台湾の大学生・大学院生を対象とした「オンライン東北訪問団」を実施(対日理解促進交流プログラム「JENESYS2020/2021」)
台湾の大学生・大学院生約100名を対象とした「オンライン東北訪問団」を実施し、被災地視察や学生交流を行いました。(対日理解促進交流プログラム「JENESYS2020/2021」)
2021年は、東日本大震災から10年の節目の年にあたります。当時、台湾からは、250億円を超える義援金のほか、支援物資の供与、災害緊急援助隊の派遣等、復興のため多大な心温まる支援が寄せられ、日本人は台湾という隣人を大切な友人として再発見し、友好を深めてきました。震災から10年が経ち、当時小学生だった台湾の子ども達は大学生になりましたが、当時の事はあまり覚えていないが被災地のことを知りたいという声もよく聞かれます。
そんな台湾の若者たちに、東北の被災地の今を知り、現地の若者と交流することで日本への理解を深めてもらうため、 「対日理解促進交流プログラム JENESYS2020/2021」(*)の一環として、台湾の大学生・大学院生108名を対象としたオンライン視察・交流を開催しました。
【開催概要】
実施日:第1回 2021年8月25日(水)日本時間14:00〜/台湾時間13:00〜
第2回 2021年8月26日(木)日本時間14:00〜/台湾時間13:00〜
第3回 2021年8月31日(火)日本時間14:00〜/台湾時間13:00〜
テーマ:東北の現在~オンライン被災地訪問~
参加者:台湾の大学・大学院生 計108名
新型コロナウイルスの影響により渡航制限が続く状況を踏まえ、Microsoft Teamsを活用したオンライン形式での実施となりました。台湾の大学・大学院生から希望者を募り、計108名の学生が参加しました。
【第1回の様子】
初日はまず日台関係についてブリーフィングを受け、東日本大震災後の日台関係の深まりについて理解を深めました。その中の1つの議題として、安全性が証明されている日本の5県(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)産の食品(酒類を除く)に対して、台湾が現在でも輸入規制を行っていることを聞いた参加者からは「一般的に台湾人は台湾のメディアから多くの情報を得ているが、メディアはそれぞれの立場から物事を発信しているので偏った情報である可能性もある。日本が今よりさらに発信力を持って正しい情報を伝えることが重要。」や「今回のような交流プログラムを活用し、より多くの人に現状を知ってもらうべき。」といった意見もあり、熱心に意見を交わしました。
1日目後半は福島県鏡石町をオンライン訪問し、同町の概要や、同町が復興のシンボルとして2012年から取り組む「田んぼアート」について、完成するまでの過程を学びました。終盤には現在の田んぼの様子をライブ配信し、日本の昔話「おむすびころりん」をテーマとした2021年の田んぼアートをオンライン上で見学しました。参加者も見事な田んぼアートに驚いたようで、「6色9種類の品種を使って手作業で完成した田んぼアートは、稲刈りの際も人の手で色の仕分けをしながら収穫するのか?」、「一般の観光客も田んぼアート制作に参加できるのか?」といった質問や、「自分は教育関係の勉強をしているので、地元の農業高校の生徒が種まきや測量の実習を兼ねて田んぼアート制作に参加しているというのは素晴らしいと思う」といった感想が出るなど、大変盛り上がりました。
田んぼアートで出来たお米は、町内の幼稚園、小学校、中学校、高校の給食となったり、米粉を使ったシフォンケーキに姿を変えて販売されているそうです。
【第2回の様子】
2日目は宮城県女川町をオンライン訪問し、NPO法人アスヘノキボウ代表理事 小松洋介氏より東日本大震災からの復興まちづくりについてレクチャーを受けた後、実際にライブで女川町の様子を視察し、地元の方へのインタビューや、震災遺構の見学を行いました。
小松氏からは、10mを超える津波が襲った震災当時の女川町の被害の概要や、若者が女川町が防潮堤に頼らない海が見えるまちづくりこだわって復興に取り組んだ理由等、住民の思いを交えながらの説明に、参加者も熱心に聞いていました。
ライブ配信では、町の中心である女川駅から始まり、商業施設「女川シーパルピア」、「地元市場ハマテラス」、震災遺構の旧女川交番等を見学しました。途中の地元の方へのインタビューでは、女川町で自宅も津波に流される被災をしたあと「スペインタイルでもう一度女川に豊かな色彩を取り戻したい」という思いで起業したNPO法人みなとまちセラミカ工房代表 阿部鳴美氏や、震災後に東京から移住し女川で紅茶専門店を開いたTEAVER TEAFACTORY(ティーベル・ティーファクトリー)オーナー 内海康成氏らからお話を伺いました。それぞれの経緯や、震災復興に対する思いを聞き、参加者は女川町の復興への取組みに共感している様子でした。また、当時のそのままの状態で保存されている震災遺構をオンライン上で間近に見学し、津波被害の甚大さについても驚きを隠せない様子でした。
