給制度の有無をみると、今回の回答企業においては「ある」が
71.3%(前回調査75.1%)、「ない」が24.7%(同20.9%)で、「ない」企業が若干増加
している。規模別に「定昇制度がある」企業をみると、1,000人以上の大企業
が67.4%(同73.3%),300〜999人の中堅企業が79.6%(同74.5%)。299人以下の中小
企業が67.5%(同76.6%)となり、本年は中堅企業以外で減少する結果となってい
る。
このように、定期昇給制度は広く浸透しているが、その適用対象をみると、
「全社員に適用」する企業が44.4% (同38.3%)、「一般社員のみに適用」する企
業が30.6%(同30.1%)、「特定層のみに適用」する企業が1.6%(同6.8%)など。「全
社員に適用」する企業は減少傾向にあったが、本年は若干増加した(2009年
46.5%→2010年42.1%→ 2011年38.3%。
定期昇給制度のある企業が2012年の賃金改定にどのようなスタンスでのぞむ
のかをみると、「定昇のみ実施する予定」と回答した企業が例年同様最も多く
66.1%(前年調査66.2%)。次いで「現時点(2011年12月)ではわからない」が29.0
%(同29.3%)、「定昇もベアも実施する予定」と回答した企業は、前年の3.8%か
ら若干アップして4.0%(5社)となった。
連合および春闘相場をリードする金属労協は、本年も"賃金カーブ維持分(い
わゆる定昇)"を必ず確保することを賃金要求方針に掲げており,いずれにして
も定昇中心の展開となりそうである。
●非正社員の賃金「見直す予定なし」は45.4%、「増額する予定」の企業は
15.5%
2011年の非正社員の処遇改善の見直し状況をみると、厳しい経営環境を反映
して、前年の68.4%よりは少ないものの、63.2%が「見直していない」と回答
している。それでも、「賃金を増額した」企業が前年の22.0%から25.3%に増
加したほか、「手当を増額した」企業も、前年と同じく1.7%(3社)ある。
では、本年はどのような見通しをもっているかをみると、前年同様、「見直
す予定はない」が45.4%(同48.6%)と最も多く、「現時点ではわからない」
の35.1%(同32.8%)を上回っている。一方、「賃金を増額する予定」の企業
は15.5%(同14.1%)へわずかではあるが増加しており、なかでも300〜999人
の中堅企業で、今年も22.2%が増額予定と回答しているのが注目される。
▼図やグラフが入ったホームページは以下のURLから
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1202/
◎その他の調査結果のポイント
◆2011年は84.5%の企業が賃上げを実施、平均4,975円・1.7%で額・率とも2010
年を下回る
◆2012年の年間賞与額の見通しは、2011年に比べて「増加」は7.5%のみ
◆業績連動型賞与の導入率は31.6%、うち最低保障ありは25.5%
◆現行の賃金制度について、運用面で問題や課題を抱えている企業は32.2%
※ 詳細データは「賃金事情」2012年2/5号にて、11ページに渡って掲載してい
ます。
※ 報道関係者の方に限り、11ページの全データをメールにて差し上げます。
【2011年の労使交渉のためのガイドブック】
「2012年版 賃金・労働条件総覧」には、春闘における賃金・処遇決定のため
のあらゆる業種別データが満載です。
必要に応じてデータを加工することで、より実証的、説得的な情報を得ること
ができます。
http://www.e-sanro.net/sri/2012shunto.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【本リリースに関する取材などのお問い合わせ】
株式会社産労総合研究所「賃金事情」編集部 担当: 吉田・堀之内
TEL 03(3237)1611
MAIL edt-a@sanro.co.jp
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企業情報
企業名 | 株式会社産労総合研究所 |
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代表者名 | 平 盛之 |
業種 | 新聞・出版・放送 |
コラム
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