K'MoPA開館20周年記念展 未来への遺産:写真報道の理念に捧ぐ

本展は、1967年ニューヨークを皮切りに、東京をはじめ世界各地を巡回した展覧会“The Concerned Photographer”がベースとなっています。アンドレ・ケルテス、デイヴィッド・シーモア、ロバート・キャパ、ワーナー・ビショフ、ダン・ワイナー、レナード・フリードら6人の作品によるもので、当館のコレクションより全161点を初めて公開致します。この6人は、センセーショナルな物事に限らず、日常の営みの中にこそ見える人間性や、社会の少数派が正義と平等を求めるささやかな闘いに心を寄せ、その土地の特徴的な暮らしに寄り添いながら撮影する事を道と考えた写真家たちでした。撮影の対象が、戦争であれ、自然であれ、日常生活であれ、写真家自身が、人間が生きる事の真価を力強く表現した写真を撮る。それを当館は写真報道の理念と表現し、彼らの写真を公開し、未来への遺産として次世代へつなぐ事を使命と考えています。

清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)展覧会開催のお知らせ

未来への遺産:写真報道の理念に捧ぐ

Legacy for the Future: Dedicated to the Ideals of Photojournalism

 

開催概要

展覧会名:未来への遺産:写真報道の理念に捧ぐ

会  期:2015年7月1日(水)~9月30日(水)

協  力:マグナム・フォト東京支社

後  援:公益社団法人日本写真協会、公益社団法人日本写真家協会、山梨県教育委員会、北杜市教育委員会

休  館 日: 7・8月は無休、毎週火曜日(ただし 9/22は開館)

開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)

入館料:一般800円(600円)、学生600円(400円)、中・高生400円(200円)、友の会・会員は無料     ( )内は20名様以上の団体料金、家族割引は1200円(2名以上~6名様まで)

交通のご案内 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分

J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

 

清里フォトアートミュージアムは、写真専門の美術館として、1995年に開館いたしました。

三つの基本理念:

1. 生命(いのち)あるものへの共感

2. プラチナ・プリント作品の収集と技法の継承

3. 若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ

に基づき活動を行っております。なかでも最も力を注いでいるヤング・ポートフォリオ(YP)は、毎年35歳以下を対象に公募を行い、選考された作品を当館のパーマネント・コレクションとして購入することによって世界の若手作家を支援する企画です。35歳までという時期でなければ生み出せない表現意欲の高い作品を、1度に限らず継続的に収蔵する点など、通常のコンテストとは異なる性格を持っています。詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.kmopa.com/

 

■本展覧会について

<1967・68年、ニューヨーク・東京>

本展覧会は、1967年ニューヨークを皮切りに、東京をはじめ世界各地を巡回した展覧会“The Concerned Photographer”がベースとなっています。アンドレ・ケルテス、デイヴィッド・シーモア、ロバート・キャパ、ワーナー・ビショフ、ダン・ワイナー、レナード・フリードら6人の作品によるもので、当館のコレクションより全161点を初めて公開いたします。 “The Concerned Photographer” は、日本では1968年「時代の目撃者 ― コンサーンド・フォトグラファー」と題して展示され、 大きな話題となりました。

 

<写真報道のパイオニアたち>

20世紀前半、テレビが普及する以前に世界の情報を得る手段といえば、圧倒的に写真雑誌でした。そして、機動性の良い小型カメラも出始め、写真家は、広く取材・撮影をすることができるようになりました。しかし、写真家の視点を強く主張する作品を発表できるようになるまでには、長い闘いの時代がありました。本展は、写真によって「自分は世界をこう見た」と表現する意志を貫き、地球を駆け巡ったフォトジャーナリストのパイオニアたちの作品を展示するものです。パリ・ニューヨークを舞台に独自の写真表現を貫いたアンドレ・ケルテスは、後進のフォトジャーナリストに門戸を開き、特に1930年代のパリで、若きロバート・キャパを支えました。ワーナー・ビショフは、スイスを出て世界各地の人々の暮らしを、ロバート・キャパは5度の戦争を、デイヴィッド・シーモアは、キャパやカルティエ=ブレッソンらと写真家集団「マグナム・フォト」を創設、ダン・ワイナーは南アフリカなどで社会的な意識の高い写真を、そして若きレナード・フリードは、ニューヨークのユダヤ系社会の撮影からキャリアを出発させました。当時の雑誌編集者は、絶対的な主導権を持ち、写真家の意図に反して写真がトリミングされたり、キャプションが変えられるなど、写真は、いわば文章に添える挿画に留まっていたのです。そこで、写真家の権利を守るため、ロバート・キャパらが1947年に設立したのが、今も存続する写真家集団「マグナム・フォト」でした。本展の6人の写真家のうち、4人(シーモア、キャパ、ビショフ、フリード)がマグナム・フォトに所属しています。私たちが今日違和感なく目にしている写真表現は、彼らが時代を切り開き、 闘ったことにより生まれて来たものなのです。

     

<写真報道?報道写真?>

写真による報道、すなわちフォトジャーナリズムという言葉は、ジャーナル=日々の出来事を記すという言葉から生まれています。6人の写真家は、センセーショナルな物事に限らず、日常の営みの中にこそ見える人間性や、社会の少数派が正義と平等を求めるささやかな闘いに心を寄せ、その土地の特徴的な暮らしに寄り添いながら撮影することを道と考えた写真家たちでした。6人のうちの4人(シーモア、キャパ、ビショフ、ワイナー)が取材中に落命したという事実は、当時の撮影が決して容易ではなかったことを表しています。

私たちは、本展において、あえてあまり馴染みのない「写真報道」という言葉を用いることによって、報道写真やフォトジャーナリズムという言葉の持つ印象から少し離れたいと考えました。撮影の対象が、戦争であれ、自然であれ、日常生活であれ、写真家自身が、人間が生きることの真価を力強く表現した写真を撮ること。それを、私たちは写真報道の理念と表現しました。

 

<未来への遺産>

彼らの遺した歴史的記録と、独自の視点と才能によって写真を 「社会と関わる芸術」に高めた作品群が、死後に遺失することを防ぐため、ロバート・キャパの実弟、コーネル・キャパは1967年、本展をニューヨークにて開催し、写真集を出版しました。その後、展覧会は、世界各地を巡回しています。そして、1968年にオランダで印刷された写真集“The Concerned Photographer”の、印刷原稿として使用されたプリントが、1997年にまとまった形で発見されました。当館は、それら全161点を収蔵し、保存しています。写真史上に記され、人々の記憶に留められてきたこれらの写真。人類は、今世紀も、人種間の対立や差別、自然災害など複雑な問題を抱えています。さまざまな問題の本質に、勇気を持って立ち向かい、伝えようと取り組んでいる若い写真家たちにこそ、これらの写真に触れてほしい。そこに新たな胎動が生まれることを期待しています。さらに本年は、第二次世界大戦の終結から70年。戦争とは何かという問いに、私たちは今後も向き合わなければなりません。写真家にはどのような仕事ができるのか、写真にはどんな力があるのか、そして、美術館として写真と写真家をどう支えていくのか。K’MoPAの使命は、これらの写真を公開し、未来への遺産として次世代へつないで行くことと考えています。そのために、K’MoPAの開館20周年記念展として、今ふたたびこの展覧会を世に問いたいと思います。



企業情報

企業名 清里フォトアートミュージアム
代表者名 細江英公
業種 その他サービス

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