最後の質問コーナーでは、「震災遺構を保存することに対して住民の間ではどのような議論が行われたのか」、「オンライン上で見る限りは女川町の復興まちづくりはかなり完成しているように見えるが、今後はどのような計画なのか」、「行政は起業する人や移住してくる人に対してどのようなサポートを行っているのか」と多くの質問があがり、参加者の興味は尽きませんでした。終了後は「実際に女川町に行きたくなった」、「女川町の震災前後の比較がとても印象に残った。東日本大震災や東北についてもっと知っていきたい」という声があり、手を挙げてもらったところ73人が「思っていたよりも復興していた」、75人が「移住体験プログラムを利用してみたい」と答えるなど、新型コロナウイルス感染拡大収束後に、東北地方を訪れたいと多くの学生が思ったようでした。
【第3回の様子】
最終日となる3日目は、台湾への留学経験を有し、福島と台湾の交流グループ「FUTA」を設立した福島大学大学院の渡部嘉子さんをはじめとする数名の福島の大学生・大学院生とのオンラインによる若者交流を行いました。
まずは渡部さんから、台湾との交流活動を始めたきっかけや、自身が設立した交流グループの概要、自身が所属するゼミで教授や学生たちと共に取り組んでいる交流業について紹介してもらいました。「若者が福島と台湾をつなぐ存在となり、交流によって福島の信頼を取り戻す」ことを目標に掲げ、渡部さんが取り組んだ、台湾の学生を招待し“本当の福島”を体感してもらう「福島研修旅行」やその中で行った台湾と福島の美食交流「台湾キッチンTAROTARO」プロジェクトの話しを聞き、後半の質問タイムでは台湾の学生から「プロジェクトの実施にはどのような苦労があったか」や「日本の学生は日本の5県産食品の問題に感心があるのか」「福島の若者は台湾による食品輸入禁止問題を気にしているか」などの質問が出ました。 そのほか、「現在、どのように授業を受けたりサークル活動を行ったりしているのか」「現在、日本の伝統的なお祭りやイベントは行われているのか」といった、コロナ禍で日本や日本の大学生の生活がどのように変化しているのかを知りたいという声や、「台湾の大学に留学して日本の大学との違いは何があったか」「(日本では)大学院を卒業すると就職に有利か」など質問は多岐にわたり、非常に盛り上がりました。
新型コロナウイルスの影響で対面しての交流がなかなか出来ない中、100名以上の日台大学生がオンライン上に一堂に会し、オンラインならではの気軽な交流を行うことが出来ました。
3日間という短い時間ではありましたが、オンライン上で東北の方々とお互いに顔を見ながら意見を交わすことで、被災地の現在の様子を知ることができる大変貴重な機会となりました。今回のオンライン訪問をきっかけとして、東北の被災地への理解と日台友情が一層深まるとともに、日台の交流がさらに促進されることを期待しています。今回はオンラインでしたが、通常の往来が可能となったら実際に東北地方を訪れるプログラムを実施していきたいと思います。
(*)[参考]対日理解促進交流プログラム「JENESYS2020/2021」
「JENESYS」は、 日本とアジア大洋州の各国・地域との間で、 対外発進力を有し将来を担う人材を招へい・派遣する日本政府(外務省)が推進する事業で、台湾については、JTBがプログラム企画・運営を受託しております。 人的交流又はオンライン交流を通じ、 日本の政治・経済・社会・文化・歴史及び外交政策に関する対日理解の促進を図るとともに、親日派・知日派を発掘し、日本の外交姿勢や魅力等について被招へい者・被派遣者にSNS等を通じて積極的に発信してもらうことで対外発信を強化し、 日本の外交基盤を拡充することを目的にしています。台湾では次世代の親日派・知日派人材の育成を中心的に取り組んでおります。
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企業情報
企業名 | 株式会社JTB霞が関事業部 |
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代表者名 | 安本 博行 |
業種 | 旅行・観光・地域情報 |
コラム
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株式会社JTB霞が関事業部の
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