航空会社の事例から学ぶ、トラブルが起きたときの正しい対応方法とは?
ゴールデンウィーク、航空会社を利用して海外に行かれた方も多いのではないでしょうか。筆者は機体トラブルで出発延期という事態に見舞われました。そのときの航空会社の対応は、広報的に見て良いとは言い難いものでした。どの業界、業種に問わず、マイナスの事態が起きたり、その情報が拡散される可能性は「0」にはなりません。常に付き物のリスク時に、どのような対応をするかが口コミの鍵となります。GWの旅にて遭遇した機体トラブルから、改めて「マイナス情報のリスクヘッジ」について考えてみましょう。
遭遇したA航空の機体トラブル
先日遭遇したA航空の自体は下記のようなものでした。
・すべての乗客を搭乗させた後、機体トラブル発覚により出発延期
・約7時間に渡り3度、再アナウンスのためゲートに集合
・各アナウンスの時間予定が遅延
・機体トラブルは解消されず、出発は次の日へ延期
機体トラブルの可能性は、他のトラブル同様にゼロにはできません。出発が1日以上遅れた事は残念ですが、機体チェックによる不備が発見されただけでも、ありがたい事と言えます。一方で、アナウンスの仕方、内容などの対応はもう少し精度をあげられると感じました。
なぜトラブル時の対応が重要な鍵なのか
広報的な観点で見ると、ここでの対応はネット上の口コミに大きく響きます。顧客はプラスの情報以上にマイナスの情報を拡散しますし、少しでもトラブルがあると改めてA社の口コミを検索する事が多いためです。
そこで、サービスにおける非常事態に組織や従業員がどのように対応した方がベターか、ポイントを考えたいと思います。
最低限の安心・信頼を伝える
一つ目は乗客がもっとも重要視するであろう「安全性」に対して安心感を与えるという事です。機体トラブルを発見できたという事は、きちんと最後まで点検をおこたらなかったという事です。しかし、今回はトラブルの内容と、次に搭乗する機体の安全性についての説明がほとんどありませんでした。せっかく整備点検をきちんと行った結果なのに、乗客に対して第一に守るべき「安全性」を示せない事は非常にもったいないと思います。
適切な事態の説明内容とタイミング
二つ目は、トラブルから起こる事後の説明をしっかりするという点です。機体トラブルがあった際に、何時間待たせる可能性がある、もしくはその日に飛べない可能性がある事を伝えず、もっとも上手くいった時の事だけを想定して物事を伝えるのは得策ではありません。今回のケースでは数回に渡り「●時間後に新しいアナウンスができる予定」とのみが伝えられ、まだ飛べない事実が発覚するたびに乗客が疲れたり、不満を募らせたりしている事が見て取れました。
伝えた事をしっかり守る
三つ目は、一度伝えた事をしっかり守るという事です。航空会社の運営が非常に複雑で、緊急事態の際もスムーズに対応する事に多くの手間と時間がかかる事も理解できます。ただ、「●時に次のアナウンスをする」という伝達をしたのに、その時間にスタッフが困惑の表情を浮かべたままで、アナウンスまでに更に30分ほど待たせてしまう事は、やはり乗客に不信感を抱かせてしまいます。伝えた時間に、どのような状況であれしっかりとアナウンスをする。それが難しければ、前もって伝えるアナウンスの時間を調整しなくてはなりません。
仕事の基本はすべて同じ
今回のケースでお伝えしたい事は決して不満点ではありません。すべての仕事で同じように、顧客への伝達、もちろん広報活動であっても、基本的に守るべきポイントは共通しているという事です。今回で言うと「商品・サービスを受ける顧客が重要視する事(安全性)をしっかりと守り、それを伝える事」、「先回りして最高の事態から最悪の事態までを考え、適切な内容を、適切なタイミングで伝える事」、「伝えた事を守る/守れるように考えて行動する事」となります。
航空会社はせっかく真剣に人の命を、ある場所から遠くの場所へ届けているのですから、ぜひ対応にも気を配って欲しいと今後に期待したいと思います。同時に、これは広報活動に影響力の大きい問題である事と、誰もが他人事でないケースなので、自分の仕事にも置き換えてみなくてはならないと感じました。
(執筆・丸山夏名美)