株式会社アスコム 東京地裁より再生計画認可受ける
今年2月に破綻が報じられた出版社「アスコム」の経営再生への大きな1歩!弊社が支援を続け、本日、東京地裁より再生計画に対する認可が下りました。
株式会社セントラル総合研究所(東京都千代田区、代表取締役社長 八木宏之 以下、弊社)が今年2月から事業再生支援を続けている出版社、株式会社アスコム(東京都港区 代表取締役社長 日暮哲也氏 以下、アスコム) の再生計画について、本日、東京地方裁判所より認可が下りましたのでお知らせいたします。
アスコムは今月より事業を本格的に再開し、再生へ向けて邁進しています。
弊社はこれからも、債務者と共に歩み続けます。
***
アスコムが民事再生を申し立ててから事業を再開するまでの経緯が7月13日(日)の朝日新聞・社会面「縁」で紹介されました。
⇒ http://www.sodan.info/special/t080713.html
今年2月に破綻が報じられた出版社「アスコム」の
半年という異例の速さで成功した経営再生の舞台裏
「 縁 出版社再生 『泥船』こいだ浮かんだ 」
⇒ http://www.sodan.info/special/g080713.html
【本文】
「うわっ。振り向くとキスしちゃいそうだ」
背中合わせで座った男性社員2人が同時に振り返ったら、あまりにも顔が近接していた。
高橋克佳(48)が苦笑した。
「狭い方がコミュニケーションがとりやすくていいだろ」
出版社アスコムは今月7日、高橋を中心とした社員7人で、業務を本格的に再開した。東京都港区の新しい事務所は広さ77平方メートル。移転前の5分の1しかない。
東京・麹町にあったアスコムは02年の設立。ベストセラーもあったが、今年初めに資金繰りに窮した。2月20日、社長が全社員約40人に「業務を停止させていただきます。正確な言葉で言うと、破産準備にかかります」と告げた。社員は解雇され、社は施錠された。
執行役員だった高橋は翌日、東京・神田の経営コンサルタント会社セントラル総合研究所に向かった。社長の八木宏之(49)に「破産手続きに向け、いい弁護士を紹介してほしい」と頼んだ。
6年前に出た八木の初著「借りたカネは返すな!」の編集者が高橋だった。シリーズで50万部を超え、アスコムのベストセラー第1号となった。事業再生が専門の八木は、アスコムの窮状を聞いて地団太を踏んだ。「どうしてもっと早く相談してくれなかったの」
高橋は、八木の会社の一室を間借りした。部下を合む編集者4人が集まり、取引先をおわびして回った。破産後、5人で新しい出版社を作るつもりだった。高橋は新会社に資金を提供してくれるスポンサーも見つけていた。
2月25日、八木が高橋ら5人に言った。「民事再生法の適用でアスコムを残しましょう。本は売れている。不渡りを出したわけでもない。まだ戦えます」
破産だと、これまで作ってきた本は、まだ売れる見込みがあっても事実上、絶版となる。民事再生なら販売を継続できるし、債権者に多少なりとも返済もできる。
八木は2日前、アスコムの筆頭株主と交渉して全株譲渡の約束を取り付けた。弁護士とも協議して民事再生の道筋を立てていた。
「よし、民再やろう」
5人の目に力が戻った。高橋は、「いいんだね」と1人ずつ念を押した。4人はそれぞれに同業他社から誘われ、「泥船に残るな」などと助言されていたが、全員、民再の道を選んだ。
だがその夜、話が白紙に戻った。スポンサーとしてあてにしていた40代の実業家が「新社でなく、ブランドの傷ついたアスコムの民再なら資金を出せない」と言い出した。
翌日、高橋は仲間4人と実業家を訪ね、全員で頭を下げた。「お気持ちはわかりました。再考はします」とだけ言われた。
次の日、高橋はひとりで足を運び、実業家に食い下がった。
「ビジネスとして勝ち目があるから民事再生したいんです」
「みなさん優秀な編集者ですけど、リスクをとって経営してくれる人はいるんですか」
「僕じゃダメですか!」と高橋は即答した。
経営に失敗すれば、億単位の借金を個人で負うかもしれない。高橋はそのリスクを引き受ける覚悟を告げた。
「いま、心が動きました」
実業家はそう答え、アスコム再生への協力を約束した。
高橋たちは2月末、麹町の社屋に戻った。広いオフィスが寒々しく見えた。法人個人あわせて700の債権者の債権額を算出する作業を始めたが、元編集部員ばかりで、販売や広告、経理などのデータの保存先も見方もわからない。
