【新刊情報】椙本歩美著『森を守るのは誰か』。地域社会の視点から、森を守るとはどういうことかを考えるフィールドワーク研究の成果を出版します。

発展途上国では、国際機関の援助で「コミュニティ主体型/住民参加型」の自然資源管理政策が進められていますが、その現場では「保護と利用」「国家と住民」「住民間」の利害対立など、さまざまな問題が起きていることが指摘されるようになりました。 本書は、ルソン島中部の村落において、二項対立では説明できない多様な森林管理/利用の実態を見つめ、政策に翻弄されるなかでも現場独自の政策実践が立ち現れる過程とその可能性をとらえ、資源保全や国際援助のありようを考え直していく書物になります。 また、「フィールドエッセイ」などの読み物的な要素も加え、研究論文では扱いきれない著者の個人的な体験談を随所に記すことで、フィリピン農村社会の暮らしがいきいきと伝わる書物にもなりました。 森林政策、環境保護、国際協力などの実務に携わる方々はもとより、ひろく社会の現実を知る読み物としてお手に取っていただけたらと願っております。

出版事業を手がける、株式会社 新泉社(所在地:東京都文京区、代表:石垣雅設)は、椙本歩美著『森を守るのは誰か』を2018年7月に発行します。本書は7月上旬より、全国の書店およびネット書店で発売いたします。

 

 

 

 

『森を守るのは誰か——フィリピンの参加型森林政策と地域社会』

著者 椙本歩美

発行 新泉社

ジャンル 地域研究、環境社会学、森林政策

四六判上製 344ページ

価格 3000円+税

ISBN978-4-7877-1811-2

初版発行年月 2018年7月

 

 

【内容紹介】

〈森を守るとはどういうことか。〉

 

「国家 vs 住民」「政策と現場のズレ」「保護 vs 利用」「住民間の利害対立」……。

 

国際機関の援助のもと、途上国で進められている住民参加型資源管理政策をめぐって指摘される問題群。

森と農地が一体的に利用されているルソン島中部の村落で、二項対立では説明できない多様な森林管理の実態を見つめ、現場レベルで独自に立ち現れる政策実践の可能性を考える。

 

「フィリピンは1970年代から住民参加型森林政策を開始し、東南アジアのなかでも制度化が進む国の一つである。森林回復や地域住民の生活向上などの評価がある一方で、国家が住民に森林の権利を与えることは、住民や森林に対する国家統治の継続をより見えにくくし、森をめぐる国家と住民の対立構図も不可視化しているという批判がある。

途上国の森林保全に関して、各国政府、援助機関、研究者は、有効な参加型資源管理のあり方を模索してきた。住民参加を進めるための制度の枠組みは検討が重ねられてきたが、政策の意図と異なる現場レベルでの森林管理の実践は問題とみなされ、現場で独自の制度が生み出される仕組みについてはあまり議論されてこなかった。

本書の目的は、現場における制度生成の仕組みを分析する概念枠組みを提示し、住民参加型政策が地域社会に及ぼす影響について新たな論点を提示することである。」…………著者

 

 

【目次】

序章 森林政策をめぐる「対立」を問い直す

1 森は誰のもの?——国家 vs 住民の構図はなぜ生まれたか

2 住民が森を取り戻す?——参加型森林政策の誕生

3 本書の課題と構成

 

第1章 フィリピンの森林政策と地域住民

1 フィリピンの森林政策史

2 フィリピンの森を守るのは住民——参加型森林政策の始まり

3 なぜうまくいかないのか——参加型森林政策の課題

 

第2章 森をめぐる現場の制度を捉える視点

1 制度とは何か

2 自然資源管理における政策と制度をめぐる研究

3 現場の制度生成を捉えるために——本書が着目する概念

4 本書の枠組み

 

第3章 タルラック州M村の暮らし

1 高地森林と低地田畑が交わる村落空間

2 農業がつくり出す村の社会関係

3 参加型森林政策と国際援助のインパクト

4 調査地としてのM村の特徴

 

第4章 森は誰のもの?——参加型森林政策と権利主体

1 参加型森林政策における「コミュニティ」とは何か

2 政策による権利付与

3 住民による権利譲渡

4 権利付与による包摂と排除

フィールドエッセイ1 フィールドワークも住めば都?

 

第5章 どの森を守るのか?——参加型森林政策と権利空間

1 地図に描かれるもの、描かれないもの

2 M村での机上の地図づくり

3 実測による地図づくり

4 地図が映す国家と住民

フィールドエッセイ2 格差を実感できる暮らし

 

第6章 どうやって森を守るのか?——参加型森林政策と権利行使

1 使われない計画書

2 森をめぐる住民の対立

3 対立をめぐる住民の関係

4 対立回避としての森林保全

フィールドエッセイ3 戦争の記憶と出あう

 

終章 森を守るとはどういうことか

1 M村の事例が教えてくれたこと

2 インプリケーションと今後の課題

 

 

【関連書】

・ 『ナマコを歩く——現場から考える生物多様性と文化多様性』(赤嶺淳著、2010年)

・ 『だれのための海洋保護区か——西アフリカの水産資源保護の現場から』(關野伸之著、2014年)

・ 『さまよえる「共存」とマサイ——ケニアの野生動物保全の現場から』(目黒紀夫著、2014年)

・ 『なぜ環境保全はうまくいかないのか——現場から考える「順応的ガバナンス」の可能性』(宮内泰介編、2013年)

・ 『どうすれば環境保全はうまくいくのか——現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』(宮内泰介編、2017年)

 

 

【著者プロフィール】

椙本歩美  (スギモトアユミ)

1982年、東京都生まれ。 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。博士(農学)。 国際教養大学助教、バッキンガム大学客員研究員、マーガレット・サッチャー財団特別研究奨励生。 専門は国際森林環境学、フィリピン地域研究。

 

 

【株式会社 新泉社について】

本社:〒113-0033東京都文京区本郷2-5-12

代表者:石垣雅設

Tel 03-3815-1662

Fax 03-3815-1422

URL:http://www.shinsensha.com/

事業内容:出版業



ログインするとメディアの方限定で公開されている
お問い合わせ先や情報がご覧いただけます

添付画像・資料

添付画像をまとめてダウンロード

企業情報

企業名 株式会社 新泉社
代表者名 石垣雅設
業種 新聞・出版・放送

コラム

    株式会社 新泉社の
    関連プレスリリース

    株式会社 新泉社の
    関連プレスリリースをもっと見る

    • クリックして、タイトル・URLをコピーします
    • facebook
    • line
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

    プレスリリース詳細検索

    キーワード

    配信日(期間)

    年  月  日 〜 年  月 

    カテゴリ

    業界(ジャンル)

    地域