QR Translatorを使って情報のバリアフリー化を実現した医薬品パッケージが発売
視覚障害者や外国人に読むことが難しい医薬品等の説明情報について、パッケージ表面のQRコードをスマートフォンで読取るだけで、その端末の設定に応じた言語で説明書を音声化して読み上げる仕組みが実用化されました。Accessible Code(アクセシブルコード)と名付けられたこのQRコードは、全盲の人でも読取り可能であることが多くの実験によって裏付けられ、しかも外国語端末を使用している場合は、自動的にその設定言語に応じて音声化されます。今回、すべての業界の先駆けとして、シオノギヘルスケア株式会社から発売される新セデス錠などOTC医薬品でこの規格が採用され、情報のバリアフリー化を実現する商品包装のマイルストーンとなりました。
多言語表示サービス「QR Translator」の開発・運営事業を手がける株式会社PIJIN(本社:東京都中央区、代表取締役社長:高岡 謙二)は、QR Translator を活用して開発された Accessible Code(アクセシブルコード)が、医薬品のパッケージで採用されたことを発表しました。視覚障害者や外国人に読むことが難しい医薬品等の説明情報について、パッケージ表面のQR コードをスマートフォンで読取るだけで、その端末の設定に応じた言語で説明書を音声化して読み上げる仕組みが実用化されました。
【内容】
WHOの統計では、視覚障害を持つ人は世界人口全体の約4%にあたる2億9千万人。そのうち、点字を読める視覚障害者の割合は全体のおおよそ10人に1人と言われています。また、医薬品等の説明文を点字で表現するには充分なスペースと加工を必要とし、ニーズはあってもコスト面等を考慮するとその実現は困難でした。(それでも、必要とされている方々がいるので、点字そのものの存在は不可欠です。)
そして、視覚等の障害における世界共通の課題のひとつが、健常者と比較して取得できる情報量が少なくなってしまう事です。(特に視覚障害は印刷物からの情報取得が困難)この問題を解決する為には、障害者自身が情報を得やすくする為の工夫と共に、情報を出す側が、障害者に受取りやすい情報を簡易に発信できるようにする工夫が必要となります。そこで、Accessible Codeの規格では、すでに世界中で普及しているQRコード(*1)を利用し、印刷物の文字情報をそれぞれの言語で音声化させる事によってこの課題を解決しようとしています。
現在では世界人口の4割以上(*2) が所有するようになったスマートフォンには、標準的に音声読み上げ機能が付帯しています。この機能を利用すると、視覚に障害がある人でも、スマートフォンを指先で操作し、ブラウザで指定のページを開くことによって文字情報を音声へ変換することが可能になります。(下記はiPhoneでの「ボイスオーバー」機能の設定例。Androidでも「TalkBack」という同様の機能があります。)
また、Accessible Codeの規格を作ったエクスポート・ジャパン株式会社が、日本全国で100名以上の視覚に障害がある方々を対象に行った試験によって、ほとんどの人がQRコードの場所さえ認知できれば読取りが可能である事が明らかになりました。
試験に関する参考資料:
https://www.export-japan.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/pvip_test.pdf
そして、Accessible Codeは、当社が開発したQR Translatorをバックエンドで利用している為、複数言語に対応したQRコードを、Web上から効率的に発行・管理する事が可能です。このQRコードを医薬品などの包装パッケージ上に16mm四方で配置するだけで、読み取った人は、自身のスマートフォンの言語設定に合わせて、用法・用量や注意事項などの不可欠な音声情報を得ることが可能になります。
(*1) QRコードは株式会社デンソーウェーブが発明した2次元バーコードで、規格がオープン化されている為、世界中で利用されている。
(*2) Global smartphone penetration rate by Statista
【現在に至る経緯】
2016年8月に視覚障害者の自立支援団体である神戸ライトハウスより、障害者自身が情報を受取るためにQR Translatorの音声機能が利用できないかという相談を受けた事がきっかけです。
その後、関係会社であるエクスポート・ジャパンを交えて、どのような状況で視覚障害者が困難を感じるか、その為にどういったソリューションの提供が可能かについて議論を重ねた結果、印刷物に一定の基準でQRコードが印刷されていれば、視覚障害があってもそれを読取り、音声で情報を取得できるという仮説に至ります。
