【新刊案内】『日本人と〈戦後〉』(木村倫幸著)刊行! 「戦後レジームの解体」の只中で〈戦後〉を複眼的に問い直す気鋭の書評・思想論集。
過酷な戦争体験を経て現れた〈戦後〉という時代の中を、私たちは〈戦後〉的価値観のもとで生きてきました。しかし、その〈戦後〉はいまや解体され、崩壊の危機に瀕しています。 その只中に刊行する本書は、そもそも〈戦後〉とは、〈日本〉とは、〈日本人〉とは何だろうか、というテーマの探究を主眼に据えた42本の書評と8本の論考で構成されています。歴史認識をめぐる史観の対立が先鋭化し、日本社会全体の戦争の捉え方に大きな変化が生じた時間軸の中で、さまざまな書物の批評を通して、近代日本の歩みと戦後史、戦後思想を丁寧に読み解き、問い直していきます。 本書が、私たちの生きる社会のありようを冷静にとらえ返し、平和の尊さを見つめ直す書物として、広く長く読みつがれることを願っています。
出版事業を手がける、株式会社 新泉社(所在地:東京都文京区)は、木村倫幸著『日本人と〈戦後〉――書評論集・戦後思想をとらえ直す』を2018年12月に刊行します。本書は12月中旬より、全国の書店およびネット書店で発売いたします。
『日本人と〈戦後〉――書評論集・戦後思想をとらえ直す』
著者:木村倫幸
発行:新泉社
ジャンル:哲学・思想―現代思想・社会思想
四六判並製・352ページ
定価 2400円+税
ISBN978-4-7877-1820-4
初版発行年月 2018年12月
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784787718204
【内容紹介】
〈戦後〉とは、〈日本〉とは何か――。
過酷な戦争体験を経て現れた〈戦後〉とは何だったのか。
鶴見俊輔、上山春平、司馬遼太郎、石堂清倫らの思索を手がかりに、近代日本の歩みと戦後史、戦後思想を見つめ直す。
「戦後レジームの解体」の只中で、日本社会と〈戦後〉を複眼的に問い返す気鋭の書評・思想論集。
「本書は、近代日本国家がその強大な権力構造によって国民を鋳型に嵌め込み、戦争へと導いた経緯と、〈戦後〉の日本に流れている戦争に対する思想、日本社会そのものの構造についての思想を、さまざまな書籍の書評を通じて解明しようとするものである。戦前と切り離された〈戦後〉とはいうものの、その底流にはナショナリズム一辺倒の排外主義の思想、国民に対する強制の思想が根強く流れていることが理解されるであろう。
しかしこれに対抗する力もまた、民衆の中の至るところに存在している。戦争を語る場合、個人としての兵士の存在であり、庶民の日常生活の確かな実感である。本書はこれらにも焦点を合わせ、いわばジグソーパズルのピースをつなぎ合わせることで、日本社会の図柄を浮かび上がらせようとする。もとよりすべてのピースを出せるわけではないが、通史には出てこない庶民の視点を見出すことで、かえって日本人の戦争観、社会観がより鮮明に浮かび上がってくることを期待したい」…………著者
◎ 著者
木村倫幸(きむら・つねゆき)
1946年生まれ
奈良工業高等専門学校名誉教授(倫理学)
主著『鶴見俊輔ノススメ――プラグマティズムと民主主義』(2005年、新泉社)
https://honto.jp/netstore/pd-book_02564997.html
◎関連本
『〈戦後〉の誕生』(権赫泰・車承棋編、中野敏男解説、中野宣子訳)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/978-4-7877-1611-8
日本人の戦後意識の中にある「忘却」をテーマに、捨象の体系としての「戦後思想」を鋭く問い直す。
【目次】
◎第一章 〈戦後〉とは何かを考える
戦争(=国家の「経済行為」)と個人の関係を問う
・『赤紙――男たちはこうして戦場へ送られた』小澤眞人+NHK取材班
・『島の墓標――私の「戦艦大和」』鬼内仙次
特攻隊員から平和運動へ
・『最後の特攻隊員――二度目の「遺書」』信太正道
〈戦後社会〉の自明性への問いかけ
・『戦争はどのように語られてきたか』川村湊・成田龍一他
〈戦後世代〉の「責任」を問う
・『半難民の位置から――戦後責任論争と在日朝鮮人』徐京植
〈戦後世代〉と戦争
・『戦争が遺したもの――鶴見俊輔に戦後世代が聞く』鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二
知られざる戦時下の「商船の悲劇」
・『海なお深く――太平洋戦争 船員の体験手記』全日本海員組合編
日本の軍隊の本質に関わる問題点を示唆
・『不時着』日高恒太朗
自衛隊員と憲法九条
・『我、自衛隊を愛す 故に、憲法九条を守る――防衛省元幹部三人の志』小池清彦・竹岡勝美・箕輪登
加害者であることにおいて人間になる
・『シベリア抑留とは何だったのか――詩人・石原吉郎のみちのり』畑谷史代
戦争は常に周到に準備され推進されてきた
