『ベトナムドンの切り下げによる好影響』について

平成22年2月12日
報道関係者各位


『ベトナムドンの切り下げによる好影響』について


ベトナム中銀は10日、昨年11月に引き続き、通貨ドンの切り下げを発表いたしました。
『ベトナム株取引サービス』を提供しておりますニュース証券では、ベトナムドンの切り下げによる好影響に関する当社見解をリリースいたしましたので、お伝えいたします。


見解：
『ベトナム中銀のグエン・バン・ザウ総裁は2月10日夜、ベトナムドンの対ドル為替レートの中間値(Daily reference rate：コア為替レートを日々発表する制度)を12月10日以来維持してきた1ドル＝17,941ドンから1ドル＝18,544ドンに3.25％引き下げ、2月11日より実施すると発表した。

　このところの店頭市場では、ドンの対ドルレートが大幅に変動し、一時1ドル＝19,800ドンまで上昇していた(中央銀行の上限は約18,479ドン)。中銀により外貨供給が実施されるも、これまで対策の効果は限定的であり、為替の切り下げ圧力が続いていた。また、貿易赤字が10から20億ドル／月のペースで拡大し、インフレ率の上昇も懸念されていた。これらを背景とした今回の通貨切り下げは、市場の流動性を高めることに加え、貿易赤字の改善、インフレ再発の防止などの狙いがあると見られる。

　これを受け、銀行業界では、ドン安政策と為替レート安定化の狙いがあり、『評価できる』との見方を表明。また、現地紙によると、現地商業銀行トップが『取引が低下しているテト(旧正月)直前の通貨切り下げは良いタイミングである』と述べているとのこと。
　通貨切り下げが発表された後の11日の株式市場では、外国人投資家は大幅に買い越しとなった。店頭市場の対ドル為替レートの売買が落ち着き、銀行間市場と店頭市場のギャップが縮小し、為替市場の正常化につながると思われる。また、対ドルにおける円高の影響もあり、ドンの対円為替レートはさらに円高となっている。

　ベトナムの通貨ドンは、中央銀行であるベトナム国家銀行(SVB)が厳しく管理してきたが、最近は市場実勢に合わせて、緩めに為替レートが運用されてきた。SBVは、99年に『市場平均相場制度(銀行間平均対ドルレートを公式レートとして翌朝発表し、1日の変動幅を決定する方式)』を導入。変動幅は、09年3月24日に3.0％から5.0％に拡大されたが、11月25日には、再び5.0％から3.0％に縮小された。同時に、5.44％の通貨切り下げも実施されていた。今回はそれに続く、3.25％の切り下げとなった。』

ニュースアセットマネジメント株式会社
投資助言部長　グエン・ベト・ハー



＜参考−ベトナム国家銀行(SBV)による過去10年間の為替政策動向−＞

時期　　　　　　　　内容

99年　 市場平均相場制度を導入
02年7月1日　 対ドル変動幅を+(-)0.10％から+(-)0.25％に拡大
06年12月31日　 対ドル変動幅を+(-)0.25％から+(-)0.50％に拡大
07年12月24日　 対ドル変動幅を+(-)0.50％から+(-)0.75％に拡大
08年3月10日　 対ドル変動幅を+(-)0.75％から+(-)1.00％に拡大
08年6月11日　 対ドルレート中間値を2.00％切り下げ
08年6月26日　 対ドル変動幅を+(-)1.00％から+(-)2.00％に拡大
08年11月7日　 対ドル変動幅を+(-)2.00％から+(-)3.00％に拡大
08年12月25日　 対ドルレート中間値を3.00％切り下げ
09年3月24日　 対ドル変動幅を+(-)3.00％から+(-)5.00％に拡大
09年11月17日　 財務相がドンの切り下げ案を否定
09年11月25日　 対ドルレート中間値を5.44％切り下げ
　　　　　　　 対ドル変動幅を+(-)5.00％から+(-)3.00％に縮小
10年2月11日　 対ドルレート中間値を3.25％切下げ

(データ：当社作成)


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