4月のメディカルセミナーは『胃がん・食道がんの最新治療』をテーマに開催!「早期発見の重要性」、その核心に迫る最新治療法とは。必読のセミナーダイジェストをここにご紹介!
BRBメディカルサロンでは去る4月16日(水)、『胃がん・食道がんの最新治療』をテーマにセミナーを開催致しました。なぜ「早期発見」が求められるのか、その核心に迫るセミナーダイジェストをご紹介致します。
BRBメディカルサロンでは去る4月16日(水)、消化器外科領域において著名な慶應義塾大学医学部消化器外科教授 北川雄光氏を講師にお招きし、メディカルセミナーを開催致しました。北川先生が豊富な臨床経験をもとに講演下さった、セミナーのダイジェストをご紹介致します。
■胃がんについて
国民病とも言われる「胃がん」は、かつてがんの部位別死亡率第1位でしたが、1990年代を境に「肺がん」に次ぐ第2位になりました。しかし、罹患数では胃がんが第1位です(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報サービスより)。これは胃がんの早期発見が進み、比較的治りやすい為です。世界中で、日本の胃がん患者死亡率は特に高く、その他の国では韓国・中国・東南アジアが高い傾向にあり、遺伝的因子・環境因子等が関係していると言われます。一方欧米では、大腸がん・乳がん・前立腺がんの罹患率が高い傾向にあります。
■胃がんの治療
胃がんは胃X線及び内視鏡で検査をします。胃がんは早期発見であれば低侵襲治療で済みやすい傾向にあります。病期別治療分類は、日本胃癌学会により「胃がん治療ガイドライン」が決められ、大きく3つに分類されています(胃癌治療ガイドライン【第2版】より)。1)早期がん…EMR(内視鏡的治療)・縮小手術、2)切除可能進行がん…定型手術、3)切除不能進行がん…化学療法・拡大手術です。早期がんである程、治療は軽く済みます。
1880年代から胃がんの手術は行われ始めました。胃がんの内科的手術は、1980年代半ば「内視鏡」を用いた手術が登場しました。「内視鏡的粘膜切除術」は小さながんを内視鏡で取り除く方法ですが、小さながんが見つかる事は少なく、またある程度の大きさを分割切除して取り除いた場合、完全にがんが取れたかの判断が難しいという課題がありました。その後「内視鏡」の機器備品は更なる進歩を遂げ、「内視鏡的粘膜下層剥離術」が行われるようになりました。この内視鏡的治療の適応は、日本胃癌学会ガイドラインにより、原則として早期の胃がんであり、リンパ節転移の可能性がほとんどなく、一括切除が可能な大きさと部位である事等が決められています。しかし、治療は患者さんの意思が大切であり、ガイドラインに従うのでなく目安として捉え、医師は患者さんの意思を尊重し相談した上で治療法を決定します。
胃がんの外科的手術では、1990年になると「腹腔鏡」を用いた手術が行われ始めます。これはお腹に数箇所穴を開け、お腹の中を鏡で観察しながら行う手術で、傷口が小さく済みます。その他「腹腔鏡下胃切除術」では、痛みが少なく早く離床できる、腸管の動きの回復が早い、早期の食事開始、呼吸機能への影響が少ない、入院期間の短縮等の利点があります。それまでの開腹手術に比べ、軽度の手術で済むようになりました。しかし、進行がんの場合は今でも開腹手術を行う方が一般的です。腹腔鏡手術の課題として、今後、進行胃がんへの適応や、胃全摘出、噴門側胃切除への適応拡大等があります。腹腔鏡でお腹をあまり傷つけずに治療が出来ても、胃を切除している為、小胃症状・吸収不良症候群・ダンピング症候群・残胃炎による残胃がん・逆流性食道炎等の胃術後障害が起こります。
そこで、今後期待されるのが「見張り(センチネル)リンパ節生検」です。元は乳がんで行われていた方法で、消化器でも応用し始めました。見張りリンパ節とは、がんが初めて転移するリンパ節の事で、それを見つけ出し、それだけを取り除くという治療方法が可能です。見張りリンパ節生検で転移状況を調べ、転移がなければそれ以上の手術は行わない為、必要最低限の摘出で済みます。これにより、胆汁残胃逆流の激減、またダンピング症状も減ります。今後も注目される治療方法の一つです。
■胃がんのまとめ
・診断技術の進歩により根治が期待できる早期胃がんが増加している
・早期胃がんに対する内視鏡治療・腹腔鏡手術は急速に発展している
・胃がんの局在、大きさ、進達度、リンパの流れ等の患者側因子により、きめ細かな治療が可能
■食道がんについて
