肺気腫・慢性気管支炎は今や「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれ、国内推定患者数530万人!今後も喫煙者は要注意の病気です!著名な現役医師による「COPD」についてのセミナーダイジェストをご紹介!

「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」は、患者数が増加中の病気で、特に喫煙との関連が指摘されています。BRBメディカルサロンは、COPDに伴う「栄養障害」に焦点を当て、6月6日にセミナーを開催致しました。

BRBメディカルサロンでは、去る6月6日(金)、慶應義塾大学医学部呼吸器内科教授 石坂 彰敏氏を講師にお招きし、「喫煙とCOPD〜COPDにおける栄養障害〜」のテーマで参加無料のメディカルセミナーを開催致しました。

■COPDとは
「COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)・慢性閉塞性肺疾患」は、以前「肺気腫」および「慢性気管支炎」と呼ばれていた疾患です。2つの疾患原因が共通であることから、総称として使われています。呼吸器疾患の中で、COPDの原因はタバコの煙などの有害粒子・ガスに限定しており、また特徴として進行性の気流制限(閉塞性障害)があります。

(肺気腫)
 肺の破壊を伴う末梢気腔の拡大を特徴とする疾患。
(慢性気管支炎)
 気管や気管支が慢性的に炎症を起こし、咳や痰が続く疾患。
 定義:2冬連続して少なくとも冬期3ヶ月間ほぼ毎日、咳・痰が存在すること。

 COPDの患者数は530万人にのぼると推測されています。その有病率は喫煙者で12.3%と高く、また年齢別では60歳代が12.5%、70歳代は17.4%と年齢に伴い高くなっています(NICEスタディ2001年大規模疫学調査より)。このように身近な疾患ですが、日本では認知度は低く、また主な原因が喫煙であることから、日本呼吸器学会はCOPDを生活習慣病の1つとして位置づけるよう、厚生労働省に働きかけをしています。

■COPDの診断、症状、身体所見
 COPDの診断は症状、身体所見に加え、胸部画像診断(CT検査)や肺機能検査(スパイロメトリー)を行います。主な症状として、咳嗽、喀痰、喘息、労作時の呼吸困難などを伴います。診察及び検査の特徴的な所見は、胸郭前後径の拡大、頸部の呼吸補助筋の緊張、口すぼめ呼吸、聴診での呼吸音の減弱、呼気延長(喘息が聴取されることもある)です。さらに重症な場合は、チアノーゼ(呼吸機能が低下し血液酸素濃度が下がるため、皮膚や唇が紫色になること)、下腿の浮腫、体重の減少もしくは増加といった特徴があります。

■慢性呼吸不全と治療
 慢性呼吸不全とは、呼吸不全状態が少なくとも1ヶ月以上継続する場合を言います。呼吸不全は呼吸器系だけに限らず、中枢神経系・肝臓・心臓・消化管・腎臓・血液系などの多臓器不全を引き起こします。呼吸不全患者の日常管理としては、薬物療養、酸素療法、呼吸リハビリテーション、栄養療法、禁煙が行われます。
 酸素療法の中でも、以下の疾患は「在宅酸素療法」の対象となります。高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症、慢性心不全及びチアノーゼ型先天性心疾患です。療法を必要とする場合、以前であれば病院に入院したきりか、または酸素ボンベを自身で自宅に用意しての療養でした。しかし1985年、「在宅酸素療法」に社会保険が適応されて以来、より多くの患者さんがその治療を行えるようになり、治療と社会活動を両立することが可能になりました。
 在宅酸素療法の効果として、厚生省呼吸不全調査研究班の平成3年度報告書からも、生存率が高くなったとされています。また、NIH(米国国立衛生研究所)の調べによると、酸素を1日中吸っていた場合と、12時間のみ吸っていた場合では、1日中の方がより効果的との結果でした。酸素療法の効果としては、生存率の向上のみならず、日常生活動作の改善、入院回数の減少、肺性心の予防と改善、QOLの向上が見込まれます。

■COPDの栄養障害
 COPDの栄養障害を判断する基準として、栄養評価項目があります。主な項目は、身体計測、体成分分析、呼吸筋力、骨格筋力、生化学、エネルギー代謝、免疫能などです。中でも、外来での栄養評価として、身体計測(体重測定・下腿の浮腫)、骨格筋力(握力)、生化学(血清アルブミン)などを行います。さらに、日本呼吸器学会ガイドラインの分類を基に評価をし、重症度のレベル分けをします。
 COPDで呼吸不全状態が続く場合、体重が減少する傾向にあります。その原因は大きく分け2種類あり、呼吸器機能不全による「カロリー必要量の増加」と「カロリー摂取量の減少」です。

【カロリー必要量の増加】
 COPDにおける代謝亢進として、換気効率の低下による呼吸筋の仕事量および酸素消費量の増加から、肺の過膨張・横隔膜の平坦化・気道閉塞を引き起こします。また多臓器不全を起こすことで感染・合併症といった危険性も伴います。実際、健常者の呼吸筋が消費するエネルギーは36〜76kcal/1日に対し、COPD患者は約10倍の430〜720kcal/1日を必要とします。

【カロリー摂取量の減少】
 COPD患者は、肺の過膨張や横隔膜位置低下により、少量の栄養摂取でも早期に腹部膨満感が起こります。また呼吸困難に伴う食欲低下や潰瘍等消化管疾患の合併症などが起こりやすくなるため、摂取する栄養が減少します。

 以上のように、COPD患者はエネルギー消耗が著しいにも関わらず、十分な栄養摂取が出来ない状態にあるため、原病の進行(呼吸筋の消耗)、栄養不良状態のさらなる悪化、免疫機能の低下が起こり悪性サイクルへと繋がってしまいます。

■COPDの栄養治療
 COPDの栄養治療では、%IBW(基準体重比)が80%〜90%未満の栄養障害者に対し、栄養指導として摂取カロリーの推定、必要カロリーの決定、栄養剤投与量の決定、訪問栄養指導を行います。これらの指導は、症状に合わせて異なる対策をする必要があります。例えば食欲不振の場合には間食の利用、呼吸困難がある場合には食事前に休息や気管支拡張薬の使用などを行います。治療の効果として、栄養状態・QOL・呼吸筋力・運動機能の改善(COPD診断とガイドライン)が見込まれます。

 COPDの推定患者数530万人は糖尿病にも匹敵する人数です。そのため、COPDも生活習慣病の1つとして広く認識され始めています。しかし、栄養障害については未だ認知度が低く、COPD推定患者数のうち200万人は栄養障害を伴うと見込まれていますが、実際に病院を受診している方は一握りです。COPDは早期発見で病状の悪化を緩めることができます。年1・2回の定期健診を心がけ、また心当たりのある方は呼吸器科を受診しましょう!

※記事の文責はBRBメディカルサロンにあります。

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担当 企画推進室・広報 蒲川(かもがわ)・山田
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《関連URL》
http://mhlab.jp/guide/2007/12/copd.html
http://www.brb.co.jp/medical/index.html
http://www.brb.co.jp/medical/seminar/index.html
http://www.hosp.keio.ac.jp/shinryo/respirat/index.htm
http://www.jrs.or.jp/home/

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