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国民へ科学の普及を促すサイエンスコミュニケーター

理化学研究所の広報活動、岡田小枝子さんの広報にかける想いをお伝えします。

私たちもドラスティックに


Q日本唯一の自然科学「総合研究所」の広報として意識していることはありますか?


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岡田さん
現理事長の野依が2003年に着任してすぐに、理研の明確な経営方針を「野依イニシアチブ」として定めました。5つの項目があり、そのうちの1つ目が「見える理研」。研究成果や科学技術そのものを見えやすくするために広報を重視する姿勢を打ち出しています。

長坂さん
野依イニシアチブという内的な要因に加え、2009年には事業仕分けという外的要因もありました。国民への説明責任を果たし、研究者と国民とのコミュニケーションの橋渡しが重要だと思っています。

Q広報活動の成果はどのような指標で測っているのですか?


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長坂さん
非常に難しいですね。報道チームでは日々の掲載数を数えています。新聞の広告費換算をしてみたこともあります。しかし、成果の指標として果たしてどれが正解なのか。

数値で表せる指標は見つけ出そうとしていて、4年前からWebで理研の認知度調査を始めました。事業仕分けやスーパーコンピュータ「京」のおかげか、20~59歳における「理研を知っている方」の割合は、2010年の51%から2012年には68%に上昇しました。

今はまだこの数値を本当の尺度として用いて良いのか判断できないのですが、「事業所や支所のあるエリアは認知度が高い」などの傾向も見えてきているので、もう少しデータを検証してみたいと思っています。

岡田さん
今後は、経営理念に関する質問を調査に入れていくのも良いと思います。理研が打ち出したいイメージを固めて、それに沿った広報戦略を取り、その成果を調査で検証する。

コカ・コーラ広報の講演で『いろはす』のエピソードを聞きました。以前の調査では、コカ・コーラの印象は「フレンドリー」が高く「エコ」が低かった。そこで『いろはす』を売り出したところ「エコ」のイメージが上昇。それくらい私たちもドラスティックなことができたら良いなと思います。



どういうネタを見せたら国民の信頼を得られるのか


Q広報が「天職」と仰っていましたが・・・


岡田さん
今までの経験が幸いしていると感じています。私の場合、大学で生物応用化学を専攻し、卒業後、企業の研究所に入りました。その後出産を経て、東大理学部で秘書をしながら学会誌の編集アシスタントを担当しました。その時に研究者のために尽くす姿勢や編集のスキル、事務処理能力が身に付いたと思います。

それから、フリーライターの仕事も始まり、医療系ライターとして記事を書くことに。最初は「岡田さんの書く文章は報告書みたい」と言われ、編集の方からとにかくたくさん赤字を貰う毎日でした。研修のようなトレーニングはなく、全てOJTですね。

Q広報に活きる経験ですね。広報に必要なスキルは何だと思いますか?


岡田さん
まず、対象に合わせて話ができないといけないですね。あと相手の求めていることを聞く力も必要です。また、私たちの場合は、研究者、上司、経営者、国民、制作部隊などとのハブでもあるので、それぞれの意見を調整して落としどころを決める調整力や忍耐力、決断力も求められます。新しいコミュニケーションツールにも興味を持ってすぐに対応し、科学技術広報だと科学のことも分かっていないといけない。広報は非常に高度な専門職だと思います。

Qどうしたらそのようなスキルが身に付くのでしょうか?後輩を育てるとしたら?


岡田さん
難しいですが、一緒に働いて貰うのが良いかもしれません。OJTでしかできないと思います。基本的なことは文章にして伝えられますが、実際にやっているのを見たり聞いたりしないと分からない。コミュニケーションは「生」なので、一言アドバイスでは何とも難しい。真似たり数をこなしたりするしかない部分があります。

Q岡田さんが参考にしている広報の方は?


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岡田さん
海洋研究開発機構(ジャムステック)の長谷部さんです。受け身の取材ではなく自ら売り込んでいく姿勢が素晴らしいと思います。TVへのアプローチを中心に、そのノウハウを教えて貰って私も始めています。JAXAも凄いですね。

どういうネタを見せたら国民の信頼を得られるのか。アカデミックな成果を見せても国民の皆さんの関心対象外であることが多い。ロボット研究などは、範囲の広い理研の研究分野の一つにすぎませんが国民にとっては親しみやすく、理研の信頼度向上に効果があるように感じます。

主に20~40代の若年層や女性を対象にしたサイエンスセミナーで、ライフサイエンスの研究を中心に、女性が関心のある脳、心、愛をテーマに選んでいるのも、セミナーをきっかけに理研への関心を高めて貰って、ひいては理研が行っている物理や化学の研究にも興味を持ってもらえたらという思いからです。

Q最後に、これから挑戦していきたいことは?


岡田さん
先の認知度調査ではありませんが、科学にあまり関心のない方、理研を知らない方々へどれだけリーチしていけるかが挑戦ですね。サイエンスセミナーはその第一歩で、そのほかにサイエンスとアートをコラボさせた試みも続けていますが、これから新しい手法を更に探求していきたいと思います。

岡田 小枝子/長坂 滋氏

企業名
理化学研究所
設立
2003-09-01
所在地
埼玉県和光市広沢2-1
URL
http://www.riken.jp/
プロフィール
【写真左:長坂 滋さん】
95年4月から03年6月まで総合電機メーカーで半導体開発業務に従事。03年7月から理化学研究所に入所し、研究契約や特許許諾契約業務に携わる。08年4月広報室に異動し、現在は報道業務を担当。

【写真右:岡田 小枝子さん】
85年4月から93年12月まで総合電気メーカーの基礎研究所において研究業務に従事。出産退職後、東大理学部秘書、フリーランスの医療ライターを経て、03年東大理学部広報室において科学技術広報の道に進む。04年理化学研究所に広報を担当する任期制職員として入所。現在はイベントや展示を主に担当。

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