食道がんは年間死亡数10,000人に及び、胃がんに比べてリンパ節転移頻度が高く、手術後5年生存率が約50〜60%と治療方法も難しくなります。症状としては、しみる感じやつかえ感、胸部不快感等が現れます。また声がかれたり、首に痛みがある等は進行がんが疑われます。リスクファクターとして、食道と同じ粘膜である舌や口の中・喉のがんにかかった事がある場合、発症率が高くなります。その他、50歳以上の男性で、毎日お酒を飲む・また飲むと赤くなる、ヘビースモーカー等があげられます。
■食道がんの治療
食道がんの見つけ方は、内視鏡検査やヨード染色でがんの部分を染め浮き出して見つけます。早期のがんであれば、内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術が行われます。転移がある場合の手術は大掛かりになり、開胸・開腹をして食道、首・脇・お腹のリンパ節を全て摘出します。そして胃袋を細くし、食道の位置まで持ち上げてゆきます。この手術は難しく、手術関連死亡が3〜4%(全国平均)です。進行がんに対する治療は、外科治療だけでなく、化学療法・放射線治療があります。中期進行がんの場合は、化学放射線療法により3分の1の患者さんが治ります。その他3分の1は一度がんが消えすぐに再発してしまう、残り3分の1はがんが消えず残ってしまう、という結果が出ています。つまり3分の2は救済手術を要しますが、その危険度は更に高くなります。そこで、内科・外科・放射線科共同の食道がん治療が進められています。例えば、PET検査を使い食道がんの化学放射線療法の効果予測をして、ダメージを最小限に抑える事ができます。患者さん一人一人、効果的ながん治療方法が異なる為、胃がん治療同様に医師と患者さんが納得して進める治療が大切です。
■食道がんのまとめ
・早期発見できれば、内視鏡治療が可能
・胸腔鏡や、腹腔鏡を用いた低侵襲手術が開発されている
・現時点での日本における標準治療は「抗がん剤と手術」で、「放射線と抗がん剤」の治療法は開発中
胃がん・食道がんともに、早期発見であれば内視鏡での軽い手術で済むケースが多いので、年1・2回の定期健診で早期発見を心がけましょう!
※記事の文責はBRBメディカルサロンにあります。
【事業概要】
・富裕層を対象にした会員制医療クラブの運営
・法人向け 医療・健康管理コンサルテーション
・医療セミナーやイベントの企画・運営
【本件に関するお問い合わせ先】
会社名 株式会社ビーアールビー メディカルサロン事業部
担当 企画推進室・広報 蒲川(かもがわ)・山田
TEL 03-3343-5695
FAX 03-3343-5845
E-Mail info-medical@brb.co.jp
《関連URL》
http://www.brb.co.jp/medical/index.html
http://www.brb.co.jp/medical/seminar/index.html
http://www.hosp.med.keio.ac.jp/shinryo/generai/index.htm
http://www.jgca.jp/
■胃がんについて
国民病とも言われる「胃がん」は、かつてがんの部位別死亡率第1位でしたが、1990年代を境に「肺がん」に次ぐ第2位になりました。しかし、罹患数では胃がんが第1位です(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報サービスより)。これは胃がんの早期発見が進み、比較的治りやすい為です。世界中で、日本の胃がん患者死亡率は特に高く、その他の国では韓国・中国・東南アジアが高い傾向にあり、遺伝的因子・環境因子等が関係していると言われます。一方欧米では、大腸がん・乳がん・前立腺がんの罹患率が高い傾向にあります。
■胃がんの治療
胃がんは胃X線及び内視鏡で検査をします。胃がんは早期発見であれば低侵襲治療で済みやすい傾向にあります。病期別治療分類は、日本胃癌学会により「胃がん治療ガイドライン」が決められ、大きく3つに分類されています(胃癌治療ガイドライン【第2版】より)。1)早期がん…EMR(内視鏡的治療)・縮小手術、2)切除可能進行がん…定型手術、3)切除不能進行がん…化学療法・拡大手術です。早期がんである程、治療は軽く済みます。
1880年代から胃がんの手術は行われ始めました。胃がんの内科的手術は、1980年代半ば「内視鏡」を用いた手術が登場しました。「内視鏡的粘膜切除術」は小さながんを内視鏡で取り除く方法ですが、小さながんが見つかる事は少なく、またある程度の大きさを分割切除して取り除いた場合、完全にがんが取れたかの判断が難しいという課題がありました。その後「内視鏡」の機器備品は更なる進歩を遂げ、「内視鏡的粘膜下層剥離術」が行われるようになりました。この内視鏡的治療の適応は、日本胃癌学会ガイドラインにより、原則として早期の胃がんであり、リンパ節転移の可能性がほとんどなく、一括切除が可能な大きさと部位である事等が決められています。しかし、治療は患者さんの意思が大切であり、ガイドラインに従うのでなく目安として捉え、医師は患者さんの意思を尊重し相談した上で治療法を決定します。
