”合理的な疑い”は有罪? 無罪? ”善意”の悪人と”悪意”の善人、どっちが悪い? ”各自50万円の支払い”で合計50万円って? この微妙にズレた日本語って一体何?

法廷にあふれる奇妙なことばを斬る 裁判員制度スタートに向けた必読書『裁判おもしろことば学』 2月16日刊行のお知らせ

大修館書店 <本社・東京都千代田区神田錦町>では、2月16日、『裁判おもしろことば学』<大河原眞美 著>を刊行いたします。
2009年5月から実施される裁判員制度……。評議の秘密は守られるのか? 裁判の公平性は保たれるのか? はたまた、辞退が許されるケースとは?……など、その制度の是非が各メディアで連日のように論じられています。
 しかし、じつはそれ以前に、裁判で使われる言葉がいかに日常的な日本語とかけ離れているか、また、その乖離が裁判員制度の運用において、どれほど大きな障害となるかについては、あまり言及されていないのが現状です。
 そこで本書では、裁判および法律の世界と、私たちが暮らす日常の世界を隔てている、大きく、そして高い“ことばの壁”の存在に着目。まさに、ことばの“ガラパゴス”ともいうべき法曹界の<?>な実情に迫ります。

■本書の概要
書名:裁判おもしろことば学
著者:大河原 眞美<高崎経済大学地域政策学部長・法言語学者>
体裁:四六判/並製/176頁 定価:945円<税込> 発売日:2009年2月16日

■目次                                    はじめに<法廷はことばのガラパゴス>

1章:人生を左右するアイマイなことば<判決にかかわることば>
   <無罪><事実><殺意>など、判決を左右するような重要なことばの
ニュアンスが、日常のことばといかに違うかを解説する。

イノセントな人は無罪?/事実ではなくても”事実”/”合理的な疑い”
は合理的?/殺意のグラデーション/無断欠席は”自白”/善意の悪人、
悪意の善人/胎児は人間か?/スナック シャネルはCHANEL系列?/電気
は物か?/被害者は<反抗>的?/緊急避難はいつするもの?

 2章:六法のなかのフシギなことば<法律のなかのことば>
   法律の条文を取りあげ、その用語や文章の難解さの理由、一般の言語感覚
とのギャップなどを紹介する。

   法律文はパッチワーク/接続詞の迷宮<1>”又は””若しくは”/
   接続詞の迷宮<2>”及び””並びに”/天然果実はおいしい?/
   ”取消し”は気の毒、”撤回”は身勝手/中断したら借金復活/
   長期の長いものは頭痛が痛い/”男”という身分、”家族”という身分/
   宝くじと富くじ/邸宅はボロい空き家/法律は外来語がお嫌い

 3章:法廷という舞台のキミョーなことば<法律家たちのことば>
   裁判官、検察官、弁護人の風変わりな話ことば、判決文や起訴状の独特な
   表現などを紹介する。

   裁判官・検察官は人にあらず/”法廷弁”ウォッチング/一文は原稿用紙
   一枚分/”独自の見解”はけしからん/判決文はコピペだらけ/各自50万、
   二人でいくら?/”減軽”は変換ミス?/医療のことばと法廷/甲子園と
   拘留場/苦しいこじつけ温情判決/半世紀前の法廷ことば論争

【法廷ことばミニ辞典】
   刑事裁判の流れ/<法>ということば/裁判いろいろ/法廷の常識は世間
   の非常識?/控訴・上告・上訴/<物><者><もの>/法廷漢字読み取
   りクイズ/六つじゃなくても”六法”/ややこしい法廷類義語<1>/
   ややこしい法廷類義語<2>/裁判員なら知っておいていい法廷用語<1>
   /以上・以下・以前・以後…/歴史を感じる法律のことば/法律用語は
   漢字好き/法の世界のギョーカイ語/裁判員なら知っておいていい法律用語
   <2>/法律は同音異義語の見本帖/”能力”にもいろいろ/この意味
   わかる? 法廷の難語

【エッセイ】
   <試練>と<審判>/裁判官ってどんな人?/法律家のことばをまね
   したい?/検察官 vs. 弁護人 どっちがうわて?/自由刑と認知症/
   弁護士はお金持ち?/”裁判員”ということば/弁護士はお金持ち?
   <海外編>/裁判官の国語力は中学生並み?/裁判員のいない裁判