この仮説を元に、エクスポート・ジャパンがNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」へ応募、2017年5月の採択を経て、全国の視覚障害者支援団体の協力を得ながら大規模な実証試験を行いました。
この研究成果がアイ・コラボレーション神戸(*3) が主催する2018年8月の視覚障害者向けアイデアソン・ハッカソンで共有され、日頃から障害者にも易しい商品パッケージのあり方を検討していた塩野義製薬株式会社が着目、独自での更なる試験を経て、同社グループのシオノギヘルスケア株式会社からAccessible Codeを利用した商品の発売に至りました。
シオノギヘルスケア株式会社からのプレスリリース:
https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/news/2020/06/20200602.pdf
(*3) 神戸を拠点とするNPO法人で、テクノロジーによる障害者の自立をテーマとした勉強会やワークショップを数多く主催している。
【今後の展開】
Accessible Codeが多くの商品に採用され、その普及が進むことによって、利用者である視覚障害者や外国人ユーザーの利便性が益々向上します。また、Accessible Codeは言語に関わらず利用可能でもあるため、世界中で同じ規格が採用されれば、消費者の利便性は更に向上します。
当社では、エクスポート・ジャパンと協力し、多言語での音声読み上げ機能などを更に向上させていく他、国際的な特許を活用して、海外への展開も図って参ります。
【シオノギヘルスケア(株)について】
「常に人々の健康を守るために必要なもっともよいヘルスケア価値を提供する。」という経営理念の元、セデス、シナール、パイロンなどのOTC医薬品をはじめ、多層的な事業/アライアンスなどによる付加価値により、ヘルスケア事業の競争力を高め、優れた製品・情報・サービスを通じて健康寿命延伸に貢献している。2020年にはセデス、シナール、パイロン、ベリチーム酵素など複数ブランドでAccessible Codeを採用予定。
【神戸ライトハウスについて】
視覚障碍者の自立支援を行う NPO 法人として平成 13 年に設立。理事長の太田勝美氏は、自身が25 年前に失明した事がきっかけで、同法人を設立し、視覚障碍者および身体障碍者に対して、就労支援および社会参画促進に関する事業を行っている。本件取り組みにおいて今年のひょうごユニバーサル社会づくり賞会長賞を受賞。
【アイ・コラボレーション神戸について】
神戸を拠点とするNPO法人で、テクノロジーによる障碍者の自立をテーマとした勉強会やワークショップを数多く主催している。特にスクリーンリーダー(コンピュータ画面の音声による自動読み上げ)等を駆使してインターネットのアクセシビリティを高める分野において多くの企業・自治体等にコンサルティングを行っている。
【エクスポート・ジャパン(株)について】
2000年設立の海外向けWebマーケティングに専門特化した会社で、月間約200万人が閲覧する国内最大級の訪日メディアである「ジャパンガイド(japan-guide.com)」の運営に携わっている。社員は、アメリカ、フランス、中国、インドネシア等、多国籍で構成され、JICAなどの政府機関や公共交通機関等の公式外国語サイトの制作と運営も担当している。
【株式会社PIJIN について】
多言語対応のQRコードを簡単に発行・管理できるWebシステムQR Translatorを世界で最初に開発し、日本、アメリカ、中国、EU、ロシア、韓国などで特許を取得。国内では東京都庁の展望台や京都の伏見稲荷大社などで利用されている他、有名日本酒(真澄)のラベルや世界遺産であるパリのサクレ・クール寺院でも採用された。
【一般の方向けのお問い合わせ先】
企業名:株式会社PIJIN
お問い合わせフォーム: https://jp.qrtranslator.com/contact/
Email: inquiry@qrtranslator.com
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企業情報
企業名 | 株式会社PIJIN |
---|---|
代表者名 | 髙岡 謙二 |
業種 | ネットサービス |
コラム
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