胃がんの外科的手術では、1990年になると「腹腔鏡」を用いた手術が行われ始めます。これはお腹に数箇所穴を開け、お腹の中を鏡で観察しながら行う手術で、傷口が小さく済みます。その他「腹腔鏡下胃切除術」では、痛みが少なく早く離床できる、腸管の動きの回復が早い、早期の食事開始、呼吸機能への影響が少ない、入院期間の短縮等の利点があります。それまでの開腹手術に比べ、軽度の手術で済むようになりました。しかし、進行がんの場合は今でも開腹手術を行う方が一般的です。腹腔鏡手術の課題として、今後、進行胃がんへの適応や、胃全摘出、噴門側胃切除への適応拡大等があります。腹腔鏡でお腹をあまり傷つけずに治療が出来ても、胃を切除している為、小胃症状・吸収不良症候群・ダンピング症候群・残胃炎による残胃がん・逆流性食道炎等の胃術後障害が起こります。
そこで、今後期待されるのが「見張り(センチネル)リンパ節生検」です。元は乳がんで行われていた方法で、消化器でも応用し始めました。見張りリンパ節とは、がんが初めて転移するリンパ節の事で、それを見つけ出し、それだけを取り除くという治療方法が可能です。見張りリンパ節生検で転移状況を調べ、転移がなければそれ以上の手術は行わない為、必要最低限の摘出で済みます。これにより、胆汁残胃逆流の激減、またダンピング症状も減ります。今後も注目される治療方法の一つです。
■胃がんのまとめ
・診断技術の進歩により根治が期待できる早期胃がんが増加している
・早期胃がんに対する内視鏡治療・腹腔鏡手術は急速に発展している
・胃がんの局在、大きさ、進達度、リンパの流れ等の患者側因子により、きめ細かな治療が可能
■食道がんについて
食道がんは年間死亡数10,000人に及び、胃がんに比べてリンパ節転移頻度が高く、手術後5年生存率が約50〜60%と治療方法も難しくなります。症状としては、しみる感じやつかえ感、胸部不快感等が現れます。また声がかれたり、首に痛みがある等は進行がんが疑われます。リスクファクターとして、食道と同じ粘膜である舌や口の中・喉のがんにかかった事がある場合、発症率が高くなります。その他、50歳以上の男性で、毎日お酒を飲む・また飲むと赤くなる、ヘビースモーカー等があげられます。
■食道がんの治療
食道がんの見つけ方は、内視鏡検査やヨード染色でがんの部分を染め浮き出して見つけます。早期のがんであれば、内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術が行われます。転移がある場合の手術は大掛かりになり、開胸・開腹をして食道、首・脇・お腹のリンパ節を全て摘出します。そして胃袋を細くし、食道の位置まで持ち上げてゆきます。この手術は難しく、手術関連死亡が3〜4%(全国平均)です。進行がんに対する治療は、外科治療だけでなく、化学療法・放射線治療があります。中期進行がんの場合は、化学放射線療法により3分の1の患者さんが治ります。その他3分の1は一度がんが消えすぐに再発してしまう、残り3分の1はがんが消えず残ってしまう、という結果が出ています。つまり3分の2は救済手術を要しますが、その危険度は更に高くなります。そこで、内科・外科・放射線科共同の食道がん治療が進められています。例えば、PET検査を使い食道がんの化学放射線療法の効果予測をして、ダメージを最小限に抑える事ができます。患者さん一人一人、効果的ながん治療方法が異なる為、胃がん治療同様に医師と患者さんが納得して進める治療が大切です。
■食道がんのまとめ
・早期発見できれば、内視鏡治療が可能
・胸腔鏡や、腹腔鏡を用いた低侵襲手術が開発されている
・現時点での日本における標準治療は「抗がん剤と手術」で、「放射線と抗がん剤」の治療法は開発中
胃がん・食道がんともに、早期発見であれば内視鏡での軽い手術で済むケースが多いので、年1・2回の定期健診で早期発見を心がけましょう!
※記事の文責はBRBメディカルサロンにあります。
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http://www.jgca.jp/
企業情報
企業名 | 株式会社ビーアールビー |
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代表者名 | -- |
業種 | 未選択 |
コラム
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