担当者に電話で協力を呼びかけると「もう関係ない」「次の職場が決まったから」と断られた。
出社してきた30代男性は、3日目には来なくなった。給与が支給される見通しはなく、「あまりにも不安。続けられません」と言い残し、別の出版社に再就職した。
高橋は、大学講師の妻(48)と娘(6)と3人暮らし。妻に「失敗してマンション取られちゃうかもよ」と冗談めかして言うと、「その時はその時。なるようになるわよ」。出版一筋に5社を渡り歩いてきた高橋には、他の仕事は考えられない。文句ひとつ言わない妻に心の中で感謝した。
同じ志の仲間もいた。
広告部の課長だった男性(42)は、高橋から電話で事情を聴き、「その話、ぜひ乗りたいです」。その日のうちに神奈川県鎌倉市の自宅から社に駆けつけた。「自分で頭を下げて広告を出してくれた人にきちんと対応したかったんです」。妻はパート勤務を始めた。
4月には、経営企画部長だった男性(43)から高橋に電話があった。「私も手伝えませんか。アスコムで自分の役割を果たしたかと思うと自信がなくて……。再就職先は断りました」。証券会社出身で管理部門のプロ。3社から声がかかり、大手出版社への再就職を決めたばかりだった。
社員7人は5月末まで謝罪の日々を送った。債権者からの電話が1日に10〜40件。「いつ払ってくれるんですか」「借りたカネは返せよ」−−そんな声も当然あったが、声援の方がずっと多かった。
今月8日、アスコムの本が再び書店に並び始めた。破綻から半年での流通再開は異例の早さだ。
「いやあ、暑い、暑い」
11日午後、書店回りから戻った2人が、うちわを激しくあおぎながら自席に着いた。本来は編集担当で、この日が初めての営業。高橋の視線に気づくと、「注文?とれましたよ」と笑顔を見せた。
(佐藤修史)
***
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社セントラル総合研究所 管理本部 広報室
http://www.sodan.info/
TEL:03-5289-0369
FAX:03-5297-6915
E-mail:info@central-ri.com
《関連URL》
http://www.ascom-inc.jp/
http://www.sodan.info/
アスコムは今月より事業を本格的に再開し、再生へ向けて邁進しています。
弊社はこれからも、債務者と共に歩み続けます。
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アスコムが民事再生を申し立ててから事業を再開するまでの経緯が7月13日(日)の朝日新聞・社会面「縁」で紹介されました。
⇒ http://www.sodan.info/special/t080713.html
今年2月に破綻が報じられた出版社「アスコム」の
半年という異例の速さで成功した経営再生の舞台裏
「 縁 出版社再生 『泥船』こいだ浮かんだ 」
⇒ http://www.sodan.info/special/g080713.html
【本文】
「うわっ。振り向くとキスしちゃいそうだ」
背中合わせで座った男性社員2人が同時に振り返ったら、あまりにも顔が近接していた。
高橋克佳(48)が苦笑した。
「狭い方がコミュニケーションがとりやすくていいだろ」
出版社アスコムは今月7日、高橋を中心とした社員7人で、業務を本格的に再開した。東京都港区の新しい事務所は広さ77平方メートル。移転前の5分の1しかない。
東京・麹町にあったアスコムは02年の設立。ベストセラーもあったが、今年初めに資金繰りに窮した。2月20日、社長が全社員約40人に「業務を停止させていただきます。正確な言葉で言うと、破産準備にかかります」と告げた。社員は解雇され、社は施錠された。
執行役員だった高橋は翌日、東京・神田の経営コンサルタント会社セントラル総合研究所に向かった。社長の八木宏之(49)に「破産手続きに向け、いい弁護士を紹介してほしい」と頼んだ。
6年前に出た八木の初著「借りたカネは返すな!」の編集者が高橋だった。シリーズで50万部を超え、アスコムのベストセラー第1号となった。事業再生が専門の八木は、アスコムの窮状を聞いて地団太を踏んだ。「どうしてもっと早く相談してくれなかったの」
高橋は、八木の会社の一室を間借りした。部下を合む編集者4人が集まり、取引先をおわびして回った。破産後、5人で新しい出版社を作るつもりだった。高橋は新会社に資金を提供してくれるスポンサーも見つけていた。