・『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子
『坂の上の雲』現象と「国のかたち」という神話
・『『坂の上の雲』の幻影――“天才”秋山は存在しなかった』木村勲
戦中・戦後に一貫する組織の論理
・『日本海軍はなぜ過ったか――海軍反省会四〇〇時間の証言より』澤地久枝・半藤一利・戸髙一成
兵士の声を直接聞く制度を
・『兵士を守る――自衛隊にオンブズマンを』三浦耕喜
国家の非常時における日本人の精神を解明
・『日本人の戦争――作家の日記を読む』ドナルド・キーン
戦争をめぐって日本人が見落としている視点
・『東京プリズン』赤坂真理
〈戦後史〉を根底からとらえ直す
・『戦後史の正体――一九四五―二〇一二』孫崎享
・『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治
〈戦後体制〉の本質を見つめる
・『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』前泊博盛編著
日本人が不可視化した〈戦後〉
・『マーシャル諸島 終わりなき核被害を生きる』竹峰誠一郎
日本人の〈戦後意識〉そのものへの問い
・『琉球独立論――琉球民族のマニフェスト』松島泰勝
「〈戦後レジーム〉からの脱却」のもう一つの意味
・『偽りの戦後日本』白井聡、カレル・ヴァン・ウォルフレン
「戦争博物館」からみる戦争
・『誰も戦争を教えられない』古市憲寿
加害者/被害者のすれ違いの深さを描く
・『紅蓮の街』フィスク・ブレット
政財界が推し進める「若者の命の使い捨て」
・『経済的徴兵制』布施祐仁
〈戦後レジーム〉解体と「熱狂なきファシズム」の正体
・『時代の正体――権力はかくも暴走する』神奈川新聞「時代の正体」取材班編
ナパーム弾の歴史が暴く戦争の本質
・『ナパーム空爆史――日本人をもっとも多く殺した兵器』ロバート・M・ニーア
戦時下の人間性のありようを見つめる
・『体感する戦争文学』新藤謙
◎第二章 日本とは何かを考える
庶民と対話の思想から見つめる日本社会
・『日本人とは何だろうか』鶴見俊輔座談
大衆文化を通して「日本人とは?」を問う
・『日本人のこころ――原風景をたずねて』鶴見俊輔編
「日本」と「日本人」を歴史的視野から問い直す
・『日本社会の歴史』上・中・下、網野善彦
庶民の実際から日本の近代をとらえ直す
・『庶民列伝――民俗の心をもとめて』野本寛一
「唱歌」とイデオロギー
・『日本唱歌集』堀内敬三・井上武士編
近代日本の過剰な社会秩序の形成過程
・『現代日本の社会秩序――歴史的起源を求めて』成沢光
内発的発展論をめぐる二冊の書物
・『内発的発展論の展開』鶴見和子
・『内発的発展論と日本の農山村』保母武彦
短篇小説集のかたちをとった時代批判の書
・『二十一世紀前夜祭』大西巨人
明治以来の「国民」と「知識人」の来し方
・『転向再論』鶴見俊輔・鈴木正・いいだもも
現実に根を張った思想を
・『倚りかからぬ思想』鈴木正
近代日本のイデオロギーの本質解明に迫る
・『フェミニズムが問う王権と仏教――近代日本の宗教とジェンダー』源淳子
近現代における差別の背景解明への一歩
・『アジアの身分制と差別』沖浦和光・寺木伸明・友永健三編著
今なお厳然と存在する部落差別
・『入門 被差別部落の歴史』寺木伸明・黒川みどり
ヤクザの視点から見た日本人論
・『ヤクザの文化人類学――ウラから見た日本』ヤコブ・ラズ
買売春と日本社会の構造
・『買春する男たち』いのうえせつこ
「なぜ?」を禁じる道徳教育の本音
・『みんなの道徳解体新書』パオロ・マッツァリーノ
◎第三章 思想とは何かを考える
「日本のアイデンティティー」の問題をめぐって
鶴見俊輔と「銭湯デモクラシー」――九条擁護の視点をめぐって
生活世界から考える二つの視点――鶴見俊輔・内山節・中村桂子を手がかりにして
「非国家神道」――スピリチュアルが流れる一つの河床=岩床
上山春平論――不戦国家と「日本の深層文化」を中心に
「誇り高く、美しい国」とは、戦争への途ではないのか?――櫻井よしこの言説を検証する
敗戦・戦後七〇年とわれわれの視点の枠
追悼 鶴見俊輔
【株式会社 新泉社について】
本社:〒113-0033東京都文京区本郷2-5-12
代表者:石垣雅設
Tel 03-3815-1662
Fax 03-3815-1422
URL:https://www.shinsensha.com
事業内容:出版業
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企業情報
企業名 | 株式会社 新泉社 |
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代表者名 | 石垣雅設 |
業種 | 新聞・出版・放送 |
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