人気パン屋「メゾン・ランドゥメンヌ」がマスメディアに取り上げられる理由
皆さんは今年3月末に日本に上陸したパリで大人気のブーランジェリー・パティスリー 「メゾン・ランドゥメンヌ(Maison Landemaine)」をご存知でしょうか。日本(港区麻布台)での出店以来、多くのテレビ、雑誌、ニュースで話題となっているお店です。「メゾン・ランドゥメンヌ」はその味やコンセプトからファンが多い事もありますが、なぜここまでマスメディアに取り上げられているのでしょうか。今回はその理由について、いくつかポイントを見てみたいと思います。
話題性がある
まず「メゾン・ランドゥメンヌ」は、これまで数々の賞を受賞してきています。2011年にミシュランの次に有名なグルメガイドブック「ピュドロ」で、 ブーランジェリー・オブ・ザ・イヤーパリ「パリで最高のパン屋賞」を、2013年には仏フィガロ誌で「パリで最も美味しいクロワッサン」の第3位に選ばれ、現在はパリに8店舗を構えています。実際に認められてきた実績があるお店が日本に上陸したら、ほとんどの場合マスメディアでは大きく取り上げられますね。
その実力店の看板メニューの一つが上質のフランス産バターを使ったクロワッサンです。そのお値段は1つ約500円と一般的な値段に対して高めです。凄いのはそれが話題となっているだけではなく、食べた人が「500円を出して食べてみる価値がある」と口コミを広げている点です。数々の賞の名を汚す事のないクオリティの高いパンを提供していると言えます。また、オーナーが日本人の女性である点も、消費者から親近感や温かさを感じさせる特徴的な要素です。
人間味あるストーリーがある
日本人女性のオーナー石川芳美さんには、ブーランジェリーをオープンさせ、ファンと店舗を増やしてくるまでのストーリーがあります。もともと漬物屋に嫁ぎ、それがきっかけで「発酵」に深い興味を持ったことがパン作りに没頭し始めたきっかけだそうです。
パン作りの仕事に夢中になった事でその時の家族とは離れる事に。その後、単身でパリへ渡り、パン職人として修業を重ね、修行先の店舗で出会った現在の夫、ロドルフ・ランドゥメンヌさんと一緒にお店をオープンさせました。
漬物屋さんがパンへの関心の始まりである点は非常にユニークですし、パンへの情熱によって人生を動かしている姿はプロとして感銘を受けます。このストーリーはメディア的にもフックとなるだけでなく、聞いた人に共感を生む点が素晴らしいですね。
お店そのものが魅力的
メディアが「メゾン・ランドゥメンヌ」を取り上げる最も大きな理由は、何よりもお店自体の魅力にあるでしょう。
上質フランス産バターのクロワッサンが約500円と高めの値段設定であることは上記の通りですが、すべての商品が高いわけではありあません。「毎日でも買いたい」と言う人もいるバゲットは180円、国産バターのクロワッサンは250円と一般的。高めの値段設定がされているものは決して理由なくその設定にされているわけではなく、コスト的な理由があっての事なのだと納得感があります。
また、メニューの幅も豊富でスイーツにもファンからの定評がありますし、ランチメニューが1,000円から味わえる点も敷居を高くしすぎておらず好印象です。そして、季節感を大切にしたり、「安全・安心」をコンセプトに掲げていたりという点は消費者として信頼がおけますね。
多面的な魅力があるからこそ、が「メゾン・ランドゥメンヌ」はメディアにも取り上げられ、かつファンが増えているようです。
今後「メゾン・ランドゥメンヌ」はパリ9号店や、イギリス、ドイツへの出店が予定されている他、東南アジア、中東諸国への進出も計画されているそうです。パンへの情熱をかけた一人の女性から始まったこのブーランジェリーが、これからどのように展開されていくのかとても楽しみです。
(執筆・丸山夏名美)