欧州LCV市場、2030年に電動LCVが市場占有率35%に迫る見込み
株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「Stellantis (FCA-PSA) の小型商用車 (LCV) 戦略の概要」(Frost & Sullivan)の販売を7月1日より開始いたしました。
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とPSAグループの合併案は、自動車の相手先商標製品(OEM)メーカーの中でも最も重要な合併の一つとなります。合弁会社の名称はStellantis(ステランティス)となり、販売台数では第4位の自動車OEMとなります。新グループの総売上高は1,800億米ドル以上、営業利益率は6.8%となります。期待されるシナジー効果は約40億米ドルです。合わせて年間65億米ドル以上の研究開発の可能性があり、電動化などの技術に投資するには十分な額です。
この合併の最も重要な成果の1つは、Stellantis社がヨーロッパだけでなく、世界全体でも最大のバンメーカーになることです。2019年、FCAとPSAは(合わせて)112万台のLCVとバンを販売し、世界市場の13%のシェアを占めています。この統合の影響は、欧州で最も収益性の高い車両セグメント、すなわちLCV(Light Commercial Vehicle)とバンで特に顕著に現れます。欧州では、Eコマースの普及率が高いことから、LCVの需要は過去5年間で着実に増加しています。2017年にOpel-Vauxhallをポートフォリオに統合した後、PSAは欧州のLCV分野で主導的な地位を獲得しました。今回の統合により、FCAとPSAは合わせて、欧州のLCV市場の34%以上のシェアを握ることになります。デリバリーサービス業者からの受注が増加していることから、今後の見通しは良好であり、近い将来、欧州のLCV需要をさらに押し上げることになるでしょう。
Stellantis社にとってのLCVの重要性は、販売台数よりもその収益性にあります。LCVは乗用車(PV)に比べて生産コストや開発コストが低いため、OEMの利益率は8〜11%と高くなります。また、お客様はバンに先進的な技術を求めていないため、生産コストをさらに下げることができます。また、OEM間でプラットフォームを共有することで、部品やコンポーネントを共通化できることも利益につながります。これにより、OEM企業の1台あたりのコストが削減され、利益率が向上します。FCAとPSAは、LCV分野で30年にわたる共同開発の関係にあるため、Stellantis社にとっても、バンの共同開発に伴うシナジー効果はすでに存在しています。また、PSAはトヨタ向けにもLCVを生産しており、Stellantis社はトヨタの生産能力を高めてEUからの合併承認を得ることになります。これにより、Stellantis社の市場シェアは最大36%まで向上します。
LCVの電動化も、PSAとFCAの両社が実現しようとしている重要な目的です。欧州では、電動LCV(eLCV)が2025年にはLCV全体のシェアの15%、2030年には35%近くを占めるようになると予想されています。欧州の公害削減規制が大きく後押しする中、OEM各社はLCVフリートの電動化を有力な選択肢と捉え、電動LCVのラインアップを拡充しています。PSAは、小型バンの電動化に着手しています。2021年までにLCVラインアップの100%電動化を見込んでいます。PSAのLCV電動化戦略は、Stellantis社が欧州LCV市場でのリーディングポジションを維持・強化するための基盤となります。
【 当レポートの詳細目次 】
https://www.gii.co.jp/report/fs994937-overview-stellantis-fca-psa-light-commercial.html
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