【資料1】
これさえ知っていれば裁判員に選ばれても安心 <法廷ことば力検定>

1.情状酌量によりゲンケイされた。漢字でどう書く?
    <誤> 減刑<正> 減軽

2.<各自50万円支払え>との判決。二人だと合わせていくら支払う?
    <誤> 100万円<正> 50万円

3.日本語の<無罪>により意味が近いのは?
    <誤> not guilty<正> innocent   


4.法律上の”緊急避難”に当てはまるのは?
    <誤> 大きな揺れを感じたので、仕事をやめ、階段を駆け下りて駐車場
        に逃げ出した。
    <正> 猛犬に襲われて、とっさに身近な棒で犬の顔をたたいて防いだ。

5.<善意>の人はどっち?
    <誤> 電車内でお年寄りに席をゆずってくれた見知らぬ人。
    <正>他人の持ち物を、そうと知らずに使っていた人。

6.<天然果実>に当てはまるものはどれ?
    <正>お米 、 石炭  、羊毛
    <誤>りんごジュース

7.法廷用語<ハンコーの抑圧>、漢字でどう書く?
    <誤>犯行<正> 反抗

8.個人間の借金は10年で時効。では、5年目で”中断”されたら、あと何年で時効?
    <誤>5年<正> 10年

9.弁護士の家庭での会話。”夕食カレーでいい?””然るべく。”この意味は?
    <誤>賛成     <正> どうでもいい。

10.”懲役一年三月に処する”との判決。<三月>の読みは?
    <誤>サンガツ<正> サンゲツ


【資料2】
かくも不思議なことばのガラパゴス
裁判をめぐる10のことばトリビア

→ → → 日本の裁判では、
1.事実でなくても<事実>と言うことがる。
→<例えば、刑事訴訟法第292条に出てくる>”事実”とは、“検察官や弁
  護人が証拠調べ手続きの最初に述べる事件のストーリー”のことであり、
必ずしも”真実・真相”ではない。

 2.<合理的な疑い>があると、無罪になる。
 →<合理的な疑い>とは、有罪であると判断することに対して、“常識的
  に考えて”まっとうな疑問があるという意味。被疑者が疑わしい、という
意味ではない。

3.殺意には”グラデーション<=濃淡>”がある。
 →同じく、人を死なせてしまった場合でも”まさか死なせるとは<=過失>”
と”殺してしまうかも<=未必の故意>”、”殺そう<=確定的故意>”
では、罪の重さが違う。

 4.<善意の悪人>もいれば<悪意の善人>もいる。
 →<善意>とは、“ある事実を知らない”こと。
 →<悪意>とは、“ある事実を知っている”こと。
  本人の性格が善良なのか邪悪なのかとは関係ない。


 5.材木、石炭、羊毛…これらすべて<天然果実>である。
 →<天然果実>とは”自然界からの産出物”全般を指し、<くだもの>の
意味ではない。
 
 6.<自由刑>は不自由な刑罰のことを指す。
 →<自由刑>とは、”身体の自由の剥奪を内容とする刑罰”のこと。犯罪者を
自由にさせておく刑ではない。

 7.空き家を<邸宅>と呼ぶ。
 →<邸宅>とは、”人が生活する施設のうち、実際には人が暮らしていない
もの。空き家や使われていない別荘”を指す。住所、居所、現在地、住居、
  居宅、住宅、邸宅…法律では、人の住む場所の呼び名まで厳密に区分されて
  いるのである。

 8.裁判官・検察官は<人>にあらず。
 →<裁判官><検察官><書記官>など、公務員として働いている人は
  <……官>、
  <被告人><弁護人><証人><参考人>など。それ以外は<……人>      と呼ばれる。

 9.<各自50万円支払う>場合、合計で100万円、とはならない。
 →<各自>とは<連帯して>と同じ意味であり、<おのおのが>という意味
  ではない。

 10.刑罰を軽くすることは、<減刑>ではなく<減軽>と書く。
 →<減刑>とは、既に刑に服している者に対しての<恩赦>であり、
  判決上の刑罰を軽くすることは<減軽>と言う。


【本件に関するお問い合わせ先】
大修館書店販売部宣伝グループ
担当:古川
TEL:03-3295-4481 FAX:03-3295-4108
http://www.taishukan.co.jp

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