金属チタン市場、長期的に成長傾向も新型コロナによる航空宇宙分野の混乱による影響は避けられない見通し
株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「金属チタンの世界市場:2030年までの展望、第10版」 (Roskill Information Services) の販売を8月31日より開始いたしました。
金属チタン産業は、長期的に成長傾向にあります。2014年から2019年にかけて、サプライチェーン全体で生産量と貿易が増加しました。2019年には世界的に原料の輸出が大幅に増加し、スポンジチタンの出荷量は前年比約20%、チタンスクラップの輸出量は前年比14%それぞれ増加したと推定されています。チタンミル製品の輸出は、2014年から毎年6.2%増加し、2019年にはほぼ107キロトンに達しています。
チタンの総需要のうち、約半分は高価値の航空宇宙用途由来であり、2010年から2019年までの10年間で見られた継続的な航空輸送量の増加は、商業旅客機生産の増加を支えてきました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの発生に伴い、2020年第1四半期に状況は急変し、商業航空業界と航空宇宙業界は現在、前例のない短期的な混乱と不確実性に直面しています。世界中の航空会社の大半は、航空旅行の減少により、財政面で重大な危機に瀕しています。利益の減少は、既存および将来の航空機受注に影響を与えるでしょう。その結果、生産の増強計画、ひいてはチタン合金のような航空宇宙材料の需要にも影響を及ぼす可能性があります。
スポンジチタンの生産は、ロシア、日本、カザフスタン、中国、米国、ウクライナ、インド、そして最近ではサウジアラビアに限定されており、ロシア、日本、中国だけで世界の生産量の4分の3以上を占めています。同様に、チタンのスラブとインゴットの生産も一部の地域に集中しており、中国、米国、ロシア、日本が2019年の溶融能力のほぼ90%を占有しました。
金属チタンは、商業航空宇宙のような主要産業での使用とは別に、F-35統合攻撃戦闘機のような軍事プログラムでも必要とされています。チタンは、経済や国家安全保障にとって重要と考えられる米国内務省の鉱物商品リストに含まれています。米国商務省は、2019年にスポンジチタンの輸入によってもたらされる国家安全保障への潜在的なリスクを調査しました。同省の勧告を受けて、トランプ大統領は、輸入に対する直接的措置は取らないものの、米国防長官に対し、国防上の要件を満たすためにスポンジチタンへのアクセスを増やし、国内生産を支援するための措置を取るよう指示しました。
【 当レポートの詳細目次 】
https://www.gii.co.jp/report/ros942692-titanium-metal-outlook-10th-edition.html
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