2月25日、八木が高橋ら5人に言った。「民事再生法の適用でアスコムを残しましょう。本は売れている。不渡りを出したわけでもない。まだ戦えます」
破産だと、これまで作ってきた本は、まだ売れる見込みがあっても事実上、絶版となる。民事再生なら販売を継続できるし、債権者に多少なりとも返済もできる。
八木は2日前、アスコムの筆頭株主と交渉して全株譲渡の約束を取り付けた。弁護士とも協議して民事再生の道筋を立てていた。
「よし、民再やろう」
5人の目に力が戻った。高橋は、「いいんだね」と1人ずつ念を押した。4人はそれぞれに同業他社から誘われ、「泥船に残るな」などと助言されていたが、全員、民再の道を選んだ。
だがその夜、話が白紙に戻った。スポンサーとしてあてにしていた40代の実業家が「新社でなく、ブランドの傷ついたアスコムの民再なら資金を出せない」と言い出した。
翌日、高橋は仲間4人と実業家を訪ね、全員で頭を下げた。「お気持ちはわかりました。再考はします」とだけ言われた。
次の日、高橋はひとりで足を運び、実業家に食い下がった。
「ビジネスとして勝ち目があるから民事再生したいんです」
「みなさん優秀な編集者ですけど、リスクをとって経営してくれる人はいるんですか」
「僕じゃダメですか!」と高橋は即答した。
経営に失敗すれば、億単位の借金を個人で負うかもしれない。高橋はそのリスクを引き受ける覚悟を告げた。
「いま、心が動きました」
実業家はそう答え、アスコム再生への協力を約束した。
高橋たちは2月末、麹町の社屋に戻った。広いオフィスが寒々しく見えた。法人個人あわせて700の債権者の債権額を算出する作業を始めたが、元編集部員ばかりで、販売や広告、経理などのデータの保存先も見方もわからない。
担当者に電話で協力を呼びかけると「もう関係ない」「次の職場が決まったから」と断られた。
出社してきた30代男性は、3日目には来なくなった。給与が支給される見通しはなく、「あまりにも不安。続けられません」と言い残し、別の出版社に再就職した。
高橋は、大学講師の妻(48)と娘(6)と3人暮らし。妻に「失敗してマンション取られちゃうかもよ」と冗談めかして言うと、「その時はその時。なるようになるわよ」。出版一筋に5社を渡り歩いてきた高橋には、他の仕事は考えられない。文句ひとつ言わない妻に心の中で感謝した。
同じ志の仲間もいた。
広告部の課長だった男性(42)は、高橋から電話で事情を聴き、「その話、ぜひ乗りたいです」。その日のうちに神奈川県鎌倉市の自宅から社に駆けつけた。「自分で頭を下げて広告を出してくれた人にきちんと対応したかったんです」。妻はパート勤務を始めた。
4月には、経営企画部長だった男性(43)から高橋に電話があった。「私も手伝えませんか。アスコムで自分の役割を果たしたかと思うと自信がなくて……。再就職先は断りました」。証券会社出身で管理部門のプロ。3社から声がかかり、大手出版社への再就職を決めたばかりだった。
社員7人は5月末まで謝罪の日々を送った。債権者からの電話が1日に10〜40件。「いつ払ってくれるんですか」「借りたカネは返せよ」−−そんな声も当然あったが、声援の方がずっと多かった。
今月8日、アスコムの本が再び書店に並び始めた。破綻から半年での流通再開は異例の早さだ。
「いやあ、暑い、暑い」
11日午後、書店回りから戻った2人が、うちわを激しくあおぎながら自席に着いた。本来は編集担当で、この日が初めての営業。高橋の視線に気づくと、「注文?とれましたよ」と笑顔を見せた。
(佐藤修史)
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社セントラル総合研究所 管理本部 広報室
http://www.sodan.info/
TEL:03-5289-0369
FAX:03-5297-6915
E-mail:info@central-ri.com
《関連URL》
http://www.ascom-inc.jp/
http://www.sodan.info/
企業情報
企業名 | 株式会社セントラル総合研究所 |
---|---|
代表者名 | 八木 宏之 |
業種 | 未選択 |
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